水中都市から脱出した翌日――
宿屋のベッドの上で目を覚ました僕は、
ゆっくりと起き上がった。
窓から差し込む朝日が眩しい。
あのあと、
僕はミューリエやシーラに泣きながら事情を
話したんだと思う。
でも詳しくは覚えていない。
きっとその内容は、
彼女たちからタックたちにも
伝えられただろう。
ちなみにタックやビセットさん、
バラッタさんは地上に戻ってすぐ、
島民や船の乗客たちの避難誘導を
していたらしい。
水中都市水没による大波は規模が小さくて、
人的にも物的にも
目立った被害は出なかったみたいだけど……。
――でも僕はかけがえのない仲間を、
レインさんを失ってしまった。
こんな想いはもうしたくない。
みんなにもさせたくない。
だから一刻も早く世界を平和にするんだ。
そのためにも僕はもう泣いていられない。
顔を上げて、前へ進まないと!
そうじゃなかったら、
天国に行ったレインさんに怒られちゃうもん。
強く生きて、
僕がみんなを支えなきゃいけない。
だって僕は勇者なんだから!