加藤

おおっと!危ねぇ。危ねぇ。

シュン

くそっ。かわされたっ!

加藤

お前、びびってるだろ?人を殺したくないから、まともに刀が振れてないぜ。

加藤

いくら俺でも日本刀あいてじゃあ正直、分が悪い。だがそれは相手がガチの場合だ。お前のような本気で殺気がこもってない刀なんか余裕でかわせる。

シュン

そ、そんなの当たり前だろ。誰だって人なんか殺したくない。

加藤

殺せないなら、殺されるしかないんだよ!こりゃあ遊びじゃねぇんだ。

シュン

遊びじゃないだと?じゃあなぜお前は武器を使わない。さっきから素手しか使ってこないじゃないか。

加藤

俺は元ボクサーだと言っただろ。俺は肉体に自信があるし、素手でじわじわ痛めつけるのが好きなんだよ。

シュン

最低だな!

加藤

なんとでも言え!

加藤の渾身の右ストレートが、シュンのわき腹をとらえた。プロボクサーの拳は凶器となんら変わらない鋭さを持っている。シュンは確実にダメージを受けていた。

シュン

ぐぅぅ

加藤

いいねぇ。苦痛に歪む顔が俺は大好きなんだよ。

加藤

もっと!もっと!その顔を見せろぉぉぉぉ!

シュン

ぐふっ

シュンの口から鮮血が迸った。

加藤

もうやめとくか?ミクの居場所を言えば楽にしてやるぞ。

シュン

居場所なんか知らない!

加藤

強情だなぁ。そんなに拷問されたいのか?

シュン

ホントに知らないんだ。それに知ってても言うもんか。

加藤

いい度胸だ。めちゃくちゃにしてやるよ。顔の原型が残らないほどにな。

シュン

このままやられるわけにはいかない。奴に勝つには覚悟を決めるしかない。人を殺す覚悟を・・・。

シュン

うおおおおお!!

加藤

てめぇ!やりやがったなぁ・・・

刀は加藤の胸にパックリと傷を作った。その傷は、明らかに致命傷だった。

シュン

その傷じゃもう戦えないだろう。このまま帰ってくれないか?

加藤

甘いこと言ってんじゃねぇ。俺に退路はねぇんだよ。何の手柄もなしに戻ったら、俺は消されるだけだ。やるしかねぇんだよぉ!

シュン

くっ。

シュン

この分からず屋!

加藤

ぐ・・・うぅ・・・

加藤

・・・

シュン

死んだ・・・

シュン

僕が殺したんだ・・・

シュン

はじめて人を・・・この手で・・・

はじめて人を殺したシュンは、戸惑っていた。今までに感じたことのない罪悪感で胸がいっぱいになった。しかしその気持ちを、友達を想う心で、無理やり押し殺すことにした。

シュン

今は・・・ミクとトウヤの事だけ考えよう・・・。悩むのは全て終わってからでもいい・・・

To be continued

pagetop