月 迷いの森
月 迷いの森
くっそ…信じられない。どんだけ早いのよ
ゴミの分際で何なの急に…
これじゃ、追い付けない…でも、どうすれば…
セレナ様~お待たせしましたにゃ~
って、え?シカナ?あんた一体何処から!?
にゃひゃひゃ~。援軍を連れてきましたにゃ~
援軍ね、よほど足が速い奴を連れて来たって事ね。これなら何とか間に合いそう。で、援軍の兵は何処に?
にゃひゃひゃひゃ!セレナ様の後ろにいるにゃ~
後ろ?…え?ちょっと、まさか、そんな
月 アマノガワ
ふー、やっとアマノガワに入ったわね
そうですね。まさか、この短時間でアマノガワに来れるなんて驚きです
まぁ、一応力が発現したわけだからね。これくらい当然だよ
そうですよね。発現されているわけですから、当然なんですよね
そうそう。さ、まだ、アマノガワの入り口なんだから急ぐわよ。しっかり掴まっててね!
は、はい!
私はセイカさんの体をぎゅっと掴んだ。と、その時
は~い。そこまで!追い付いたわよ。シズク!
セレナ様!
…へー。驚いたよ。まさか追い付くなんて。どんな手品を使ったわけ?まさか、私並みに足が早い奴でもいた?
そうねー。あんた並みではなく、あんたなんて比べものにならない人が来てくれただけよ?
…ま、まさか
あ~、なるほど。そういう事か。久しぶりね。ルナ?月の女神様がわざわざ来るなんて暇なの?
!?
……あなたとは、殆ど初対面の筈ですが?
あ~、そうだっけかな?にしても随分と力が衰えたのね。殆ど透明になってるわよ?ちょっと生き過ぎたんじゃないの?
…なんだか知らないけどさ、本当に失礼なガキだね。ルナ様?こいつに心当たりはありますか?
ありません。何故私の事を知っているのかも分りません
…そうですか。分りました
う~ん。謎だらけにゃね~
しかし、それだけ存在が消えかかってるのに、空間移動能力だけは衰えてないみたいね。まさかあの場所から追い付くなんて
貴様…何故それを?
にゃにゃにゃ?
………セレナ、シカナ。支援を頼みます。この少女とは会話が成り立ちそうもないので
…はい
了解しましたにゃ~
成り立たなくしてんのはどっちよ
非常に残念です…シズク?
…はい
最後に聞かせて下さい。この行動は貴方の意志によるものですか?
………そうです。全て私の意志による行動です。女神様。私も最後に一つだけお聞きしたい事があります
…なんでしょう?
月の危機を救うために神器アマテラスを発動し地球を破壊する。これは事実ですか?お聞かせ下さい
…全て事実です。シズク…貴方には最後に私から説明するつもりでした
…何故……何故ですか!?女神様!!地球が!あの美しい星が!!私達が住むこの月にどんな災厄を招いたというんですか!?
美しい!?これだから見た目しか見ていないガキは嫌いなんだ。いいかい?あの星は…
セレナ、私から説明します。シズク?あの星は…地球は…穢れてしまったのです。人間が生み出した毒に汚染されています。そしてその毒はアマノガワを渡り、この月をも蝕
もうと…そう、いずれ地球のようになるのも時間の問題でしょう
ど、毒?まさか、そんな…
本当の事だにゃ~。短い期間ではあるけどアマノガワを渡って少しづつ、この月を蝕んでいったのにゃ
月はもう限界。ギリギリの状態。月を救うにはもう、地球を破壊するしかないの
そこで破壊の神器であるアマテラスの出番ってわけにゃ。あれを完全な状態で起動すれば地球なんて一発で粉々にできるにゃ
その為に私達…巫女の力が必要だったわけね
そうよ。ま、あんた達がいなくても、もう充分に起動の為の力はあるんだけど、ま、念には念をって事で、ね。つまり予備。保険よ。保険
そうにゃ。実際、もう何時でも打てる準備は出来ているのにゃ
その通りです。あとは私が発動させれば地球は…
そ、そんな、それじゃ、もう…セイカさん…
…あは……あはは…っはははははははははははは
セ、セイカさん!?どうしたんですか?
…
きゅ、急になんにゃ。こ、怖いにゃ…
いや、あまりにも下らない嘘ついてきたから可笑しくてさ。いや…ルナ。あんたさ、ただたんに地球が嫌いなだけでしょ?違う?それで、この世界の人間を欺いて、長い間貯めてきた自分の力をそれだけ消費してまで、アマテラスを無理やり起動したんじゃないの?
!?
失礼な奴にゃ
……
どうやら貴方とは真面な会話は出来ないらしいですね。残念です。そしてシズク貴方も…
来るか…逃げるよ。シズクちゃん
私がシズクちゃんの方を向いたその時…
何かを貫くような…
そんな…
そんな音が響いた