ついに魔王のもとにたどり着いた勇者たち一行だが、それぞれが厳しい戦いを強いられていた。

騎士

……はああ!

隊長

なかなか速い!

隊長

だが、これならば女勇者のほうが上だ!

騎士

!?

剣闘士

あぶねえ!

ガキンッ

隊長

受け止めるだけでは勝てないぞ。

剣闘士

へっ、まだまだ。

剣闘士

先生から教わった剣を見せてやるよ!

魔女

待ちな!

魔法使い

ほんと危ないなー、もう。

魔女

その余裕がいつまでもつかな。

魔法使い

なにそれずるい!

魔女

こっちだよ!

魔法使い

うわっ!

魔女

ははははは!無様だね!

魔法使い

……そろそろ本気でやらなきゃか。

魔女

ん?なんだい。

魔法使い

はあ!

魔女

くっ!

魔法使い

誰が無様?

魔女

あんた…。

勇者様。逃げてばかりでは終わりませんよ?

勇者

攻撃できるわけないだろ!

姫の身を案じている勇者は攻撃をせず避け続けていた。

そんな悲しいこと言わないでください。

勇者様とこうして戦い、勇者様を倒すのを私は楽しみにしていたんですから

勇者

くそっ!魔王!姫を元に戻せ!

魔王

ははは、勇者なら姫を救ってみせなよ。

魔王

君が本当の勇者ならそのくらいしてみてくれ。

よそ見をしてる暇はありませんよ、勇者様。

勇者

ぐっ。

勇者

姫!なんでこんなことする!オレたちは姫を助けに来たんだ!

うれしいです!

姫は本当にうれしそうに笑った。

ですが、残念ながらそれは叶いそうもありません。

今は勇者様を倒すことが一番の望みですから。

勇者

姫!

勇者様が避けるだけでは面白くありませんね。

やっぱりしっかり当たる攻撃をしたほうがいいですよね。

はああああ!!!

魔法使い

なんか魔力が集まってるのを感じるんだけど!

魔女

よそ見してんじゃないよ!

ダメですよ魔法使い様。いきなりばれてしまってはおもしろくありません。

それでは行きますよ、勇者様。

勇者

速い!?

突然姫のスピードが上がり勇者は虚をつかれ反応が遅れた。

勇者

ぐはっ!

勇者の体に速さで威力の増した姫のこぶしが入る。

どうですか?私の力は。

勇者

なんでこんな急に…。

肉体強化というやつです。魔力を使えばそんなこともできるんですよ。

そしてこんなことも。

勇者

ぐああ!

爪も剣と同等の強度になるんです。これでもう剣いらずですね。

剣闘士

騎士!勇者を援護してやってくれ!

騎士

……!

騎士

……剣闘士はどうする!

剣闘士

わたし一人で戦えなきゃなんのための修業だったんだよ。

剣闘士

だから勇者を頼む!

騎士

……。

隊長

この状況で一対一とはなめられているのか?

剣闘士

わたしはまだまだやれるつもりだぜ!

さて、ここまでやられてまだ逃げますか?

勇者

姫…。

そんな顔しないでください勇者様。

殺したくなっちゃいますから。

騎士

勇者!

騎士

ぐっ…。

勇者

騎士!

騎士

……勇者、援護する。

勇者

あれは姫だぞ!攻撃なんかできるか!

騎士

……当てなければいい!

わあ!騎士様お久しぶりです!

楽しませてもらえますか?

騎士

……姫を助ける。

変わらないですね騎士様は。

魔法使い

勇者!

魔女からの攻撃を避け続ける魔法使いは隙を見て勇者に小声で話しかけた。

魔法使い

勇者。あの薬使って。

勇者

あれは魔王のためのものだろ。

魔法使い

あれなら姫を元に戻せるかもしれない。全部確実に効果を使うために飲ませて。

勇者

飲んで大丈夫なのか。

魔法使い

……。

魔法使い

実験はしてないけど姫だからたぶん大丈夫だよ。

魔女

ちょこまかと逃げるなって!

魔法使い

ばれたら次はないから確実に一回で決めてね。

魔法使い

はいはい、今お相手してあげるよ。

騎士

ぐっ…。

もうおしまいですか、騎士様。

勇者

騎士!

勇者

あの薬を使う。姫に飲ませるための隙作ってくれ。

騎士

……わかった。

お二人で作戦会議ですか?

どうするおつもりですか?

勇者

一回で決める。頼むぞ騎士!

姫の攻撃に苦戦する勇者たち一行。魔法使いの開発した薬で反撃を狙うのであった。

pagetop