この結果は予想外だ。戦闘経験がないシンデレラが勝つ確率なんて数%もないと思っていた。
この結果は予想外だ。戦闘経験がないシンデレラが勝つ確率なんて数%もないと思っていた。
きゅうぅ・・・
シンデレラがクラウ=ソラスとか言う武器を鞘に納めた状態で攻撃したおかげか、見事に気絶している。もし、本気で攻撃されていたらドレスを纏っていても危なかっただろう。
はぁ・・・はぁ・・・
・・・
シンデレラの方は消耗が激しいのか、足元がおぼつかい様子だ。
おい、あそこで気絶してるやつを回収して家まで戻れ。後は私にまかせろ。
わ、分かった!姉さんも気を付けて・・・
妹たちを撤収させ、二人だけになった。
はぁはぁ・・・
ちょっとキツイかな?
シンデレラにはもう戦う力は残されていなかった。そして、この場に残ったのは長女。三人の中でも一番の実力者だろう。
長女が段々とこちらに歩み寄ってくる。
灰かぶりのくせによくやったよ。でも、これまでだ。
『アナスタシア』の腰に添えられている剣を取り出す。
ど、どうしたら・・・やるしか・・・ない!
ここでくたばれぇ!
速い!!
クラウ=ソラスと長女の獲物が衝突した。両者の間で激しい火花が散っている。
お、押し切られる!!
ソォラァ!!
きゃぁぁ!
鍔迫り合いの最中、長女の膝蹴りがシンデレラを吹き飛ばす。
このまま決着を付ける!!
長女が剣を構えた。吹き飛ばされたおかげで長女との距離が空いているのだが、なぜか剣を構えている。
食らいつけ!ウロボロス!!
剣を一振りしたと同時に、剣が伸びたのだ。よく見ると、剣の刃がワイヤーか何かで数珠繋ぎになっていた。刃が分裂し、鞭状に変形させている。それが長女の獲物、ウロボロスの特徴だ。
え!?
そのギミックに気づけなかったシンデレラは回避も出来ず、ウロボロスの直撃を食らう。
カッ・・・ハァ・・
肺の中の空気が無理やり押し出される感覚を味わった。・・・勝てない。さらに吹き飛ばされ、うつ伏せの状態でそう確信した。
攻撃の第二波が襲ってきた。
うぅ・・・コ、【コード:イージス】!
くぅ・・・うぅ
ウロボロスをなんとかイージスで防ぐ。だが・・・
あぅ!?
右手のコードに突如スパークが走った。襲ってくる痛みに耐えていると、【コード】が赤く染まり、ドクンドクンと脈を打っているのに気づいた。
げ、限界・・・!
ふーん。そのバリア、中々に便利そうだけどもう使えなさそうね。
わ・た・・・し・は・・・
負・・けな・・・い!
意思だけは固いようだな。いいだろう。これ以上苦しまないように・・・沈めてやる!
ウロボロス!!
シンデレラはもう意識を保ってられなかった。目の前にウロボロスが迫ってきている・・・
!!!
そこまでだ!!
な、なにが起きた!?
勝負は決まった・・・長女にはそう見えた。しかし、ウロボロスがシンデレラを襲う直前、上空から一筋の閃光が降り注いだ。
その閃光はウロボロスをかき消した・・・流石の展開に長女も理解するのに時間がかかった。
何者だ?シンデレラに手を貸す人物なんているハズがない!
閃光の一撃により、目の前には砂煙で視界が奪われている。シンデレラを仕留めた?いや・・・
上空を仰いで長女は叫んだ。
誰だ!お前は
砂煙の奥からシルエットが浮かび上がった。見た目は背の大きい・・・そして身にまとっているドレスで男だと判断できた。
男でもドレスを纏えるが、恰好がチュニック、スーツ、タキシード、軍服など、ドレスといっても男性の服装にあった形でドレスと呼ばれる。
・・・・・・・・・・・・
男性は黙ったままでジッと長女を見つめている。そして砂煙が晴れ、その肩にはシンデレラが担がれていた。
・・・・・・・・・・
ちっ!気絶してやがる。
おい!顔なんか隠しやがって!
もう一度聞く!誰だ!
・・・・・・・・・
男は黙ったまま。そして、シンデレラを担いだままどこかに行ってしまう。
お、おい!?そいつを返せ!
長女に見向きもせず、男は遠くの空に飛び去って行った。
謎の男はとある一軒家の前に降り立った。
博士?いますかー?
ドアをノックして数秒。返事が無い。
またか・・・しょうがないっ!
男は左手に書かれている【コード】を紡ぐ。
【コード:フレスヴェルグ】
左手にレイピア、フレスヴェルグを構え、そっとドアの前で軽く振り下ろした。すると、ドアがバターのように粗の一片もなく切り崩れた。
おーーーい。博士?
いますかーーーーーー?
・・・んっだよ!誰だ!こんな朝早く訪ねてくる馬鹿野郎は!!
・・・博士。もうすぐ日が暮れますよ。
・・・・・・・・・
博士と呼ばれた女性はしばらくの間、窓から差し込む太陽が段々となくなっていくのを見つめていた。
それでですね、はかs・・・
いやいやいや!よく来てくれた!歓迎しようじゃないか!!さ、立ってないで座ってくれよ!いつもの紅茶でいいよな!な!?
相変わらず誤魔化すのが絶望的に下手ですね・・・今日はちょっと訳ありでね。この子を預かってほしいって話しを・・・
遠慮するな!!紅茶の中でも飛びっきり高いのを・・・
・・・・・・・・・・
博士?
おい、クソ野郎。こいつはなんだ?ついに仕えるメイド達に飽きて見知らぬ女にまで手を・・・
違いますって!これでも誰よりも紳士でいるって心に誓ってますから。てかメイド達にも手を掛けてません!
って・・・よく見たらこの子・・・アイツの娘、か?
だから訳ありだって言ったのに。
・・・詳しく聞かせな。
・・・・・・・・・・・