アメノウズメ

それでは、お世話になりました。

イザナミ

本当よ。いつまでいるのかと思ったわ。

アメノウズメ

私がいなくなっても・・・泣かないでくださいね!!

イザナミ

むしろ広くなって助かるわ。

アメノウズメ

ひどいです!!

稲荷

むしろ、家に居場所がなくなってたり・・・

アメノウズメ

それありそう!!

アメノウズメ

まさか夜になるとは・・・しかも見覚えが・・・

稲荷

はいはい、文句言わない!!
それに、今日は宴の日では?

アメノウズメ

・・・あ・・・

アメノウズメ

い・・・急がねば!!

アメノウズメ

・・・

稲荷

はぁ・・・はぁ・・
なんでこう、こういう時には早いのでしょうかんねぇ・・・

稲荷

ん?どうかされましたか?

シャンシャン

鳴る鈴の音は、舞う雛の手元で踊る。

それにつられて祭囃子も踊りだしていた。

ウズメ

・・・・

嬉々と踊る姿は・・・まさに・・・

アメノウズメであった。

アメノウズメ

わっつ!!

稲荷

あら、替え玉ですか。
ご愁傷様です。

アメノウズメ

そんなことあってたまりますか!!

ナマタ

おや?ウズメ様。やっと帰られましたか。

アメノウズメ

あ・・・あれはいったい!!タマ!!
まさか貴女・・・

ナマタ

あれ?お忘れですか?雛鳥のことを・・・

アメノウズメ

ひ・・・雛鳥?

稲荷

うわ・・・忘れるとか最悪・・・

イザナギ

たしか、何時ぞや助けた飛べない鳥の子だったか?

稲荷

いらしたんですか・・・

イザナギ

イザナミは、こういうことに参加しないからね。
伝えるためにも来たのさ。

アマテラス

そういうことだ。

稲荷

ご主人まで・・・

アメノウズメ

これは・・・本当に・・・まずいんじゃないでしょうか?

イザナミ

参加しないとは・・・言ってないわ。

ただ、かたずける物が多いだけよ。

イザナギ

ハニー!!

ウズメ

アメノウズメ様ー!!

アメノウズメ

ぬあっだばどぅ!!

ウズメ

来てくださったんですね!!感激です。

ウズメ

少し前に虫のうわさで、ウズメ様がどちらかに行かれたまま行方が分からないと聞き、探そうと思ったのですが・・・

ウズメ

私は踊ることしかできないので、代わりになるかわかりませんが、躍らせていただきました。

アメノウズメ

・・・・・・

イザナミ

それにしても、雛は大きくなったわね。

イザナミ

昔は手に乗るくらいの雛鳥だったのに・・・

ウズメ

イヤー、ほんと私もびっくりなんですよ。
飛べない代わりに毎日踊ってたら仏様が―

ナマタ

おーい、ウズメ様ー
聞いてますか?

アメノウズメ

・・・

アマテラス

完全に放心状態だな・・・
おーい、しっかりしろー

イザナミ

叩けば治るわ。

アマテラス

テレビじゃないんだから!!
しかも、家のテレビを叩いて壊しておいてそれは無いぜ?

稲荷

では、肩をこうして・・・

「セイ!!」

という掛け声とともに一気に背中の骨のあたりを強く押す。

すると声にならない叫び声を出すウズメ

アメノウズメ

な・・・何をするだー!!許さん!!

ウズメ

さぁさぁ、そんなことよりもー

アメノウズメ

そんなことよりも?!

ウズメ

踊ってください。

アメノウズメ

・・・

アメノウズメ

はい?!

アマテラス

それもそうだな。お前が主役なんだしな。さっさと行って来い。

アメノウズメ

そうは言いますけど・・・

アメノウズメ

この、代役が出てしまった後のこの状態で・・・
どんな顔をして踊れと!!

イザナミ

笑って踊ればいいじゃないの?

イザナミ

貴女はそういう子なんだから

アメノウズメ

・・・・・

アメノウズメ

はい―

ウズメ

さー!!行きますよ!!(がしぃ)

アメノウズメ

ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・

イザナギ

げ・・・元気だな・・・

ナマタ

楽しみにしてましたから、ウズメ様の踊りを

稲荷

ささ、皆様も移動しましょう。
良く見える場所で見てやりましょう。

イザナミ

それもそうね。

アメノウズメ

・・・と、半ば無理やりきたものの・・・

アメノウズメ

すんごく緊張してきたー

アメノウズメ

・・・よぉぉぉぉぉぉし!!

アメノウズメ

玉砕覚悟だー!!

舞台に立つと焼けるような熱気と太鼓の音が回っていた。

・・・何も考えられない状態・・・

だけど・・・・

アメノウズメ

・・・・そうか、帰ってきたんだなぁ

生きた心地がした。

確かに、イザナミ様の家で死んだような生活だった。という訳ではないが・・・

自分が自分である由縁

それが、なんとなくわかった気がする。

まぁ、それも・・・

アメノウズメ

踊ってしまえばどうでも良いこと

だった。

イザナギ

やはり、ウズメの舞はいいものだな。

イザナミ

そうね。空気から飲み込んでしまうからかしら。

ヒナノウズメ

もー、一生モノですね!!

アマテラス

そうだろ?
でもな、昔はもっとすごかったんだぜ?

稲荷

はいはい、裸踊りはすごかったですねー(棒)

アメノウズメ

まさか二時間ぶっ通しで踊らされるとは・・・

アメノウズメ

あと、雛!!雑な踊りではだめですよ!!

ヒナノウズメ

えー!!楽しければいいじゃないですか!!

アメノウズメ

そういうものではありません!!
良いですか?舞とは本来神聖な・・・

イザナミ

はぁ・・・まったく・・・

イザナミ

ウズメ。ちょっと・・・

アメノウズメ

は・・・はい?なんでしょうか?

イザナミ

この鳥頭の雛に口で言っても無駄なのは知っているでしょう?
貴女がしっかり教えてあげなさい。

アメノウズメ

・・・・・・・・・・・・

アメノウズメ

ぬわんと!!

ヒナノウズメ

ホントですか!!ウズメ様

イザナミ

良かったじゃない。やることができて

アメノウズメ

これは・・・骨が折れるどころじゃないですよ!!

イザナミ

来年、今度は二人が舞のを楽しみにしているわ。
よろしくね。ウズメ

アメノウズメ

できる限り頑張ります。

イザナミ

さてと・・・私は帰るわ。

イザナギ

そうか、途中まで送ろう。

稲荷

おや?珍しい・・・

アマテラス

そうでもないんだな。これが・・・

イザナミ

そう、じゃぁお願いしようかしら。

アメノウズメ

では、イザナミ様、イザナギ様
お気をつけて・・・

イザナミ

えぇ、貴女もね。

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