どうして俺は、水の中にいるんだろう……。
ぼんやりとしながら上を見ると、
水面から差し込む光がキラキラと輝いていて、
とても綺麗だった。
……そうか、これは夢なんだ。
辛い事があると、
いつも決まってこの夢を見る。
眼前に広がる美しい光景とは不釣合いに、
水の中で苦しんでいる夢だ。
苦しくて、苦しくて、
必死にもがいている俺を、
明るく照らし続けている光が憎かった。
水の中にいるから、苦しいわけじゃない。
探している物が見つからないから、苦しいんだ。
水中に差し込む光は、
ただ綺麗なだけで何もしてはくれない。
それが憎くて、仕方が無かった。
いつもは目覚めてから夢だったと気づくのに、
今日は夢の中にいるという意識がはっきりとある。
夢の中だと気づいているなら……。
思い通りに出来るんじゃないのか?
今すぐに、この水の中から抜け出すんだ。
陸にさえ上がれば、待っているんだ。
あの、温かい手が……。
水中をさ迷っている内に、
少女がたった一人で岸に立っているのが見えた。
俺が岸まで泳いで行くと……。
少女が、こちらに向かって手を差し伸べた。
その手を掴んで、俺は……。