・・・?なんの音?

時計の針が進む音のようなものが聞こえた気がした。

・・・

でも今はそれを気にしている時ではない。
それよりも、さっきから三人娘がワイワイと玄関前で煩くしているのが気がかりでしょうがない。

!!!

!?!!?

~~~!

なにか手紙らしきものを奪い合っているようだ。

恐る恐る聞いてみると、長女がウザったい顔をしながら答えた。

さっき王都から手紙が来たのよ。舞踏会のお誘いの手紙がね。

まぁドレスを持っていないあなたには関係のないことですわぁ。

王都に舞踏会・・・かぁ。
・・・行ってみたい。

舞踏会

最初は戦う兵器にしかならなかったドレスも、月日がたてば在り方が変わってくる。

その派手な衣装に見える外見を活かし、戦う為でなく自分をより輝かせるアイテムに使う人たちが出てきた。
兵器を武装しなければ物理的に攻撃する以外は危険はない。

そういった傾向が見え始めたのをきっかけに、祭りの一興でドレスを着てパーティーの参加や色々な催しなどに採用したところ、各国で大盛り上がり。

当然、ドレスを今でも兵器として扱う連中もいる。そこで、国のトップ達はそれらの防止として舞踏会なるものを開催することにした。

監視の目が行き届くように国自らが戦う場所を用意する。そうした連中の鎮静化を名目にしているのだが、国の住人にとってはただの催しにしか見えない。シンデレラや姉妹たちも同じだ。

今では、上流階級の嗜みの一つとなっているドレス・・・見た目にこだわらなければ、町娘でも買えるまでになったドレスだが、シンデレラは自分のドレスを持ってはいない。

・・・私にもドレスがあれば。

所持はもちろん、ドレスを見に行くことさえ禁止されているシンデレラはなにも出来ず、佇むことしかできなかった。考え込んでいる間、姉たちがヒソヒソと会話をしていることに気が付いた。

ねぇ灰かぶり?あなた舞踏会に出たいの?

え・・・?

そうそう☆最近、家に閉じこもりっきりだったでしょう?

せっかくだから一緒に行きましょう♪

笑顔で優しい声で喋っているはずなのに、シンデレラには悪魔の囁きに聞こえてしょうがなかった。でも・・・

ハ、ハイ!行きたいです!!

つい欲求に駆られてそう答えてしまった。
それが本当に悪魔からの誘いだと気づかずに・・・

カチッ・・・カチッ・・・

場所はこの辺・・・なのかな

姉たちに指定された場所に到着した。
周りには、人が住んでいるとは思えない家がポツポツと立っている。

・・・条件ってなんだろう?

舞踏会に出たいのなら、条件があるの

この紙に場所と時間が書いてあるから♪
忘れないでね。

そうしてここまでやってきたのだが、誰もいない。

なにを言われるのかな・・・

頭の中で、姉たちの口から数々の暴言をぶつけてくるイメージが簡単に浮かんでくる。そんな事を考えてると、

!!?!?!

きゃああ!

目の前が突然光ったと分かった時にはもう数メートルの距離まで吹き飛ばされていた。

バ、爆弾?・・・ミサイル!?

クラクラする頭で空を見上げると、煙の尾を引きながらこちらに向かってくる物体が見えた。

っ!!

頭で考えるより身体が勝手に動く。

身体が・・・何が起こってるの?

この状況下でもなぜか頭が冴えている。突然のミサイル、それを冷静に分析して動く自分の体・・・

カチッ・・・カチッ・・・

また聞こえた!
何?私の中から聞こえてくるの?

周辺の家を使って、ミサイルをかわす。
しばらくするとミサイルの砲撃が止んだのか、また静かな空間に戻される。

はぁはぁ・・・逃げ切れたの?
・・・えっ!?アレは・・・

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