へーあの攻撃を避けたんだぁ。

お姉ちゃんの射撃が下手だったんだよ☆

う、うるさいわね!そもそも当てる気なんてなかったし!

遊んでいるつもりなのか、笑いを交えながら会話をしている姉たち。ミサイルを撃ったことを隠すつもりは毛頭ないようだった。

姉さん・・・何を・・・

姉たちが纏っているのはドレス『アナスタシア』は紫色をベースに、金色の装飾が施されている。地味すぎず、かといって派手でもないそのドレスは多くの人に愛用されている。

兵器としても優秀なドレスで、数あるドレスの中でもカスタマイズによる応用性が高く、戦争が盛んだった時期では『アナスタシア』が最も普及していたと言われるほどだ。

シンデレラの目の前で浮かんでいる三人も同じ『アナスタシア』を纏っているが、装備している物が大分違っている。

何って、もう忘れちゃったの?約束したじゃない。

長女の『アナスタシア』は肩、腕、足、所々が鋭く突起しており、まるで全身に刃を纏っているかのようだった。そして腰には剣が一振り添えてある。

舞踏会に出たいんでしょう?
その条件として・・・

次女はただドレスを着ているだけで、何も装備していないと思われたが、身体のいたるところに文字みたいなのが書き込まれている。これは【コード】と呼ばれ、存在する武器には必ず【コード】が割り当てられている。この【コード】をドレスに書き込み、ドレスを纏っている状態で【コード】を読み上げれば何時でも武器を取り出すことが出来る。

一見何も身に着けてないと思われるが、書き込まれてる【コード】の数を見るに、大量の武器が『アナスタシア』に織り込まれてあるのだろう。

私たちと決闘(デュエル)で勝ったら舞踏会に行ってもイイよ♪

三女の手には銃が握られている。両手にハンドガンタイプを一丁ずつ装備している以外は何も見当たらない。

決闘だなんて・・・ドレスもないのに!

決闘(デュエル)

ドレスを纏った者同士が戦うこと、それが決闘だ。
相手がデュエルの承諾に応じると、ドレスがそれに反応して決闘場(デュエルフィールド)を展開する。これにより決闘における被害を決闘場内で済ませることが出来る。

鉄則として、この手続きを踏まなければドレスによる戦闘はどの国でも禁止とされている。見つかったら罰金等では済まされない。

行きたいんでしょう?だったら素直に頷きなさいよ。じゃないと・・・

本格的にボコボコに出来ないじゃなぁい。

そうだよ!さっさと「受けて立ちます」って言いなよ☆

な、なんでこんな事するの?

なんでってそりゃアンタがウザいに決まってるでしょ?そろそろこっちも我慢の限界なのよねぇ。

急に転がり込んできて、家族面されるのが本っっ当に迷惑なの!ちゃっちゃと頷かないのなら・・・

武☆力☆行☆使♪

ひっ・・・!

三女がハンドガンをこちらに突きつけてきた。

怖い。

怖い怖い怖い怖い怖い怖い!

死を感じると人は過去の事を頭の中で振り返ると言うが、それは本当の事だった。シンデレラの頭の中は母との思い出、愛人に引き取られた時の思い出、沢山の過去が頭の中でグルグルと回っていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・もういいや。イッちゃえ!

ハンドガンのトリガーが引かれる直前、シンデレラの頭の中である出来事が突然フラッシュバックした。

シンデレラ・・・あなたは最後まで・・優しい子で・・い・・・てね♪

お母様・・・?

カサッ

・・・?これは?

私の愛おしい娘、シンデレラ。
もし、苦しくて逃げ出したくなった時・・・
辛くて、生きるのが嫌になったとき・・・
心の中で強く思いなさい。

負けたくないと・・・!
生きたいと・・・!

そうすれば、必ず答えてくれるはずよ。

わ、私・・・は・・・

カチッ・・・カチッ・・・

私は!!!

カチッ・・・カチッ・・・

・・・カチッ

・・・来て!!

ハンドガンから放たれた銃弾がシンデレラを貫く瞬間、シンデレラの身体が光に包まれる。まるで光の鎧のようなそれは銃弾は弾いた。

な、なにアレ!?

わ、私は知らないわよ!?!?

何が・・・起きて・・・?

これが・・・私のドレス・・・!

純白のドレスを身にまとったシンデレラ。
何も装備しておらず、腕に一筋の【コード】が書き込まれている。

私のドレス・・・『サンドリヨン』!!

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