私は鍵を握り締め、廊下に出ると二階に続く階段を見上げた。
脱衣所の前に、少し急な細い階段が闇の中に続いている。
ミシっ……ミシッ…………ミシッ
ゆっくり、ゆっくりと……
階段を昇って行く、木製の階段は軋みを上げて私達がこの先に行く事を阻んでいるかのようだ。
先の見えない暗闇の中を進むうち、やがてぼんやりとした裸電球が明滅する二階に着いた。狭い廊下を真ん中にして、左右に部屋が分かれている。
私は鍵を握り締め、廊下に出ると二階に続く階段を見上げた。
脱衣所の前に、少し急な細い階段が闇の中に続いている。
ミシっ……ミシッ…………ミシッ
ゆっくり、ゆっくりと……
階段を昇って行く、木製の階段は軋みを上げて私達がこの先に行く事を阻んでいるかのようだ。
先の見えない暗闇の中を進むうち、やがてぼんやりとした裸電球が明滅する二階に着いた。狭い廊下を真ん中にして、左右に部屋が分かれている。
2階はあまり荒らされていない。
どの部屋に行けばいいのかな……
扉は3つ。
私がキョロキョロしていると、ふいに後ろからヒロが話しだした。
そういえば……
確か殺された家族には子供が二人いたそうだよ。
姉と弟……まだ小さかったみたいだけど、仲が良かったって……
姉と弟……
私は、今の自分に何か重なるモノを感じてしまった。
その時、またスマホが振動する。
子供部屋に入れ
子供部屋?
スマホをのぞき込みサヤカが言った。
ねぇ、その例の『約束』にはないのかしら?
二階の部屋の事、どこが子供部屋なのかわかりそうなヒントとか……
僕が聞いた中ではないな……
でも……
でも?
二階に行く事への約束は無いけど、二階を降りる時の約束ならある……
降りる時?
うん……
階段を降りる時は、絶対に後ろを振り返ってはいけない……
私たちは、今昇って来たばかりの階段を見つめた。
だが、今はともかく子供部屋を見つける事が先決だと思い、まずは一番手前にある右の扉を開ける事にした。
扉を開けると、そこには真っ暗な部屋が広がっていた。
懐中電灯で照らしてみると、どうやら窓が板で塞がれているみたいだ。
そして、驚いた事によくよく部屋を見回すと、壁や天井、床にまで、びっしりと何かが書かれた紙が貼られている。
なに……コレ?
サヤカが床にある紙を一枚手にする。
……っ!? だっ、ダメ!!
私は、サヤカの手にした紙を奪い取り、すぐに元の場所に戻した。
なに?どうしたの?
……お札だよ、コレ………
そっ、それに……
えっ?
今、見なかったの……?
何を?
……お札の下……
ひ、人の髪の毛みたいなものが……
や、やだっ!!
そう、お札の下には……
浴槽で見たのと同じ、禍々しい黒い髪がびっしりと敷き詰められているのが私には見えたのだ。
こ、この部屋じゃないみたいだから
次の部屋に行かないか?
私たちはヒロのその意見に賛同し部屋を出た。
廊下に出て、今度は反対側の扉を開けてみる。
どうやら寝室のようだ。
ここも荒らされたりはしていない。
長い事使われていない為、ホコリだけが積もっている。
ねぇ、これ
日記みたいだよ?
ベッドの上に、『DIARY』と書かれたものが置かれている。
何か、この家の事がわかるかもしれないわね
いなくなった弟の手掛かりが、なにかつかめるかもしれない。
私は日記を開いてみる事にした……
7月8日
前に住んでいた家族の知り合いだという人が訪ねてきた。
もう引っ越していることを伝えた。
どこへ行ったか聞かれたがわからないので知らないと答えた
7月9日
またアノ人がうちへ来た
前の住人の事は知らないと言っているのに
隠してるのではないかと攻められた。
7月13日
あの女、アレから毎日家の前にいる。
妻も怯えているし、子供達も心配だ。
7月16日
夜中に扉を叩かれる。
開けてみると、猫の死体が置かれていた。
明日、警察に相談しようと思う。
7月17日
警察には相談した。
だが、パトロールを強化してくれるだけで女は証拠がないから捕まえられないそうだ。
不安ばかりがよぎる。
7月21日
女 が くる
7月22日
また
女がくる
7月23日
黒い おんな
空白のページが続く……
7月27日
女がくる 女がくる 女がくる 女がくる 女がくる 女がくる 女がくる 女がくる 女がくる 女がくる 女がくる 女がくる 女がくる 女がくる 女がくる 女がくる 女がくる 女がくる 女がくる 女がくる 女がくる 女がくる 女がくる
女がく る
な、なによ……
これ……
何か、紙がはさまってる……
開いてみると……
子供の落書きだろうか?
この絵の女が……黒い女?
あと残すは一部屋だけよ……
行こう……
最後は廊下の一番奥の部屋だ。
ここが、子供部屋ということだろうか……?
いい?
開けるよ?
ここが、子供部屋?
勉強机が二つ並んだその部屋は、忽然と人だけがいなくなってしまったようなそんな雰囲気だ。
私は、何かの視線を感じて部屋を見まわした……
人形……
日本人形が何体も飾ってある。
その後ろには押し入れのふすまが見えた。
突然……
ふすまの中から叩く音が聞こえた。
まさか!?中に誰かいるのだろうか……?
突然の事に体が硬直し、金縛りにあった様に動かない。
すると………………
スーっと……
自然にふすまが開いた。