そんなわけで土曜日になった。これから起こることを想像しただけで胃が痛くなりそうになりながらも言われた通り校門に集合する。しばらくすると学校の玄関から怪しい女子二人が出てきた。

おっはよーやなぎん

おはようやなぎん

お、おう

なにー どうしたの?
もしかして私たちの私服姿に惚れた?

私服っつーかいつもの格好じゃねーか!!

まぁ 本人に一番合う格好が一番だしね

・・・メリーさんもそのまんまなんですね

ちょっと前は浮いてたけど最近はゴスロリファッションなんてあるし
便利な時代になったものよね

似合っててもゴスロリファッションがあっても目立つだろうが

まあ こんな美少女二人を連れてればやなぎん目立つよねー

ちげーよ
花子さんの格好なんて昭和何年だよ おばさんたちが懐かしさ噛み締めそうじゃねぇか
メリーさんもいくらゴスロリファッションがあったとしても目立つもんは目立つんだよ

でも アニメとか漫画とかじゃ周りの人は目にもとめないじゃない

それは漫画アニメだからだろ
しかもこんな地方都市にゴスロリなんてお前ひとりだ

もういいでしょ 私もメリーちゃんも他にないんだから 行くよ

不安は現実となってしまった。幸先が思いやられる・・・。せめて知り合いに会わないようにしないとなんて考えながら俺ら一行は出発した。

通りでここ最近もなんかよくじろじろ見られるなって思ってたけどまだ浸透はしてないのね
まあ昔ほどじゃないけど

そういえば メリーさんあの都市伝説のヤツどうやってやってるんですか?

メリーさんの都市伝説の怖さは自分の番号が知られていること、そして徐々に異常な速さで近づいてくることにある。

そうねー

するとメリーさんはバックから何やら分厚い本を取り出した。

これ私の七つ道具の一つ目 すべての電話番号が載ってる電話帳
しかも簡単なプロフィール付き

スゲー

これで掛ける人を選ぶの そしてもう今は使わないけど七つ道具の二つ目 何回でも使えるテレフォンカード これを使って公衆電話で電話を掛けるの
今じゃ公衆電話の数も減ってるし使わないけどね

このゴスロリ公衆電話で電話をかけているところを想像すると中々シュールである。

最近じゃテレフォンカードを知らない世代もいるからな

恐ろしい世の中になったものよね
そして三つめ 携帯電話

フツーのケータイだな

そうだけど私の力で周りの音をシャットダウンする機能もあるの
玄関のチャイムとか洗濯機の音とかあちらに聞こえたら雰囲気台無しだもの
更に恐怖を煽るノイズ音やエコーを勝手に入れてくれるの
かけた人の現在地も分かるの

えらく生活感出てくるしな

そして四つ目のこの傘

バッグからゴスロリ風の折り畳み傘を出す。
見た目はともかく普通の折り畳み傘である。

雨はもちろん紫外線も完全にカットするわ。やっぱり見た目が大事ですものね
あと空も飛べるわ

サラッと最後がすごいんだが

あとは 妖力で透明になったりすり抜けたりして直線距離で掛けた人のところへ人間じゃ無理な速度で向かうってとこかしら

更にすごいことさり気なく言ったぞコイツ
妖力何でもありかよ

妖力はその妖怪の性質でできることは決まってるけど透明化 すり抜けは基本だよね

・・・ていうか 私のときはそこまでだったのにメリーちゃんにはえらく食いつくじゃん

だって花子さんは待ち伏せて驚かせとけばいいだけじゃん

こっちだって苦労してんだよー
呼ばれた時の「はーあーい」の言い方とかさ
てかあの部屋自体すごいからね!!

あの部屋は花子さんの妖力なの?

え? それは違うけど・・・透明化とすり抜けくらいできるもん

・・・あっそう

このあと電車に乗ったのだが花子さんが駅に入って「切符ってどう買うの?」とかメリーさんが改札で止められて「切符持っただけじゃ改札通れないの?」などいろいろハプニングがあったのだが割愛させていただく。そんなこんなでやっと目的の駅に着いた。

なんかもう疲れた・・・ガチインドア派の花子さんはさておきメリーさんは外に出るから電車使う機会はあるでしょうよ

傘で飛ぶから・・・

そうですか

やはり人ならざる者に人の常識は通用するとは限らない。そう実感した。

やっと着いた

普通ならこんなに疲れることはないんだろうが・・・なんせ普通じゃないからな。あとこれはずっとなのだが視線が痛い。やはりこいつらは目立つ。時代遅れの小ロリとゴスロリの中ロリを連れそってるのが見た目普通の高校生男子なのだから逆に浮く。早く用終わらせて帰ろうと決心して携帯ショップがあるショッピングモールの中に入る。

うわーすごーい

ここ来たことあるけど今までただの通り道として通ってたからゆっくり見るのは初めてね

あー かけた人に向かうときのね
ほらさっさ行くぞ

いーじゃん ちょっとくらい・・・

はいはい後でな

本当は後でも無いのだがおかまいなしに連れていく。携帯ショップの位置を確かめ脇目も振らず向かい着いた。

いらっしゃいませ

あ!!コンちゃん

ホントだコンちゃんだ

久しぶり 二人とも!!あなたが柳田くんね

あ はい・・・

スマホに機種変更なさるのでしたね こちらにどうぞ
二人はどれがいいか選んでてね

柳田君とメリーさんの秘密

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