夏が終わりに近づいてくる。

毎年遅刻することのなくやってくる夏は、ゆっくりと帰っていく。
それはうっとおしいくらいに・・・
それは・・・


たぶん、アイツみたいに・・・

イザナミ

やっと涼しくなってきたわ。
今年はやけに暑かったし。誰が張り切っているのかしら?

イザナミ

・・・いや、違うわね。
たぶん、今年は人口密度が高かったせいね。

今年はウズメが居候してたり、その関係でいろんな人が来たから・・・

まぁ、暑いというよりは鬱陶しい方が正しいのだけど・・・

イザナミ

それにしても、一気に静かになったものね。

ホント、あの子の力は私からしたら厄介だわ。

誰もいなくなった。
数名いる人間も騒がしい訳でもなく、ただ、そこにいるだけ・・・

でも、なんというか・・・

イザナミ

・・・穴が開いた・・・ってところかしら・・・

イザナミ

よし、綺麗になった。

イザナミ

さて、ドラマみましょう。

イザナギ

ヤッホー!!ハニー

イザナミ

・・・間が悪い・・・

イザナミ

がいな祭?

イザナギ

そう、ちょうど二日目だし。花火を一緒にどうかなって・・・ね?

イザナギ

まぁ、キミは嫌だというだろうけどね。

イザナミ

そうと分かっているならなぜ・・・

イザナギ

ここから見るのも悪くないからね。
できれば一緒に見てもいいかい?

イザナミ

まぁ、それは構わないわ。

イザナミ

本当に・・・

イザナギ

どうしたんだい?ハニー

イザナミ

なんでもない!!

イザナギ

良かった。曇らなくて・・・

イザナミ

それにしても、本当に見えるの?こんな離れた場所から

イザナギ

あぁ、大丈夫・・・

イザナギ

そろそろかな・・・

ずっとずっと遠くの方
ドン・・・ドン・・・

と何かが”弾けた”音がする。

イザナミ

ほら、見えないじゃない・・・

イザナミ

まったく・・いい加減なことばかり―

言葉を並べていた瞬間だった。一面が真っ赤に焼けた。

そして、パラバラと音を立てて収まっていった。

イザナミ

え?!

イザナギ

言っただろう?
”見える”って・・・

イザナミ

・・・・

わけがわからなかった。真っ白だった。

確かにここは山の中、遠くの風景も見ようと思えば見える。
でも、聞こえるのは音だけ・・・”光まで届くわけがないハズ”

でも、いま、現実に・・・

イザナギ

花火は見えているだろう?

イザナギ

まぁ、少し手伝ってもらったんだ。知り合いにね。
どうしても、君に見せたかったんだ。
今日の花火を・・・

イザナミ

どういうこと?

イザナギ

人気の多い場所が嫌いな君だからね。
一緒に見ようなんて言っても来てはくれないし。
それなら・・・ってね。

イザナギ

なかなかに大変だったんだ。
音は届いても光は遅刻してしまうんだから・・・

イザナミ

・・・あきれた・・・

イザナギ

え?

イザナミ

そこまでしてやることなのかしら?
こんな事してないでもっと―

イザナギ

”こんな事”でも、僕にとっては”大切な事”さ。

イザナギ

どっちにしたって、また少しの間ここには来れなくなってしまう。
その前に・・・

イザナミ

はぁ・・・あなたって毎年ね。イザナギ

イザナミ

どうせ、”すぐ帰ってきてくれるのでしょう?”
だったら、私は構わないわ。

イザナミ

だって、あなたは・・・ここに帰ってくれるのだから・・・

イザナギ

・・・

イザナギ

あぁ・・・そうだな・・・

アメノウズメ

と・・・まぁ、来てみたのですが・・・これはこれは出にくいですね・・・

アマテラス

あぁ・・・そっと帰るぞ・・・

稲荷

そうですね・・・

ヒナノウズメ

えー!!

アメノウズメ

駄々を言わない!!

ツクヨミ

・・・僕が頑張ったのに・・・

アマテラス

まぁまぁ、お疲れさんって言ってやるから・・・

ツクヨミ

パァァァ

稲荷

うわ・・ちょろい

アマテラス

さて、どっかで一杯やろうぜ!!

ヒナノウズメ

おー!

雛イズナ

・・・おー

アメノウズメ

・・・この子は?

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