騎士たちの戦闘が終わるも、同じころ剣闘士と女勇者の騎士は魔王の用意した巨大な魔物と戦っていた。

騎士

はあ!

ガキンッ!

女勇者の騎士の攻撃するも魔物の体は硬く、有効な攻撃とはなっていなかった。

騎士

ふん、やはり硬いな。ただの攻撃では傷をつけるくらいにしかならないか。

参謀

魔王様のとっておきです。そう簡単に倒せると思わないでください。

騎士

まるで自分の物のような言い分だな。

参謀

いいんですか、そんなに余裕そうな状態で。あちらの方も苦戦しているようですよ。

剣闘士

うらうらうらー!

剣闘士は修行で得た剣術を用いて、正確に攻撃を当てていた。

参謀

あの程度の威力で攻撃が通ると思ってるんですかね。

参謀

ただの時間の無駄です。

ガアアアアアアアアアアアア!

剣闘士

うわっあぶねえ!

騎士

剣闘士ちょっと来い。

魔物の攻撃を避け、一時的に魔物と距離をとった剣闘士を女勇者の騎士が呼んだ。

剣闘士

先生。あいつすげえ硬えよ。全然剣が通らねえ。

騎士

剣闘士、お前はどういう風に戦っている?

剣闘士

そりゃもちろん修行みたいに相手の深手を負いそうなところに攻撃してるけど。

騎士

やはりな。

騎士

剣闘士、いったん剣術のことは忘れろ。

剣闘士

何言ってんだ先生!修業の意味がなくなるだろうが!

騎士

お前の剣は剣術を意識しすぎて威力が落ちている。そんな攻撃ではいつまでたっても勝てん。

剣闘士

でも、修行したことを忘れろって…。

騎士

そうは言っていない。今のお前ならばあの魔物の攻撃くらいならすべてさばけるだろう。

騎士

だからあいつに向かって力の限り剣を振れ。本来のお前の力なら十分戦える。

剣闘士

……わかった。やってみるよ先生。

騎士

ふん。ではまずは足だ。急所を狙おうにもあの大きさでは剣が届かない。

剣闘士

先生なら敵を使ってジャンプできそうだけど。

騎士

お前は私をなんだと思ってるんだ。

参謀

遺言は決まりましたか。

剣闘士

うるせえ!今すぐその魔物とお前をぶっ倒してやるからな!

参謀

負け犬はよく吠えると言いますがほんとなんですね。

剣闘士

んだと…。

騎士

熱くなるな、剣闘士。戦えもしないやつに何も言う資格はない。

参謀

言ってくれますね。何もできず無様に死んでいくというのに。

騎士

ふん、その大口がいつまで叩けるかな。

騎士

行くぞ!

剣闘士

おう!

女勇者の騎士の掛け声に反応し、二人同時に魔物に向かって駆け出した。

ガアアアアアアアアアアア!

剣闘士

邪魔すんな!

魔物の攻撃もいなし、魔物の足元にたどり着いた。

騎士

剣闘士は右足だ!叩き斬れ!

剣闘士

うおらあああああああ!

ガアアアアアアアアアアア!

二人の渾身の一撃により魔物の両脚が切断された。

参謀

そんなバカな!

騎士

まさか本当に斬るとはな。

剣闘士

全力だしゃこんくらいできるさ!

騎士

これで急所も届く。さっさと終わらせるぞ。

剣闘士

ああ!

参謀

よせ!やめろ!

剣闘士

うりゃあああ!

ガアアアアアアアアアアアアア!

剣闘士の攻撃により、魔物の体が大きく斬られ、魔物が叫び狂う。

騎士

騒々しいな。黙ってもらおうか。

ガアアアアアア………

女勇者の攻撃により、魔物の首が落とされ叫び声が止んだ。

剣闘士

さすが先生!やるな!

騎士

とっておきにしては歯ごたえがないものだ。

参謀

そんな、あの魔物を倒すなんて、化け物か。

剣闘士

先生あいつはどうする?

騎士

あれは一応人間だからな。捕まえて町に連れて帰る。処分はそこで決めよう。

剣闘士

了解!

参謀

うっ…。

剣闘士

ふいー、終わった。

騎士

なかなかいい動きだったぞ、剣闘士。

剣闘士

ほんとか!ありがとうな先生!

騎士

お前ならきっといい騎士になれる。

剣闘士

は?

騎士

お前さえよければ、騎士として働かないか。きっと優秀な騎士になれる。

剣闘士

それほんとか!

騎士

もちろんだ。

剣闘士

やるぜ!先生みたく強い騎士になるよ!

剣闘士

おい騎士!先生が笑ったぞ!わたし初めて見た!

騎士

……私も見たかった。

剣闘士

先生!もっかい笑ってみてくれ!騎士も見たいって!

騎士

主様、無事ですか。

剣闘士

んだよ無視すんなよ先生!

騎士

………。

女勇者

あんなやつ、別に何でもありませんでした。

女勇者

それより勇者の後を追わないと!いったいどこに行ったんですか!

騎士

いえ、私も知りません。

女勇者

ああもう!私が魔王を倒したいのに!

こうして魔王を除いた魔王一味を全員倒し、一息つく一行たち。しかし、魔王を追いかけた勇者と姫の居場所がわからず、後を追うことができなくなってしまったのだった。

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