「灰かぶり」
まだ終わってないのかい!
さっさとおやり!この灰かぶりの娘!!
ご、ごめんなさい!
直ぐに終わらせます・・・
「灰かぶり」
ここでの私の呼び名だ。
もう何年も呼ばれ続けているせいか、もう呼ばれることに抵抗はない。
母が亡くなってからは、滅多に家に戻らない父が私を引き取りに来てこう言った。
新しいお母さんの所へ行こう
え?
父は浮気をしていた。
愛人を作り、母を知らない顔で殺した男・・・
許せない・・・!
そう心に誓った。
誓ったつもりだった・・・
新しい家に住み始めて今に至るまで、愛人の三人娘によるイジメが続いた。
なにモタついてるの?早くしなよ?
長女の命令で、自分の服で家中の床を掃除させられた。
その恰好で歩かれると灰が舞うのよねぇ。
そこで夜を過ごしたら?
次女の命令で、灰だらけの暖炉で夜を過ごしたのはもう何回目なのか覚えていない。
キャハ!ドジでマヌケな灰かぶりは死んだほうがいいんじゃなぁい?
三女からは、顔を合わせるたびに暴言は吐いてくる。
最初は我慢できた。でも、今ではとっくに我慢の限界を超えている。最後の頼みである父は私から顔を背けて無視を貫いている。
ハハ・・・ハ・・・
父に対する憎悪はもうどうでもよくなっていた。
カチッ・・・カチッ・・・