失意の高円寺が都会の喧騒を後にするも、

逆方向の電車に乗ってしまったことに気付かず、
よだれを垂らして居眠りをしていた頃、


マジガチリアル研究所では

本間博士とナミコちゃんがスマブラに興じていた!

本間マコト

うわあああ!!また負けたああああ!

波ナミコ

私の33勝4敗です。約束通り来週分の炊事、風呂掃除、ゴミ出し当番は博士にやってもらいます

本間マコト

いやああああ!

でも下僕みたいに、
こき使われるのも悪くはないぃぃ!!

波ナミコ

どんだけドMなんですか…

本間マコト

もっと蔑んでー

本間マコト

……ん?もう17時か…

波ナミコ

そうですね。どうかされました?

本間マコト

そろそろ日が落ちるな…。

“扉"の点検に行ってくる

波ナミコ

…‼︎ 私も行きます。お一人では…

本間マコト

大丈夫だ、ナミコくん。まだ暗くなるまでには時間がある。私も男だぞ、心配いらない

波ナミコ

…わかりました。お気をつけて

本間マコト

ああ

らしからぬ神妙な顔を浮かべた本間博士は、
研究所を出て、

建物の裏に鬱蒼と生い茂る森の中へ入っていった。


しばらく森の中を歩くと、突然ひらけた場所に出る。


そこは、地面は乾いていて石ころだらけ。
周囲を木々が、城壁のように囲んでいる。

目線を上げていくと奥に、夕日に照らされた大きな岩壁があった。

岩壁は己の前に立つものを見下すかのように聳え立ち、

重厚で威厳に満ちた存在感は、見た者を脅えさせるに十分だった。


その恐ろしげな岩壁の隅に、
不釣り合いな人工物がひとつ、
ぺたりと張り付いている。


古びた扉だ。


鉄製の装飾さえないシンプルな扉は、
錆びに覆われ、ところどころ風化している。

ドアノブには、扉にも劣らないほど錆びた、
今にも朽ちそうな古い鍵が刺さっている。


鍵は、はじめからそうであったかのように、
鍵穴に癒着し、一体となっていた。

本間マコト

…。今日も異常はない…

本間マコト

誰かがドアノブに触れた形跡もない、か…

本間マコト

10年前、当時の彼女にフラれ、自暴自棄になって山を彷徨っていた時、たまたま見つけたこの扉

本間マコト

鍵は錆びているせいか、回すことも抜くこともできない

本間マコト

当然、鍵が開かないから、扉もびくともしない

本間マコト

だが、その後、何度か見に来てみると、扉を開けた形跡が地面に残っていた

本間マコト

こちら側からは開ける術はないし、開けた形跡もない

本間マコト

となると、考えられるのはひとつ。扉の向こう側から開けられたということ

本間マコト

だがそれはありえない!

本間マコト

なぜならこの扉の向こう側を調べても、空洞どころか、わずかな隙間さえ存在しなかった

本間マコト

岩肌にへばりついているだけの無意味な扉

本間マコト

私はこの扉を調べるため、こんな住みたくもない片田舎に研究所を建てた。そして10年かけて、この地域の地形、生物の分布、伝承、全てを調べ尽くした

本間マコト

そう10年…。その間、新しい彼女もできなかった…!

本間マコト

そんなことはどうでもいいっ……ことはないけど

本間マコト

この地域にのみ生息するモンスターたち!

不自然な重力場と高エネルギー反応!

そして、この地に伝わる超能力者の伝説!

本間マコト

これらから導き出された答え…、それは…!

本間マコト

あ、うんこ踏んだ…

本間マコト

本間マコト

もおおお。帰るっ!

本間マコト

ナミコくぅぅぅん!!うんこ踏んじゃったよぉおおっっ…


それから数時間後…

本間マコト

ねえナミコくん。今日もカレーなの?

波ナミコ

だって余ってるんですもん

本間マコト

うんこ踏んだ人にカレーって、どーよ

波ナミコ

高円寺くん、帰ってきませんね

本間マコト

無視っ…!

本間マコト

まあ帰るときには連絡のひとつくらいくれるんじゃない?

波ナミコ

いやでもあの人、貧乏だから携帯とかスマホ、持ってないみたいですよ

本間マコト

まじ?不憫やな…

波ナミコ

迷ってなければいいですけど…

高円寺コウジ


迷ったあああああ…!

高円寺コウジ

方向は間違ってないはずなんだけど

高円寺コウジ

森の中に研究所作った本間博士が悪い

高円寺コウジ

スマホもないからGoogle先生に現在地聞くわけにもいかんし…

高円寺コウジ

そもそも持ってたとして、こんだけ山奥じゃ圏外か…

高円寺コウジ

暗いなあ…

高円寺コウジ

指先を発火して明かりにしてるけど、腹が減って火が小さくなってきた…

研究所まで瞬間移動すればいいじゃん

高円寺コウジ

方向と距離をある程度イメージできないと瞬間移動は無理なの!

なにその、道に迷うためのご都合主義…!

高円寺コウジ

うるせえな!メタ発言やめろ!

高円寺コウジ

……

高円寺コウジ

誰だ!

高円寺コウジ

いやだこわい

高円寺コウジ

この辺モンスター出るらしいしな…。こわいの、やーよ

高円寺コウジ

あれ?空がひらけたぞ…⁉︎

高円寺コウジ

もしかして森を抜けたのか…?

高円寺コウジ

夜空が広い…。星が綺麗だ…。さすが田舎

高円寺コウジ

いててて…。頭打った…

高円寺コウジ

……壁?

前見て歩かないからだよ!

高円寺コウジ

今後は気をつけます…って、誰だよっ!さっきから!

高円寺コウジ

高円寺コウジ

もーこわいー

高円寺コウジ

はやく帰りたいー

高円寺コウジ

⁉︎

高円寺コウジ

扉だ…

高円寺コウジ

なんでこんなところに…

高円寺コウジ

⁉︎


案の定、道に迷ってしまった高円寺は、
案の定、恐ろしいモンスターと遭遇してしまう!

高円寺はこの危機をどう乗り切るのか!


それより気になるのは、
読者が忘れかけていた頃に突然出てきた
本間博士の敵(?)設定!


古い扉と鍵の謎とは?

本間博士は何を知っているのか⁉︎

なぜ本間博士は当時の彼女に振られてしまったのか⁉︎


これらについてはいつ触れられるか作者もわからない!
もうちょっとだけ我慢して読んでください!

第5話 ※ちなみに今回は、ちょっとだけ『バトルもの』らしく話が進みます。

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