シャンシャン
鳴る鈴の音は、舞う雛の手元で踊る。
それにつられて祭囃子も踊りだしていた。
それでは、お世話になりました。
本当よ。いつまでいるのかと思ったわ。
私がいなくなっても・・・泣かないでくださいね!!
むしろ広くなって助かるわ。
ひどいです!!
むしろ、家に居場所がなくなってたり・・・
それありそう!!
まさか夜になるとは・・・しかも見覚えが・・・
はいはい、文句言わない!!
それに、今日は宴の日では?
・・・あ・・・
い・・・急がねば!!
・・・
はぁ・・・はぁ・・
なんでこう、こういう時には早いのでしょうかんねぇ・・・
ん?どうかされましたか?
シャンシャン
鳴る鈴の音は、舞う雛の手元で踊る。
それにつられて祭囃子も踊りだしていた。
・・・・
嬉々と踊る姿は・・・まさに・・・
アメノウズメであった。
わっつ!!
あら、替え玉ですか。
ご愁傷様です。
そんなことあってたまりますか!!
おや?ウズメ様。やっと帰られましたか。
あ・・・あれはいったい!!タマ!!
まさか貴女・・・
あれ?お忘れですか?雛鳥のことを・・・
ひ・・・雛鳥?
うわ・・・忘れるとか最悪・・・
たしか、何時ぞや助けた飛べない鳥の子だったか?
いらしたんですか・・・
イザナミは、こういうことに参加しないからね。
伝えるためにも来たのさ。
そういうことだ。
ご主人まで・・・
これは・・・本当に・・・まずいんじゃないでしょうか?
参加しないとは・・・言ってないわ。
ただ、かたずける物が多いだけよ。
ハニー!!
アメノウズメ様ー!!
ぬあっだばどぅ!!
来てくださったんですね!!感激です。
少し前に虫のうわさで、ウズメ様がどちらかに行かれたまま行方が分からないと聞き、探そうと思ったのですが・・・
私は踊ることしかできないので、代わりになるかわかりませんが、躍らせていただきました。
・・・・・・
それにしても、雛は大きくなったわね。
昔は手に乗るくらいの雛鳥だったのに・・・
イヤー、ほんと私もびっくりなんですよ。
飛べない代わりに毎日踊ってたら仏様が―
おーい、ウズメ様ー
聞いてますか?
・・・
完全に放心状態だな・・・
おーい、しっかりしろー
叩けば治るわ。
テレビじゃないんだから!!
しかも、家のテレビを叩いて壊しておいてそれは無いぜ?
では、肩をこうして・・・
「セイ!!」
という掛け声とともに一気に背中の骨のあたりを強く押す。
すると声にならない叫び声を出すウズメ
な・・・何をするだー!!許さん!!
さぁさぁ、そんなことよりもー
そんなことよりも?!
踊ってください。
・・・
はい?!
それもそうだな。お前が主役なんだしな。さっさと行って来い。
そうは言いますけど・・・
この、代役が出てしまった後のこの状態で・・・
どんな顔をして踊れと!!
笑って踊ればいいじゃないの?
貴女はそういう子なんだから
・・・・・
はい―
さー!!行きますよ!!(がしぃ)
ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・
げ・・・元気だな・・・
楽しみにしてましたから、ウズメ様の踊りを
ささ、皆様も移動しましょう。
良く見える場所で見てやりましょう。
それもそうね。
・・・と、半ば無理やりきたものの・・・
すんごく緊張してきたー
・・・よぉぉぉぉぉぉし!!
玉砕覚悟だー!!
舞台に立つと焼けるような熱気と太鼓の音が回っていた。
・・・何も考えられない状態・・・
だけど・・・・
・・・・そうか、帰ってきたんだなぁ
生きた心地がした。
確かに、イザナミ様の家で死んだような生活だった。という訳ではないが・・・
自分が自分である由縁
それが、なんとなくわかった気がする。
まぁ、それも・・・
踊ってしまえばどうでも良いこと
だった。
やはり、ウズメの舞はいいものだな。
そうね。空気から飲み込んでしまうからかしら。
もー、一生モノですね!!
そうだろ?
でもな、昔はもっとすごかったんだぜ?
はいはい、裸踊りはすごかったですねー(棒)
まさか二時間ぶっ通しで踊らされるとは・・・
あと、雛!!雑な踊りではだめですよ!!
えー!!楽しければいいじゃないですか!!
そういうものではありません!!
良いですか?舞とは本来神聖な・・・
はぁ・・・まったく・・・
ウズメ。ちょっと・・・
は・・・はい?なんでしょうか?
この鳥頭の雛に口で言っても無駄なのは知っているでしょう?
貴女がしっかり教えてあげなさい。
・・・・・・・・・・・・
ぬわんと!!
ホントですか!!ウズメ様
良かったじゃない。やることができて
これは・・・骨が折れるどころじゃないですよ!!
来年、今度は二人が舞のを楽しみにしているわ。
よろしくね。ウズメ
できる限り頑張ります。
さてと・・・私は帰るわ。
そうか、途中まで送ろう。
おや?珍しい・・・
そうでもないんだな。これが・・・
そう、じゃぁお願いしようかしら。
では、イザナミ様、イザナギ様
お気をつけて・・・
えぇ、貴女もね。