シグレが目を細める。うん、と青い宝石は微笑んだ。
……私の両親ね
シグレが目を細める。うん、と青い宝石は微笑んだ。
私のことを研究しているって言ってた。
魔法なんてなくなっちゃえって思っている人たちの集まりに入っているけど、研究を続けるうちに、魔法使いの話も聞かなきゃいけないんじゃないかって思ってくれたんだって。
私が悪い魔法使いじゃないこともわかってくれたし、私たちの常識はおかしかったって、お母さん言ってた
……それで、こんな世界を終わらせるって
俺が言うと、青い宝石はそうだよ、とこちらに視線をよこした。
そう、こんな世界は終わらないといけない。
私たちは間違えていた。
ゆっくりだけれど変えましょう。
共存しましょう。そう言ってた
でも死んだ
シグレが、固い声で言う。青い宝石は、目を閉じる。
でも、死んだわ。
あなたが殺したんだと、私はずっと思っていた
違うよ
シグレの言葉を、青い宝石は予期していたのかもしれない。
冷静に、静かに、首を横に降る。
なんで死んじゃったか知らないけれど、私は、お父さんとお母さんが、裏切り者だって殺されたんじゃないかと思ったよ
今度はシグレが目を閉じる。
彼女もきっと、青い宝石のその言葉を予期していたのだろう。
……少しだけ、時間はかかると思う。
私はずっと、あなたを恨んでいた。
まだ、現状がきっと半分も理解できていない
シグレが、ぐっと拳を握りしめるのが見えた。
あなたが嘘をついている可能性だってある
嘘じゃないよ
わかってるわ、でも、わからないの
拳が、静かにほどかれる。
……嘘だったら、そのときは私があなたを殺すわ
うん
あなたを信じるわよ
いいよ
青い宝石が笑う。
私も、信じていい?
……あなたが嘘をついていないと誓うのなら
シグレが立ち上がる。
手が差しのべられる。
信じていいわ
青い宝石は微笑んで、彼女の手を取った。
目をつむり、うん、と頷く。
嘘じゃない、ありがとう
子どものように笑って、直後、彼女の体から力がふっと抜けた。
なっ……!
キツネは慌てて、たおれこんだ青い宝石を支える。
どういうことだ? これ、機械だぞ?
えっ、とシグレがのぞきこむと同時に、後ろから扉の開く音がした。