加藤の渾身の右ストレートが、シュンのわき腹をとらえた。プロボクサーの拳は凶器となんら変わらない鋭さを持っている。シュンは確実にダメージを受けていた。
おおっと!危ねぇ。危ねぇ。
くそっ。かわされたっ!
お前、びびってるだろ?人を殺したくないから、まともに刀が振れてないぜ。
いくら俺でも日本刀あいてじゃあ正直、分が悪い。だがそれは相手がガチの場合だ。お前のような本気で殺気がこもってない刀なんか余裕でかわせる。
そ、そんなの当たり前だろ。誰だって人なんか殺したくない。
殺せないなら、殺されるしかないんだよ!こりゃあ遊びじゃねぇんだ。
遊びじゃないだと?じゃあなぜお前は武器を使わない。さっきから素手しか使ってこないじゃないか。
俺は元ボクサーだと言っただろ。俺は肉体に自信があるし、素手でじわじわ痛めつけるのが好きなんだよ。
最低だな!
なんとでも言え!
加藤の渾身の右ストレートが、シュンのわき腹をとらえた。プロボクサーの拳は凶器となんら変わらない鋭さを持っている。シュンは確実にダメージを受けていた。
ぐぅぅ
いいねぇ。苦痛に歪む顔が俺は大好きなんだよ。
もっと!もっと!その顔を見せろぉぉぉぉ!
ぐふっ
シュンの口から鮮血が迸った。
もうやめとくか?ミクの居場所を言えば楽にしてやるぞ。
居場所なんか知らない!
強情だなぁ。そんなに拷問されたいのか?
ホントに知らないんだ。それに知ってても言うもんか。
いい度胸だ。めちゃくちゃにしてやるよ。顔の原型が残らないほどにな。
このままやられるわけにはいかない。奴に勝つには覚悟を決めるしかない。人を殺す覚悟を・・・。
うおおおおお!!
てめぇ!やりやがったなぁ・・・
刀は加藤の胸にパックリと傷を作った。その傷は、明らかに致命傷だった。
その傷じゃもう戦えないだろう。このまま帰ってくれないか?
甘いこと言ってんじゃねぇ。俺に退路はねぇんだよ。何の手柄もなしに戻ったら、俺は消されるだけだ。やるしかねぇんだよぉ!
くっ。
この分からず屋!
ぐ・・・うぅ・・・
・・・
死んだ・・・
僕が殺したんだ・・・
はじめて人を・・・この手で・・・
はじめて人を殺したシュンは、戸惑っていた。今までに感じたことのない罪悪感で胸がいっぱいになった。しかしその気持ちを、友達を想う心で、無理やり押し殺すことにした。
今は・・・ミクとトウヤの事だけ考えよう・・・。悩むのは全て終わってからでもいい・・・
To be continued