『“超”能力者求ム!』のポスターを見て、

『高橋タカシ脳科学研究所』に乗り込んだ
超能力者・高円寺コウジ。


超能力テスト会場の部屋に集まった3人の自称能力者!

高円寺コウジ。

3流マジシャン・吉本ヨシト。

幼女・佐々木サキ。



そして現れた館の主人、脳科学者・高橋タカシ。

彼の狙いとは一体…!!



いよいよ、始まる『3枚のカード』テスト!!

第4話スタート!

高橋タカシ

さてここに3枚のカードがあります。ポスターに載っていたのは、このカードを模様だけでなく、色味まで正確に捉えた実物大の写真です

高円寺コウジ

見た目には何の変哲もない普通のカードだ…

高橋タカシ

3枚のカードの表面にはそれぞれ、
○、☆、△の図形が描かれています

吉本ヨシト

確かに

高橋タカシ

裏面はこんな模様になっています。格子模様とでも言いますか

高円寺コウジ

どのカードも裏模様は一緒のようだな…

吉本ヨシト

…果たしてそうかな?

高円寺コウジ

…どういうことだ?

吉本ヨシト

常人には分かるまい

高円寺コウジ

なんだそれ

高円寺コウジ

まあいい。俺の透視力さえあれば、容易いことだ

高橋タカシ

この3枚のカードをよく混ぜ、机に裏向きのまま並べます。その状態で皆さんには、裏面だけを見て、表の図形を当ててもらいたい

高円寺コウジ

透視力のテストってことだな

高橋タカシ

透視…?

吉本ヨシト

さあ早くやろうぜ!

高橋タカシ

…いいでしょう。では、まずは吉本ヨシトさん

吉本ヨシト

よっしゃー!!きたああ

高橋タカシ

…それではお願いします

吉本ヨシト

うーーん…。ちょっと待ってねー…

高橋タカシ

どうでしょう。少し時間がかかっているようですが…

吉本ヨシト

いや!もう少しで……。1つは簡単なんだけど…

高橋タカシ

…そろそろ時間切れでs

吉本ヨシト

……わかった!!
これが○で、これが☆、そして△!!

高橋タカシ

…正解です

吉本ヨシト

よっしっ!!

高橋タカシ

どうしてわかりましたか?

吉本ヨシト

そ、そりゃ…、超能力で

高橋タカシ

その超能力ってやつの内容を詳しく知りたいんです

吉本ヨシト

それは…、その

高橋タカシ

吉本ヨシト

…カードの裏面は一見同じに見えるけど、それぞれ微妙に違っていて、それで見分けがついたんです…

高円寺コウジ

超能力じゃねえ…!!

高橋タカシ

高橋タカシ

あなたには裏模様の差異が認識できたということですね?

吉本ヨシト

ま、まあ…そういったところかな…

高橋タカシ

…合格です。2次試験である精密検査をお願いします

高円寺コウジ

!?

吉本ヨシト

…お、おう。…そうだよな!俺は今世紀最強のサイキックだもん!合格しないわけがない!

高円寺コウジ

なぜだ…。超能力に懐疑的なはずの高橋教授が、やつの子供だましを見抜けないなんて…

高橋タカシ

では次、あなた…、名前は?

高円寺コウジ

高円寺コウジ

高橋タカシ

リストにはない名前ですが、いいでしょう

高円寺コウジ

おう。まかせろ

高橋タカシ

…それではお願いします

高円寺コウジ

高円寺コウジ

見えた…

高円寺コウジ

俺から見て右から、☆・○・△だ

高橋タカシ

…お見事。ではどうしてわかったのか、お教えいただけますか

高円寺コウジ

なんでって、透視だよ

高橋タカシ

…冗談はいいですから

高円寺コウジ

いや、冗談じゃないから。強く念じれば、目をつぶろうが、障害物があろうが、向こうのイメージが脳に浮かぶんだよ

高橋タカシ

私をからかっているんですか

高円寺コウジ

はあ?ちげーよ、まじで言ってんだよ

高橋タカシ

…透視?ふざけるな!そんなもの存在しない!!

高円寺コウジ

なんだと!?

高橋タカシ

不合格だ!おまえは『マジガチリアル研究所』にでも行ってろ!

高円寺コウジ

そこに住んでんだよ!!

高橋タカシ

へ?なんで

高橋タカシ

とにかくおまえはだめだ。…次、佐々木サキさん

佐々木サキ

はい

高円寺コウジ

くそお…

吉本ヨシト

これで俺の方が『真の能力者』だと証明されたな

高円寺コウジ

うるせえっ…。あいつは見る目がない

高橋タカシ

さあ佐々木さん、やってみてくれるかな

佐々木サキ

うん! これがさんかくで、これがまる、これがおほしさま!

高円寺コウジ

!?

吉本ヨシト

速い…

高橋タカシ

…どうしてわかったのかな?

佐々木サキ

えっとね。だって書いてあるもん、ここに


佐々木サキは
かわいらしい人差し指を目一杯伸ばして、

カードの裏模様を指し示した!

高円寺コウジ

はあ?裏模様に書いてある…?

吉本ヨシト

何が書いてあるんだ?図形か?何かの印か?

