じ~ん…
ん……?
ここは、どこ……?
ようこそ。
私の実験室へ
キャーッ!
実験室ってなに?
っていうか私、
檻に入れられてるし!!
フフフッ。
これからみずきちゃんは、
私の実験の犠牲になるの
イヤーッ!
助けて祐希くーん!!
(どうしてこうなったのか
というと……)
(祐希くんったらひどいなあ。
1日あたり100通のメールを
3日間送り続けただけで、
受信拒否するなんて……)
(いいもんいいもん。
ママにやり方教えてもらって、
フリーメールのアドレスを
取得するからっ)
(あっ、優奈お義姉さんから
メールだ!)
(ゆ、祐希くんの家に
招待された!)
(今まで何度も
祐希くんの後をつけたけど、
あの手この手で巻かれちゃって
家はわからず仕舞い
だったのに……)
(ついにこの時がきたのね!)
はい
お義姉さんですか?
みずきです!
あ、メール読んでくれた?
はい!
喜んでお伺いしたいんですけど、
お義姉さんたちの家を
知らなくて……
じゃあ駅前で待ち合わせしよ?
迎えに行ってあげるから
わーい!
(ふふっ、さっそく
罠にかかったね)
さあ、遠慮なくくつろいで
わあー、すごーい。
なんかいい香りがする~!
しかもオシャレ~!
おい……。
このガキ、お前が呼んだのか?
あっ、祐希くん!
お邪魔してまーす!
うんっ。
私が呼んだの
誰が呼んでいいって
言ったんだよ。
こいつに家が
バレちまったじゃねえか
私の友達なんだし、
いいでしょ?
じ~ん…
友達……
どうかした?
お義姉さんが
友達になってくれたことが
嬉しくて……ぐすんっ
それくらいで泣かないでよ。
みずきちゃんなら
いっぱい友達いるでしょ?
今はもう、いないんです……。
みんな私のこと
嘘つきって言って
絶交されました……
うっ
なんでそこでお兄ちゃんが
反応するの?
い、いや別に。
今日だけうちで
遊んでもいいけど、
あんまり騒ぐなよ
ありがとう祐希くん!
それじゃあ何して遊ぶ?
祐希くんと
ポッキーゲームがしたい!
小学生が
合コンのノリを持ち込むな
えー、いいじゃん。
やってあげようよ
ポッキーゲーム
アホか。
俺は出かけるからな
どこに行くの?
私もついて行っていい?
うるせえな。
シタヤにDVD返しに行くだけだよ
私も行きたーい!
手を繋ぎながら歩いて、
街で見かけた可愛いカップルとして
オシャレな雑誌に載りたーい!
街で見かけた犯罪者として
新聞に載る未来しか見えない……
まあまあ、みずきちゃん。
お兄ちゃんが帰って来るまでに、
ポッキーゲームの準備しよ?
それナイスアイディアですお義姉さん!
(この隙に出かけよう。
そんでしばらくどっかで時間を
つぶしてこよう)
はーい、みずきちゃん。
ケーキと紅茶だよ
わあ、いちごムースだ。
ありがとうございます!
私、ケーキ大好きなんです
本当? よかったあ。
みずきちゃんが
うちに来るって言ったから
急いで買いに行ったんだ
お義姉さん……
ん? どしたの?
どうしてこんなに
優しくしてくれるんですか?
優しいかな?
普通のことしかしてないよ
でもっ。
祐希くんのアドレス
教えてくれたし、
今日は家にまで
招待してくれたじゃないですかっ
だってそんなの当たり前だよ。
私たちは将来、
家族になるんだから
家族……?
だってみずきちゃんは
お兄ちゃんと結婚するんでしょ?
は、はい!
そうなったら、
私とお義姉さんは家族ですね!
でしょー?
さあ、早くケーキ食べてよ。
紅茶もね
はいっ。
いただきまーす
このいちごムースおいしい!
紅茶はどうかな?
お客さん用のとっておきのやつを
淹れたんだけど
ごくごく
じーっ……
紅茶も
とってもおいしいです!
フフフッ……。
そう……?
あれ……?
なんだか、
眠くなってきちゃった……
さすが子供だね。
薬の効き目が早いね
(薬……?
何の話……?)
ぐぅ……
フフフッ……
ん……?
ここは、どこ……?
ようこそ。
私の実験室へ
キャーッ!
実験室ってなに?
っていうか私、
檻に入れられてるし!!
