きらりん!
――ほえ?
あ、もう終わったのー?
び、びっくりした……。全然返事してくれないからさ
私たちの声、聞こえてた?
あー、うーん……
聞こえたような、聞こえなかったような……
どうしたの、きらりん。大丈夫?
暗くなった瞬間、なにかあったの?
ううんー
ただ、この暗闇のシチュエーション、次の演劇の場面転換に使えると思ってー。ちょっと考えごとしてたのー
なんだ、そういうこと……
きらりん、集中しだすと周り見えなくなるもんね……
えー、きらりんさん、演劇部なんですかぁ?
そう。しかもこうみえて部長なの
えー!? じゃあ先輩より立場上じゃないですかあ!
それはどういう意味かなあ。あんまり失礼なこと言ってると、またこめかみぐりぐりの刑するよ~?
ええっ!? そ、それだけはやめてくださいーー!!
ねえー、そろそろ再開しないー? きらりんやっぱりもう眠くなってきたー
きらりんのせいでこうなったんだけど……
ま、気を取り直してもう一度やろ
うん
みんないい? 今度はぜったいに大きな声出しちゃダメだよ?
さやりんがしゃべり出したんでしょ……
じゃあみんな、さっきのポジションへ
――いった? じゃあ明かり消すよ
はいっ。じゃあ、萌香からいきます!
タッチ。しんとなったから怖いですぅ……
そうね……わ、私もちょっと
タッチ
うん
タッチ
あ、うんー。このままむこうの角まで行けばいいのねー
そうそう
うー、暗くて歩きにくいよー
タッチ
はいっ
きゃあっ!?
ILLYさ~ん♪
萌香? な、なによ。いきなり抱きつかないでよ
私、怖くてもう歩けませ~ん♪
そのわりにうれしそうなのはどうしてよ……。は、離してってば
ILLYさん、いい香りがしますぅ。香水つけてるんですか?
ミドルがグリーンの……そ、そんなことより、肩をたたくとか、ふつうにタッチすればいいでしょ
これが私のふつうのタッチですぅ
はぁ……。このままだとさやりんの角に行けないでしょ。離してってば
はぁい
もう……
た、タッチ……
うん
タッチ
ふあっ? ちょ、ちょっとさやりん、どこさわってるのよー?
ふふふ。この大声を出せない時間を利用して、きらりんの胸のサイズを確かめようとしているのだよ
びっくりするからやめてよー。声出ちゃうでしょー?
むにむに。あっ、前より大きくなってない?
なによきらりん~。ちょっと私にもわけてよ~
ムリだからー。いい加減にしてー
きらりんの角からひそひそ声が聞こえるけど、なにやってるのよ……
三十分後
うーん、なにも起きないね
いつまで続けるのー
さすがに抱きつき疲れてきました……
もう怖いのを通り越して飽きてきちゃった
どうしよっかなー。そろそろ打ち止めにしよっかなー。みんなたぶん飽きてきてるだろうし――
えい、タッチ。きらりんはどう思う?
だからそんなところ触るのやめてよー。あっ……
いいよ声出してもぉ。きらりんのあえぎ声を沙弥香様に聞かせるのだぁ。うへへへ
さやりんの笑い方、きもちわるいー
……ねー、いつまでこれ続けるのー? かいきげんしょう、起きないよー?
そうね~。そろそろ潮時かな~
じゃあきらりん、むこうの角にいったら明かりつけてよ
うん。わかった――
あうっ、な、なにー?
いまのは――萌香?
なんだ……。どうせまた私のことで――
ま……ま……
ま?
まど……
まど?
まど……窓の外に……
窓の外に、なにかいます……!