暇だわ、デーミック。
ふむ。お嬢様の悪い癖がでましたね。
仕方ないじゃない。
貴方、私に文字は教えないくせに本は無駄に買ってくる嫌がらせをするんだから。
おや、一応絵本なのですよ?
挿絵を見ればなんとなしに内容が分かる。
……え、ほかの人ってあの色分けされた何かでなにか解るの?
解りますよ、ほら。
この本だと……。
白い、良い子のドレスのお姫様が。
黒、悪い王妃にいじめられていますね。
……お姫様って何?王妃もわからないわ。
だいたいいじめるってなによ。
私のチカラで虫を弱らせるようなこういですよ、いじめは。
ふぅん。
そこそこの能力持ちなのね、この黒いのは。
さて、能力があるかはさておき人間は「立場」というもので関係の上下を計り、それを示そうとする修正があります。
滑稽ですね、力なき立場ほど脆いものはないというのに。
……そういうくだらない話、私には楽しめそうにないわ。
まぁそうかもしれません。
お嬢様には立場を超えて相手を這い蹲らせる「実力」がございますので。
大体、デーミックの下で暮らしている分には立場なんてあってないようなものじゃなくて?
しかり、それは言えております。
私は貴方のおもちゃで、血液袋。
それでいいじゃない。
ただしその気になれば私を指先一つで制圧できる、ね。
ま、私は貴方のこと嫌いじゃないのよデーミック。
時々ひどくいらっとさせられることはあるけどね。
それは光栄の至りです。
私もお嬢様のことは嫌いではないですよ。
そう。
じゃあ今日は絵本の解説でもしてもらおうかしら。
お心のままに。
お嬢様。