こうして王弟と第一王子、第二王子が三つ巴で争いさんざんにお互いを打ちのめした後。
幼い第三王子を担ぎ上げた大臣派に国を盗られ王統は途絶えたのでした。

パタリ、と本を閉じたデーミックは笑みを浮かべて少女に話しかける。

いやぁ、楽しいお話でしたねお嬢様。

……どこか面白い要素あったかしら?

盲目的に争う三者から第四の伏せ手が全てを奪う。
実に強欲で人間らしく滑稽な話ではありませんか。

人間の私の前でそれをいうのデーミック。

お嬢様は無欲でいらっしゃいますから。
それに、お嬢様を人間だと思う人間はいないと思いますよ。

さりげなく人を化け物扱いして。
この駄犬。

私も犬ではないのですが。

そうね、犬だったらもっと可愛げのある楽しみを見つけてるわね。

ほう、例えば。

私が投げるボールを無心に追うとか。
くるくる自分のしっぽを追いかけるとか。

私がそれをして可愛げがあると思いますか?

ごめんなさい。
もうさんざんあなたの性格をしった今そんなことをされたら気味が悪いわ。

では私はこのままでよろしい、ということで。

なんだか言いくるめられた気がするわ。

気のせいですとも。
ふふふ。

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