確信に近い感情を抱きながら、俺は駆け出す。
へたりこんでいるシグレさんの顔を覗きこみ、静かに訊く。
確信に近い感情を抱きながら、俺は駆け出す。
へたりこんでいるシグレさんの顔を覗きこみ、静かに訊く。
シグレさん。
ダミーを見つけた場所、教えてもらってもいいですか。
それを教えてもらえれば、俺は本物の居場所がわかるかもしれない
シグレは放心したように目をぼんやりとあけながら、えっとね、と思い出すように言う。
ベッドの中と、机の下
確信に変わる。
隠れ場所、ストーブ、洗濯桶、タンス、ベッドの中、机の下。
みんな、お母さんを待っていた。
調べなければならないことがあります。
キツネさんは、シグレさんのそばにいてください
そう言って二人から距離を取り、倒れた青い宝石のダミーを調べる振りをしながら、声をひそめて、サンザシに言う。
狼と七匹の子ヤギだ
屈んでいたサンザシは、楽しそうに微笑む。
正解です!
クリア条件は
本物を見つけて、母親と再開させることです
母親はシグレ、そうだね
そうです
本物は、時計の中に隠れてたんだ
キルズの本部を思い出す。
大きな、時計塔。先程、俺を見下ろしていた。
キツネがくれたメモには、そうだ、ほぼだれも立ち入らない、と書いてあった。青い宝石は、ずっと俺たちのすぐそばにいたのだ。
俺は立ち上がる。
シグレさん、キツネさん、本物の居場所がわかりましたよ
二人がそろって目を見開いた。シンクロしている。
やはり、二人は根本的に気が合うのだろう、と考えて、思わず頬が緩む。
どうして?
シグレが、わかりやすく端的な質問をしてきた。
ふむ。なるほど。
どうして、でしょうね
ふざけるなよ、サミー
キツネが俺をじとりと見つめてくる。
ふざけているつもりはないのだが、しまった、うっかりだ。どうしよう。
今、このダミーちゃんがそう言ったって言えばいいのでは?
サンザシさんナイスアシスト! シンプルイズベストだ。
すみません、冗談です。
今、このダミーが言ったんですよ。
さっき、シグレさんに他のダミーの場所を聞いたのは、このダミーが教えてほしいと言ったからです。
よくわかりませんけれど、それがパスコードか何かになっていたのかもしれません。
とにかく、俺たちは本物に呼ばれています。
向かいましょう
おおー、即興でお話を作るのが上手ですねえ
サンザシさんが手を叩いている。
あなたには負けると言いたいけれど、それは飲み込んで。
本部の時計台の一番上で、待っているようです
まじかよ! 灯台もと暗しだなおい!
キツネが頭を抱える。その横でシグレも頭を抱えている。
そんな情報入ってないわ……よっぽどうまく隠れてるのね