露出狂

ゆうしゃが目覚めると、そこは眩しい光が一面を包む神聖な世界であった。

どこかで見た世界だ。

なぜか後頭部に鈍痛がある。

ゆうしゃが頭を振ると、カラカラと音がした

めがみさま

あら、ゆうしゃさま
また逢いに来てくださったの?

ゆうしゃ

ということは

めがみさま

ええ、こちらに来て
しまったと言うことですね

勇者は、頭をかきながら、てへっと照れた。

めがみさま

ほめてません

もうすこし
お気をつけに
なったらいかが?

ゆうしゃ

んー

めがみさま

くすっ

もぅ、ゆうしゃさま
なやんでるふりしても
バレバレですよ。

ゆうしゃ

そうでしょうか

めがみさま

それで、また
すぐにでも戻らなきゃ
ならないのですよね

ゆうしゃ

そうなんです

めがみさま

でも、帰しません

めがみははっきりと言い切った。

いつもはそんなことなど言わないのに、どういうことだろう。

驚くことのないゆうしゃだが、このときばかりは驚いた。

ゆうしゃ

かっ、帰られないの
ですか?

めがみさま

帰しません

ゆうしゃ

何かあったのですか?

めがみさま

なにか?

今度は、めがみさまが心外という表情をして驚いた。

そして残念そうに、めがみさまの気持ちを伝えた。

めがみさま

あの時
なんでもするから
生き返らせてください

と言っていったの
ゆうしゃさまですよ

ゆうしゃは約束をわすれたわけじゃなかった。

ただ、あの時、シャーロットを失いたくない気持ちのまま、心からそう祈ったのだ。

女神は続けた。

めがみさま

わたしは、いつまで
待てば良いのですか?

もう新居もできてますし

ゆうしゃ

ちょ

めがみさま

こちらに居るのが
いやなんですか?

めがみさまのほほが、ちいさくぷぅっと膨らんでいる。

ゆうしゃ

そんなわけでは
でも、まだ早い気が

めがみさま

私ももう13才で
お年頃です

ゆうしゃ

めがみさま
3万が抜けてます

それじゃ犯罪じゃ
ないですか

めがみさま

誤差みたいなものです

そういえば
ゆうしゃさまは17才よね

ゆうしゃ

はい
まだ17ですよ

めがみさま

もう ですよ

あまり待たせるなら
私がそちらへ
行ってしまいますよ

このままでは帰してもらえそうになかった

ゆうしゃ

魔王も倒して
いませんし

今度はお土産
持ってきますから

めがみさま

魔王なんて居ません!

でも
お土産はほしいかな

ゆうしゃは、めがみさまの変化を見逃さなかった。

いまなら、口説き落とせそうだった。

ゆうしゃ

なにがいいです?

めがみさま

そうねぇ

この間は、みたらし団子だったし
次は、栗羊羹かしら

ゆうしゃ

羊羹ですね
わかりました

用意しておきますね

ゆうしゃは快く笑顔で承諾した。

しかし、ゆうしゃは気がついているのだろうか。

持ってくると言うことは、一度死ななければいけないと言うことを

ゆうしゃの笑顔からは、不安などみじんも感じられなかった。

めがみはそんなゆうしゃを見ながらきょとんとしている。

何かに気がついたようだ。

めがみさま

そういえば
今日のお土産は?

と訪ねられたゆうしゃは固まった。

そのゆうしゃの顔をめがみさまは、じっと見みつめた。

ゆうしゃ

あ”

ゆうしゃは突然のことだったので、用意していなかったのだ。

めがみさま

何しにこちらに
来たんですか?

来たくてきてるわけではない。

めがみさま

しょうがないなぁ

と言うと女神は勇者の腰に差してあった伝説の剣に手をかけた。

えっ、それは、と勇者が抵抗するもむなしく、女神は剣を引き抜いた。

めがみさま

ほら、脱いで

続いて、めがみさまは、ゆうしゃの服に手をのばした。

そして、容赦なくむりやり脱がし始めた。

抵抗もむなしく、ゆうしゃは身ぐるみをはがされた。

ゆうしゃ

めがみさま

こっ、これは?

めがみさま

次忘れたら
知りませんから

ほら、座って

ゆうしゃは女神に言われるがまま、複雑な模様が施された椅子へ座らされた。

女神はなにやら呪文を唱え始めた。

めがみさま

この者を
ほんにゃら~
はんにゃら~

以下略!

ゆうしゃ

女神様、来るたびに
だんだん雑になってません?

めがみさま

気のせいです

じゃあ、次はもっといい
お土産まってるわね

ちゅ

めがみさまの投げキスで、ゆうしゃは弾き飛ばされるように、地上に落とされた。

うわぁあぁああぁああぁああああああ

大声を上げたゆうしゃは、その声で夢から目を覚ました。

抱きしめた枕は、しかめっ面で不満そうだ。

もう朝のようだ。

ゆうしゃが周りを見渡すと、そこは廊下のようであった。

ゆうしゃ

むにゃむにゃ

いやぁ、こないだ
死んだときの夢とか
愉快な夢ですな

カスミ

ゆうしゃよ
言うことはそれだけか?

後ろからカスミの声が聞こえる。

振り向くとカスミが箒を持って仁王立ちしていた。

ゆうしゃ

おはよう
カスミさん

カスミ

おはよう

ってちげえよ

裸だって
言ってるんだよ

ゆうしゃが体を見ると何一つ羽織っていなく裸の状態であった。

ゆうしゃは、悲鳴を上げた。

ゆうしゃ

きゃぁああ

痴かーん

カスミ

はぁ?

男じゃねえし
意味わかんねえし

おまえが自分で
脱ぎはじめたんだろ!

怒ったカスミが、手に持った箒でゆうしゃを何度か叩いた。

ゆうしゃはたまらず慌てて寝室へ向かって走り始めた。

カスミはゆうしゃを、追おうとして、少し走ったがすぐに、踏みとどまった。

裸のゆうしゃを追い回したら、それこそ周りから勘違いされてしまう。

相手は目の前で勝手に脱ぎ始める変態だ。

野良犬にでも噛まれたと思えば良いのだ。

カスミは寝室に戻ると、シャーロットとウィステリアを起こすことにした。

カスミ

ほら、起きた起きた。
今日は、調査するんだよ。

シャーロット

うぅ
具合わるぅ

わたくし
朝は弱いのよ

ウィステリア

いい天気なのに
あそこだけ薄暗いわ

魔法を使わないで
この効果

なんて
おそろしい子

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