フフフッ。
これからみずきちゃんは、
私の実験の犠牲になるのよ
イヤーッ!
助けて祐希くーん!!
どんなに叫んでも、
お兄ちゃんは助けに来ないよ。
ゲーセンにでも
行ってるんじゃないかな?
そんな……。
実験って、何するの?
私はね、ずっと研究してきたの。
人間には二通りのタイプが
あるんじゃないかって
わかるよ!
祐希くんと、
それ以外の人間だね!
今つっこむ人がいないから
ボケはちょっと控えてくれる?
はい
二通りのタイプ……。
それは、恋愛細胞がある人間と、
そうでない人間よ!
わあ~い!
2話でやっとタイトルに
関係のある話が出てきた~
恋愛細胞が多ければ多いほど、
その人間は恋愛にまっしぐらになる
恋愛のことで頭がいっぱいになって
他のことが考えられなくなるの。
みずきちゃん、あなたのようにね!
私には、
れんあいさいぼーっていうのが
いっぱいあるの?
そう。
一杯有るどころか、
恋愛細胞のかたまりみたいなものね
だから祐希くんへの愛が
こんなに深いんだあ
そして世の中には恋愛のできない、
恋愛細胞がゼロの可哀想な人も
たくさんいる
ふーん(ホジホジ)
人の話を聞いているときは、
鼻の穴をほじらない!
ほじったのは鼻じゃないよ!
耳の穴だよ!
とにかく、みずきちゃん。
あなたが恋愛細胞
そのものになって、
世界中の人を救うの!
私の祐希くんへの愛が……
地球を救うの?!
うん。
だからみずきちゃんの身体を
細胞レベルに分解する
実験に協力してね
わかったー♪
あ、檻が開いた
檻に入れたままだと
解剖ができないからね
かいぼうって……。
カエルの解剖と同じ意味の、
あの『かいぼう』?
そうよ。
細胞レベルに分解するには、
まずはみずきちゃんの身体を
解剖しなくちゃ
もしかしてなんだけど、
解剖されたら死ぬんじゃない?
一時的には死んじゃうけど、
すぐに恋愛細胞となって
よみがえるから大丈夫だよ
あ、なーんだ。
それなら安心だね♪
さあ、そこの解剖台に横になって。
その間に私は準備してるから
な、なんでお義姉さんは、
のこぎりとかナイフを
用意しているの?
解剖するからに
決まってるじゃない。
みずきちゃんの身体を
ズタズタに切り裂くためだよ?
そうなんだ~♪
あれ?
ジワジワ後退してるように見えるけど
気のせい?
き、気のせいだよ~
とうとう出口まで
辿り着いちゃったけど、
まさか逃げる気じゃないよね?
そ、そんなぁ~。
逃げるわけないでしょっ♪
助けて祐希くーん!!
あぁーっ!
やっぱり逃げる気
だったんじゃない!
(この時間なら、
さすがにあのガキも
帰ってるだろ)
ゆーうーきーくーんっっ!!
ゲッ、まだいた
助けて祐希くん!
私、犯されちゃう!!
おい。
ガキがそういう言葉使うの、
マジでやめろ
えっ?
犯されるって、
殺されるって意味じゃないの?
なんだ、
勘違いしてただけか
……ん?
殺される?
お兄ちゃん、
丁度いいところに!
みずきちゃんを捕まえて!
私を守って祐希くん!
おいおい、
何があったんだよ
お義姉さんが私を
お嫁にいけない身体に
しようとするの!
はあ~?
おい、優奈。
お前何をしようとしたんだ?
みずきちゃんったら大げさだなあ。
ちょっと解剖しようと
しただけなのに
か、解剖……?
油島みずき、本当なのか?
本当だよ!
私の身体をズタズタにするって
言ってたもん!
おいおい、何考えてんだよ……。
お前がおかしいのは知ってたけど、
まさかここまでとは……
崇高なる研究には
犠牲がつきものでしょ?
邪魔するならお兄ちゃんだって
容赦しないからね!
チュイイィーンッ!
うわあああー!!
キャアアアーッ!
電動ノコギリを止めろ!
シャレになってねえぞ!
みずきちゃんを渡さないなら、
このノコギリでお兄ちゃんを
まっぷたつにするよ!
話が通じねえ!
逃げるぞ、油島みずき!
わかったよ!
愛の逃避行だね!?
つっこんでる
暇が無いからボケるな!
走れ!
まかせて!
50メートル走は
クラスで一番早いから!
待ちなさーい!