高円寺コウジ

さあ…

高橋タカシ

合格だ…!

高円寺コウジ

!?

高橋タカシ

ではお二方、こちらへ

高円寺コウジ

…おい待てよ!こんなの超能力なんかじゃない!

高橋タカシ

超能力?…君はなにか勘違いしてないか?

高円寺コウジ

なんだと…?

高橋タカシ

私が求めているのは、“超”能力者。常人にはない能力を持つ者

高円寺コウジ

だから、透視能力とか、人体発火とか、瞬間移動とかそういうのだろ?

高橋タカシ

笑わせるな!そんなもの非科学的だ!さっさと出ていけ!!

高円寺コウジ

くそお…

高円寺コウジ

言われなくても出ていくわ!!

高円寺コウジ

高円寺コウジ

なんで俺だけ不合格なんだ…

高円寺コウジ

ヨシトは無駄に鋭い観察力とマサイ族並みの視力で、裏面の模様の細かい違いを見抜くという、こすい手段で切り抜けただけだ…

高円寺コウジ

だが、あの幼女…

高円寺コウジ

裏面に書いてあるとはどういうことだ…?

高円寺コウジ

なにか彼女だけが認識できる印があったのか…

受付嬢

ちょっとあんた!

高円寺コウジ

あ、さっきの受付の

受付嬢

なんでまだここにいんのよ

高円寺コウジ

いや…その…

受付嬢


 帰れい!!

高円寺コウジ

すんません…

高円寺コウジ

あーあ…、帰りづらい…

高円寺コウジ

本間博士になんて言われるか…

吉本ヨシト

おーい!高円寺!

高円寺コウジ

!!

高円寺コウジ

あれ…?ヨシト、おまえ精密検査だったんじゃ?

吉本ヨシト

だめだったよ。今回は不合格だってさ

高円寺コウジ

吉本ヨシト

だけど、3枚のカードの謎わかったぞ。高橋教授の狙いも

高円寺コウジ

!?

高円寺コウジ

なんだって!

吉本ヨシト

やつが探していたのは…

吉本ヨシト

“4色型色覚”だ!!

高円寺コウジ

なんだそれ

吉本ヨシト

俺もよくは知らん

説明してあげましょう。

皆さんは、光の3原色をご存知ですよね。
我々人間の目は普通、この3つの光、『赤・青・緑』を感知する3種類の細胞を持っています。

これらの細胞が波長の違う光を捉えることで、我々は色彩を認識しているのです。

4色型色覚とはこの3種類の細胞のほかに、もう1つ、別の色を捉えることができる細胞を持つ目のことをいいます

吉本ヨシト

それ、説明正しいの?

さあ。学術的にはがばがばでしょうね。

たぶん突っ込みどころ満載

吉本ヨシト

だめじゃん

高円寺コウジ

てかおまえだれだよ

通行人A

高円寺コウジ

要するに、常人より認識できる色が多い人ってことね

吉本ヨシト

まあそういうことだろうな

高円寺コウジ

で、博士はその4色型色覚を持つ人間を探していたわけか

吉本ヨシト

ああ。あのカードは一見、1色だけで構成された裏模様に見えたけど、実は4色型色覚の人間だけが捉えられる色で大きく『○、☆、△』が書いてあったってわけ

高円寺コウジ

はあ。なるほどな

吉本ヨシト

で、あの幼女は4色型色覚だったから判別できたみたいだ。精密検査でもお墨付きが出た

高円寺コウジ

おまえは4色型色覚じゃなかったわけだな

吉本ヨシト

うん。でも、ある意味『合格』だって。また来いと

高円寺コウジ

…? てかある意味、合格ってなんだよ

吉本ヨシト

いやさあ、俺、裏面の模様の細かい違いを観察して区別してたわけ

高円寺コウジ

俺には全く違いが分からなかったがな

吉本ヨシト

で、検査してみたら、俺が、顕微鏡でしか判別できないような微妙な差異を、肉眼で認識してたってわかったもんだから、びっくりしたって。もっと俺の目を研究したいと

高円寺コウジ

おまえすげーな

吉本ヨシト

まあ“超”能力ってやつ?

高円寺コウジ

そ、そうだな…

高円寺コウジ

…世の中にはすごいやつがいっぱいいるんだなあ

高円寺コウジ

俺なんて凡人じゃないか…

高円寺コウジ

大人しく帰って、カレーうどん食おう…


ちょっぴり自信を無くし、
とぼとぼと帰路に着く高円寺。


だが、やがて時刻は夕方5時!

今から帰ると、
マジガチリアル研究所に着くころには立派に夜だ!

日の落ちた研究所付近では、
モンスターたちが腹をすかせ、蠢いている…!


だがハートブレイキン・高円寺はそのことに気付いていない!



果たして彼は、無事、マジガチリアル研究所に帰り着くことができるのか…!?




ちなみに彼は律儀な男なので、交通費を少し浮かせて、
その分で本間博士とナミコちゃんへのお土産を買っていた!

貧乏だけど育ちはいいぞ!高円寺!

第4話 ※ちなみにサキちゃんには、カイトくんというボーイフレンドがいます。

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