第四章


容疑者



板垣あずみのバッグから被害者・直也の生命線であるぜんそくの薬が出てきて彼女に容疑がかかってしまう。

あずみ

やだ!特にこの刑事さんは嫌!

草野

…いいから来なさい。絶対吐かせてやる。馬鹿そうだからいろいろ世の中の事わからせてやるよ

あずみ

やだー、キモイー!

花園

…ごめんなさいね。いろんな意味で。ところで真希子さんは午後2時から5時までどこで何をなさっていらっしゃったの?

真希子

え?あの…板垣さんが犯人では?

花園

いえいえ、彼女は現時点ではあくまで重要参考人です。ごめんなさいね、職業柄どうしてもいろいろ把握しておかなくてはいけませんの

真希子

わかりました…その時間は表参道で買い物をした後、喫茶店で仕事をしていました

花園

それを実証できる方はいらっしゃいま
 す?

真希子

ショップのポイントカードがIDカードなので履歴を見ればわかると思います。あと仕事に関してはメールでクライアントにデータ送信したのでこちらも履歴を見ていただければ

花園

なるほどわかりました。大変ですねえ。プライベートと大事な仕事をこんな数時間の間に。私なんかズボラで…憧れちゃいますー

真希子

こうみえても主婦と仕事、両立して
 やってきましたので

花園

あらー、そうですよねえ。何もかもすごい行き届いてますものねえ。何よりあなた自身がとってもキレイ

真希子

いえ、そんな

花園

ところでさっきから気になっていたんですけどこのドーナツ。ひょっとして表参道アンデルセンの一日20食限定の…

真希子

はい。茶蕎麦リングです

花園

キャー感激!一つ頂いてもいいかし
 ら?いつもサイクリングの帰りによって見
 るんですけど必ず売り切れてて

真希子

どうぞ

花園

わーわーわー!頂きまーす

ドーナツを手に取る花園。半分に割って匂いを嗅ぐ。

花園

キャー、美味ー!茶蕎麦畑見えたー!

鑑識

だから現場のもの勝手に食べないで下さい!!

花園

野暮ったい事言わないの。エイ!

花園

はい、証拠隠滅で共犯ね

鑑識

そんなあ

花園

でも、正直に言いなさい。美味しいで
 しょ?

鑑識

ま、まあ確かに

真希子

うふふふ

花園

あら、すいませんねえ。警察の醜態を晒してしまって

真希子

いえ、ちょっと元気になりました。
 私の方こそ不謹慎ですね。主人がこんな事
 になってるのに…刑事さん、この後お時間
 空いてます?

花園

はい?

真希子

一緒にお食事でもしながら、何か事件のお役に立てるお話がちょっとでも出来たらと。それに今日は何も仕事が手に付きませんし

花園

私でよければ是非!

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