昨日は逃げるように深津家をあとにした遼。
澄んだ浩輔の瞳と、圭子の質問の嵐に耐えられる自信がなかった。だからといって、そのまま家に帰るはずもなく、しばらくコーヒーショップに腰を落ち着けていた。
今朝も母親に小言を言われる前に家を抜け出し、学校へと向かった。
よく眠れなかったせいか、一時間目の授業は身が入らず、次の体育も眠さに負けそうだ。
ボーっとする頭を振り、遼は着替えを済ませて体育館へ向かう。
女子たちも一緒に体育館での授業らしく、みんな向かう方向は同じ。遼も波に乗って移動する。
暖かな日差しが窓から差し込み、ついつい大あくび。抜き去っていく女子たちが、小さく笑って「こけるなよ」と声をかけてきた。
遼は頬を染め、口元を隠してあくびを続ける。