あのあととりあえず今日のところは帰っていいとのことなのでお言葉に甘えて帰ってきた
あのあととりあえず今日のところは帰っていいとのことなのでお言葉に甘えて帰ってきた
あーなんか疲れた
いろいろあったからなー
あらぁ 國太郎さん お帰んなさい
ごはんできてますよ
わかりました ありがとうございます
あとアルバイト決まりました
あら本当?よかったねぇ
ほんとは食費は要らないと言いたいところなんだけど年金暮らしで貯金もそれほどないからね
ごめんね
作ってもらえるだけでありがたいですよ
だけども やっぱ 若い子が家にいるってのはじじばばにとっては嬉しいもんだよ
こっちこそお礼を言いたいくらいさ
このおばあちゃんは島崎おばあちゃんで居候させてもらってる家の家主だ。遠い親戚にあたるらしい。旦那さんは十数年前に亡くなったらしいけど会った当初は亡くなった旦那さんの若いころにそっくりだと喜んでいた。
ご飯を食べ風呂に入った俺は自分の部屋に入って宿題を片付け布団に転がった。
さて これから どうなることやら
引き受けてはみたものの実際にどんな風にするのか全く想像がつかない。そもそもここ数年は霊感があることを大っぴらにしていなかった。
生まれつき霊感があった俺は家族から気味悪がられていた
小学校でも霊感のせいで嘘つき呼ばわりもされた。その頃から俺は人とは違うものが視えるんだと自覚した。それでテレビなんかの心霊特集で霊が見える芸能人や霊能者を見て自分だけじゃないんだって安心した記憶がある。中1の夏休みに祖父母の家に行ったらお寺に連れていかれお祓いをさせられたが、それで霊感がなくなるはずもなかった。しかしそこのお坊さんの紹介で今朝女性の霊に紹介した遠野寺の住職に出会い霊感や霊についていろいろ教わった。
あのクソ坊主に「妖怪まで見えるようになりました」なんて言ったらどんな顔すんのかな
近々行ってみるか
考え事も終わり寝る前にトイレにでも行くかと思いトイレのドアの前まで来たところで少しある考えがよぎり実行することにした。
島崎ばあちゃんが寝ていることを確認し、
コンコンコン
花子さん花子さんいらっしゃいますか?
・・・
なんてな
そういえば学校のトイレ限定だったななんて思いながらさて用を足すかとドアを開けると、
え・・・?
は?
そこにあるのはいつもの洋式トイレではなく数時間前に見たことある和風な居室で風呂上りなのか濡れた髪をドライヤーで乾かしているバスタオル一枚を体に巻いた花子さんがいた。
やーなーぎーん・・・
いや その まさか 家から花子さんの部屋に行けるかなーって試してみたらホントに行けちゃって すまん
そう言い残し何事もなかったかのようにドアを閉めようとしたら反対側からドアノブを花子さんに掴まれた
もうちょっと「あっ ごめん」って恥ずかしがってよー!!照れてよー!!興奮してよー!!
小学生とは思えない力でドアノブを引っ張る花子さん。
小学生の裸ぐらいで興奮するかっての
負けじとドアノブを引っ張る俺。
せめてスレンダーボディって言ってよ!!
うるせぇ ぺったんこ
あー!!ワタシが気にしてることベスト3を言ったな!!
こうして醜い攻防は10分にも渡った。
翌日の放課後
よう やなぎん 部活とか見て回ろうぜ
すまん 俺帰宅部にするわ
あと用事あるから先帰る
そう言い残し俺は教室を去った。
帰宅部ってアイツ・・・やっぱ家庭の事情で部活ができないとか?・・・
あながち間違っちゃいないがかなり心配される柳田であった。
俺は周りを見渡し周りに誰もいないことを確認して荷物を持ったままトイレに入った。
そして迷うことなく奥の3番目の個室の前に行き
コンコンコン
花子さん花子さんいらっしゃいますか?
しばしの沈黙の後ドアの奥から「はーい」と不機嫌そうな花子さんの返事が聞こえた。
まだ怒ってんのかよ
昨日の攻防のあと散々謝り、夜遅くに急に入ってくるなだとかレディの扱いがなってないとか散々説教されたのだ。
なのにまだ足りない様子である。
とりあえずいったん中に入る
お邪魔しまーす
いらっしゃーい
顔は笑ってるが目は笑ってない・・・。
昨日何回も謝っただろ
言葉だけじゃダメ
誠意を見せてもらわないと・・・
誠意って・・・
おそらくお詫びの品的なやつを持って来いということだろう。
とりあえずバッグの中を漁ってみると購買で買ったメロンパンがあったのでこれを渡してみることにする。
こ、これを・・・
花子さんはメロンパンをじろじろと眺めそして、
違う
は?
焼きそばパン買ってこい下っ端がー!!
買ってこいっつったって後5分で購買閉まるし
と時計を見ながら反論するも
ダッシュで買ってこんかい!!
いつの時代のパシリの一場面か・・・。
このままだとずっと機嫌を直してくれそうにないのでダッシュで買ってきた。最後の一個でもし売り切れたらと思うとある意味ヒヤッとした。
よしよし いい子だ やなぎん
嬉しそうに焼きそばパン(税込130円)を頬張っているところをみると期限を直してくれたらしい。
今日 早速 お客さんが来るから まあお客さんていうーか友達?
人間の?
息を切らせながら聞くとさも当たり前ともいうように
じゃない方の
と答えるとほぼ同時にピンポーンとチャイムが鳴った。