で、どうやって世界を壊すつもりなんだ？

人口知能による支配。それが始まるきっかけとなった人物を殺すわ。そのためにこの時代に来たのよ。

なるほど。そうして歴史を丸ごと改変するわけか・・・

でもそんな事をして大丈夫なのか？

どうなるかなんて分からない。誰もやったことがないから・・・。

分からないのかよ・・・。

でも今ある未来よりはずっとマシな未来になるだろうって確信はあるの。だから私はそのために頑張る！

そっか。でもそのために人を一人殺すのだろ？いいのか？俺はアキラを殺してから今日までずっと眠れなかった。おそらくこれからもずっと人を殺した罪悪感を背負って生きていくんだろう・・・。

そう。未来を変えるためには、人を殺さなければならないの。だから私は正義でも何でもない。トウヤ達には、私はテロリストじゃないって言ったけど、本当は私はテロリストかもね・・・

まだどうするか迷ってるのか？

ううん。私はこの時代に来る時に、決断したの。何があっても迷わないって。

そうか。わかったよ。じゃあ具体的に誰を探すのか教えてくれ。

人工知能を発達させたのは、アルベルト・アインシュタインよ。

は？どういうこと？アインシュタインは俺の時代でもとっくに死んでるぜ。

ああ。ごめん。順番に説明するわね。

如月シュンという人物が、アルベルト・アインシュタインのクローンをこの世に作り出してしまうのよ。そして、その後アインシュタインが、人口知能の研究で功績をあげ、今の人工知能による管理国家を作ることになったの。

じゃあ如月シュンって奴を、見つけ出して殺すのが目的になるわけだな。

そうよ。ところであなたの友達もシュンって名前よね？あの子の苗字はなんていうの？

あいつを疑ってるのか？あいつは確かに頭がいい。けど苗字は違うぜ。今の苗字は藤堂シュンだ。

そっか。よかった。さすがにあなたの友達とは戦えないもの。別人で良かったわ。

ああ。良かったよ。でも、その如月シュンって奴が、作り出した人間のクローンってどうなんだ？違法なのか？

いいえ。違法ではないわ。今後、クローン法っていうのが作られるのだけど、その法律をちゃんと遵守して作られているわ。

じゃあ、如月シュンは何も悪い事はしてないんだな。なのに俺達に殺されてしまう・・・

そうなのよ。その点は良心の呵責を覚えるわ。でも彼がいたら、未来は人工知能による人間の統治が行われる世界になってしまうのよ。

だから心を鬼にして殺すのよ。罪もない人だけど、でも結果的には沢山の人を不幸に陥れる人なのだから。

ああ。そうだな・・・。そのためにミクはこの時代に来たんだもんな・・・

安心して。如月シュンは私が責任を持って殺すから。トウヤにこれ以上罪を押し付けるわけにはいかないから・・・。

なぁ。思ったんだけど、説得するんじゃだめなのか？殺す必要はないんじゃないか？

私が未来から来たと説明しても信じてもらえるとは思えないわ。

それに未来では人口知能による統治が行われて、しかもそれがあなたが原因でそうなります。なんて話を聞かされて信じてもらえると思う？

そうか。確かに信用を勝ち取るのは難しいかもな。

それに私達は未来の警察にも追われている。いつあいつらに見つかるかは分からないわ。

長い時間をかけて説得している時間なんてないのよ。

ああ。分かったよ。それでどうやって如月シュンを探すんだ。

そこが問題よね。ずっと考えていたんだけど、政府の住民基本台帳の管理システムに、ハッキングをかけようかと思っているわ。

なるほど。ちょうどいいな。俺はハッキングが得意なんだ。

そうなの？！なんだか話が上手くできすぎている気がするわ。

俺達の出会いも運命だったのかもな。

そうかしら。

ま、とにかく計画は決まったんだ。俺の部屋に行こうぜ。そこから政府のシステムにハッキングだ！