気が付けば、さっきの狐がいた部屋からはかなり離れていた

釣鐘セイカ

ちょ、ちょっと待って。シズクちゃん!ほ、本当に…どうしたの!?

確かに、ヤバイ会話だとは思うけど…だからって急過ぎでしょ

シズク

すいません…ですが、そんな…とても信じられません

釣鐘セイカ

あの狐の冗談…とか、じゃないの!?

シズク

セレナ様は冗談が大嫌いな方なんです。おそらく嘘ではないでしょう

釣鐘セイカ

でも、だからって信じられない…本当に地球を破壊するなんて

シズク

私も正直信じたくはありません…でも嘘ではないでしょう。それにアマテラスの力があれば不可能な事ではありませんから

釣鐘セイカ

じゃあ、やっぱり…

シズク

すいません…セイカさん。私、本当に知らなかったんです。こんな事になるなんて…女神様もおっしゃってませんでしたから

それって…多分こうなるって分かってたからじゃないのかな?

釣鐘セイカ

…でもさ、これから何処に行くの?その…アマテラスっていうのが起動したら地球が破壊されちゃうんでしょ

シズク

そうなる前に私が何とか…します!とりあえずセイカさんはアマノガワの入り口まで案内します。さ、もうすぐ城の出口です。行きましょう!

そうだ、今はとにかく逃げる事だけを考えよう。
でも、なんでシズクちゃんは…

セレナ

はーい。そこまでよ

シズク

え?

釣鐘セイカ

あ、狐

セレナ

やっぱり、一緒に逃げたわね?シズク。これはりっぱな反逆罪よ。死刑ね、死刑

気が付くと私達の目の前には、あの狐とネコ耳がいた

シズク

…セレナ様。そこを退いていただけますか?

セレナ

うん?何言ってるの?あんたは?言葉の意味を分かって話してる?

シズク

勿論です。なのでセレナ様、そこを…

セレナ

嫌よ。あと見習い風情が私に偉そうな口を聞かないでくれない?むかつくから

釣鐘セイカ

…ねぇ、ちょっと、あんたさ

セレナ

ん?あんた?まさか私の事?

口調こそ穏やかだが狐は凄い形相で私を睨みつけてきた

釣鐘セイカ

そうだよ。だって今、私達の目の前にはあんた達しかいないでしょ

セレナ

おい。お前、たしかセイカとかいったな?

釣鐘セイカ

そ、そうだけど。それが何よ?

セレナ

ありがとう。じゃ、死のうか

釣鐘セイカ

名前言っただけで死を願われた!?

セレナ

どのみちあんたも死刑よ

シズク

いけない。セイカさん、こっちです!

セレナ

逃がさないわよ!シカナ!!!

シカナ

了解ですにゃ!お前達!!!

ネコ耳が叫ぶと私達の周りを黒服の人間が取り囲んでいた

シズク

兵団………シカナ様

シカナ

ごめんにゃ~シズク。命令にゃんよ

セレナ

終わりよ。シズク。大丈夫。あんた達が抜けた穴は私の力で十分補える範囲だから安心して死になさい

釣鐘セイカ

あれ?なんか…この状況って……

シズク

くっ、いけない。セイカさん!私が囮になります。だから逃げて下さい!!!

釣鐘セイカ

前にもあったよう…

セレナ

逃がさないわよ。二人とも死になさ

セレナ

なっ…

シカナ

え!?

気が付くと私は空に浮かんでいた

セレナ

浮いている…まさか…発現したの!?

シカナ

そ、宙に浮かぶ能力なのかにゃ!?

釣鐘セイカ

違うわ……それにしても貴方達はどれだけ時が経っても同じような事を繰り返してるのね

セレナ

な、何を言って…

釣鐘セイカ

シズク…ちゃん。

シズク

は、はい

釣鐘セイカ

このまま一気にアマノガワまで駆け抜けるわよ

シズク

えっ…ぇって、わ、

シズク

!?

シカナ

は?

セレナ

な、う、嘘。空を走ってる…

シカナ

ば、馬鹿にゃ…ありえないにゃ。いくら能力があるからって、あんなデタラメ

セレナ

…私が追うわ。シカナ、足の早い奴を連れてきてちょうだい、数はいらない。精鋭中の精鋭を頼むわ

シカナ

了解しましたにゃ。では、後ほど

シカナ

はぁ~なんだか面倒な事になったにゃ~

シカナは頭を掻きながら、そう呟くのであった

月 迷いの森

シズク

セ、セイカさん。一体どうしたんですか!?この力は!?

釣鐘セイカ

思いだせないんだね?シズクちゃんは

シズク

思い出す…?一体なんの事ですか!?セイカさんは一体!?

釣鐘セイカ

ま、思い出せないならいいよ。もうすぐアマノガワに着くしね

シズク

え?

信じられない…
アマノガワへの入口がある森の中に入って殆ど時間が経っていない

シズク

そんな…この森の中は複雑で私達月の住人でさえ…どんなに早く移動しても一刻はかかるのに

釣鐘セイカ

まっ、私もとは女神やってたしね。そりゃ凄くても当然でしょ

シズク

あのセイカさん?何を言って…

釣鐘セイカ

ん?だから女神だって。シズクちゃんも昔、こんな感じで私と一緒に逃げたじゃん

シズク

………あの?セイカさん?その…

釣鐘セイカ

うん?

シズク

大丈夫ですか?まさか、先ほどの衝撃でどこか障害が…

釣鐘セイカ

シズクちゃん…私、真剣に話してるよ

シズク

余計に怖いです…

釣鐘セイカ

そう?…まっ、いいや。さ、もうすぐ出口だよ

シズク

え?あ、確かに…アマテラスの入り口が見えますね

釣鐘セイカ

そ、さ、行こう。地球に帰ろう

こうして私とセイカさんはアマノガワの入り口に向かった

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