露出狂
露出狂
ゆうしゃが目覚めると、そこは眩しい光が一面を包む神聖な世界であった。
どこかで見た世界だ。
なぜか後頭部に鈍痛がある。
ゆうしゃが頭を振ると、カラカラと音がした
。
あら、ゆうしゃさま
また逢いに来てくださったの?
ということは
ええ、こちらに来て
しまったと言うことですね
勇者は、頭をかきながら、てへっと照れた。
ほめてません
もうすこし
お気をつけに
なったらいかが?
んー
くすっ
もぅ、ゆうしゃさま
なやんでるふりしても
バレバレですよ。
そうでしょうか
それで、また
すぐにでも戻らなきゃ
ならないのですよね
そうなんです
でも、帰しません
めがみははっきりと言い切った。
いつもはそんなことなど言わないのに、どういうことだろう。
驚くことのないゆうしゃだが、このときばかりは驚いた。
かっ、帰られないの
ですか?
帰しません
何かあったのですか?
なにか?
今度は、めがみさまが心外という表情をして驚いた。
そして残念そうに、めがみさまの気持ちを伝えた。
あの時
なんでもするから
生き返らせてください
と言っていったの
ゆうしゃさまですよ
ゆうしゃは約束をわすれたわけじゃなかった。
ただ、あの時、シャーロットを失いたくない気持ちのまま、心からそう祈ったのだ。
女神は続けた。
わたしは、いつまで
待てば良いのですか?
もう新居もできてますし
ちょ
こちらに居るのが
いやなんですか?
めがみさまのほほが、ちいさくぷぅっと膨らんでいる。
そんなわけでは
でも、まだ早い気が
私ももう13才で
お年頃です
めがみさま
3万が抜けてます
それじゃ犯罪じゃ
ないですか
誤差みたいなものです
そういえば
ゆうしゃさまは17才よね
はい
まだ17ですよ
もう ですよ
あまり待たせるなら
私がそちらへ
行ってしまいますよ
このままでは帰してもらえそうになかった
魔王も倒して
いませんし
今度はお土産
持ってきますから
魔王なんて居ません!
でも
お土産はほしいかな
ゆうしゃは、めがみさまの変化を見逃さなかった。
いまなら、口説き落とせそうだった。
なにがいいです?
そうねぇ
この間は、みたらし団子だったし
次は、栗羊羹かしら
羊羹ですね
わかりました
用意しておきますね
ゆうしゃは快く笑顔で承諾した。
しかし、ゆうしゃは気がついているのだろうか。
持ってくると言うことは、一度死ななければいけないと言うことを
ゆうしゃの笑顔からは、不安などみじんも感じられなかった。
めがみはそんなゆうしゃを見ながらきょとんとしている。
何かに気がついたようだ。
そういえば
今日のお土産は?
と訪ねられたゆうしゃは固まった。
そのゆうしゃの顔をめがみさまは、じっと見みつめた。
あ”
ゆうしゃは突然のことだったので、用意していなかったのだ。
何しにこちらに
来たんですか?
来たくてきてるわけではない。
しょうがないなぁ
と言うと女神は勇者の腰に差してあった伝説の剣に手をかけた。
えっ、それは、と勇者が抵抗するもむなしく、女神は剣を引き抜いた。
ほら、脱いで
続いて、めがみさまは、ゆうしゃの服に手をのばした。
そして、容赦なくむりやり脱がし始めた。
抵抗もむなしく、ゆうしゃは身ぐるみをはがされた。
めがみさま
こっ、これは?
次忘れたら
知りませんから
ほら、座って
ゆうしゃは女神に言われるがまま、複雑な模様が施された椅子へ座らされた。
女神はなにやら呪文を唱え始めた。
この者を
ほんにゃら~
はんにゃら~
以下略!
女神様、来るたびに
だんだん雑になってません?
気のせいです
じゃあ、次はもっといい
お土産まってるわね
ちゅ
めがみさまの投げキスで、ゆうしゃは弾き飛ばされるように、地上に落とされた。
うわぁあぁああぁああぁああああああ
大声を上げたゆうしゃは、その声で夢から目を覚ました。
抱きしめた枕は、しかめっ面で不満そうだ。
もう朝のようだ。
ゆうしゃが周りを見渡すと、そこは廊下のようであった。
むにゃむにゃ
いやぁ、こないだ
死んだときの夢とか
愉快な夢ですな
ゆうしゃよ
言うことはそれだけか?
後ろからカスミの声が聞こえる。
振り向くとカスミが箒を持って仁王立ちしていた。
おはよう
カスミさん
おはよう
ってちげえよ
裸だって
言ってるんだよ
ゆうしゃが体を見ると何一つ羽織っていなく裸の状態であった。
ゆうしゃは、悲鳴を上げた。
きゃぁああ
痴かーん
はぁ?
男じゃねえし
意味わかんねえし
おまえが自分で
脱ぎはじめたんだろ!
怒ったカスミが、手に持った箒でゆうしゃを何度か叩いた。
ゆうしゃはたまらず慌てて寝室へ向かって走り始めた。
カスミはゆうしゃを、追おうとして、少し走ったがすぐに、踏みとどまった。
裸のゆうしゃを追い回したら、それこそ周りから勘違いされてしまう。
相手は目の前で勝手に脱ぎ始める変態だ。
野良犬にでも噛まれたと思えば良いのだ。
カスミは寝室に戻ると、シャーロットとウィステリアを起こすことにした。
ほら、起きた起きた。
今日は、調査するんだよ。
うぅ
具合わるぅ
わたくし
朝は弱いのよ
いい天気なのに
あそこだけ薄暗いわ
魔法を使わないで
この効果
なんて
おそろしい子