果たし状

抜けるような青空の下、小鳥たちがさえずっていた。

あれからどれほど歩いたのだろうか。

同じところをぐるぐる回っている気もする。

太陽は頂上近くまで来ていた。

シャーロット

いいてんきですね

ウィステリア

わたしたち
なにしてるのかしら

シャーロット

ピクニック?

ひより

あのぉ

もしかして

カスミ

んー
そういうこったな

ウィステリア

まさか

カスミ

そのまさかなんだな

シャーロット

はぁ?
もしかして

迷子なんですか?

カスミ

迷ったなんて
言ってないだろ

とカスミが強く否定したものだから、聞いたシャーロットも慌てて聞き返した。

シャーロット

じゃあなんなんですか?

カスミ

ははは
そう凄むなって

この辺に転がってる
予定なんだが

ないんだよなぁ
どこにいるんだ~

シャーロット

転がってって
ゆうしゃさまは人ですよ

もっとまじめに
してください

見失ったことを責めても、今更しかたないことだった。

文句を言ってもしかたなかった。

しかたなくカスミたちは、手分けして勇者を探し始めることにした。

シャーロットは、道なりに見落としがないか細かく見ているようだ。

一方カスミは、木に登って遙か遠くを見渡しているようだ。

いったい、彼女は何所を探しているのだろうか。

シャーロット

カスミさん

何所を見て
いらっしゃるんですか?

カスミ

いやぁ

足跡も居た形跡すらないから

空にでもヒラヒラと
飛んでいったのかなって

軽い奴だったからな

シャーロット

ゆうしゃさまを
なんだとおもってるんですか?

カスミ

そういうおまえだって
何をめくってるんだ?

そう言われたシャーロットは、小石をめくっていた。

シャーロット

ゆうしゃさまですから!

カスミ

おまえのゆうしゃって
そんな小さいのか?


そんな二人のやり取りを知ってか知らずか、ちょっと離れたところから、ウィステリアが二人を呼ぶ声が聞こえてきた。

ウィステリア

こっちへ来て
二人とも

そう呼ばれた二人がウィステリアの元へ駆けつけると、目立つように一枚の手紙が切り株の上に置いてあった。

ウィステリア

カスミ

ここで合ってるわよね?

カスミ

そうだな

ここなんだが

たしかに、カスミがゆうしゃと別れた場所はここで間違いなかった。

だが、見つけたのはゆうしゃではなく手紙なのだ。
どういうことなのだ。

カスミは怪訝そうな顔をした。

シャーロット

いやぁ

ゆうしゃさまが
てがみになっちゃった

カスミ

なるかよ

どうでもいいボケをする
シャーロットは置いておいて

それでウィステリア

なんて書いてあるんだ?

ウィステリア

そうね

まずは見てみましょう

ウィステリアは手紙を手に取った。

文面をざっと流していた目が、すこしして大きく見開かれた。

ウィステリア

ふたりは、新生活をスタートさせております

つきましては ご報告とご挨拶をかねまして

ささやかですが小宴を催したいと存じます

カスミ

なるほど

ゆうしゃを
持ち去った犯人は
めがみさまだと

ひより

これ果たし状ですよね

腕がなります

カスミ

どう読んだら?

果たし状になるんだ?

それで、
どうやっていくんだ?

それを聞いたウィステリアが、ポケットから縄を取り出した。

ウィステリア

手間はかかるけど
いけなくもないわね

カスミ

天上界へいけるのか?

へぇ
そんな方法あるのか

カスミはウィステリアの知識に心底驚いているようであった。

ウィステリア

あら、カスミは知らないの?
これでも行けるわよ

と言いながら、ウィステリアが次に取り出したのは、紫色の瓶であった。

ウィステリア

試しに飲んでみる?

そう言ってウィステリアはカスミに小さな紫色の液体が入った瓶を渡した。

カスミは受け取った瓶をじろじろ見ていたが、覚悟ができたのか、よっしゃっと気合いをいれると瓶のコルクを開けた。

ひより

ちょっと待って
カスミさん

カスミ

なんだ?

ひより

それ毒薬じゃ
ないですか?

カスミ

げっ
まじか

うぃすてりあぁ

騙されたと知ったカスミがウィステリアを見ると、背を向けたウィステリアが肩をふるわせ笑いをこらえていた。

カスミ

こっちむけ

ウィステリア

てへ

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