砂場で泥団子を作って、誰が一番大きく綺麗にできるか競争したり、ブランコに乗ってどれだけ高く漕げるか試したり、滑り台を立ちながら滑れるようになりたいと奮闘したり。
久しぶりに無益なことをしているな、という気分に遼はなった。
そうは言っても、いつも当てもなくフラフラしているので利益などないのだが、家から逃げることは義務になりつつある。
今日のように、何も考えずに遊ぶことはとても久しぶりだったのだ。
バランスを取りながら滑り台を降りてくる浩輔の背中を押すように、五時を知らせるメロディーが響いた。
寂しげな音楽は空に吸い込まれていき、浩輔はまだ遊びたい気持ちをグッと我慢している。
カンナがスーッと滑り台を滑って、浩輔の前に顔を突き出す。
出会ったばかりの二人は、一緒に行動すればするほど仲が深まっているようで、遼は少し羨ましくなった。