姫がさらわれて、そして勇者たち一行の修業が始まってから数日がたった頃、勇者たち一行は修行を続けていた。
姫がさらわれて、そして勇者たち一行の修業が始まってから数日がたった頃、勇者たち一行は修行を続けていた。
うらあ!
……ふっ!
っりゃあ!
はあ!
剣闘士と騎士は二人で訓練としていた。
剣闘士、少しは剣が扱えるようになったな。
おうよ!先生が教えてくれたおかげだぜ!
騎士も剣闘士の剣に弾かれることも少なくなった。それならば少しは致命傷も与えられるだろう。
……ありがとう。
だがもうしばらくは二人で訓練をしておくんだな。まだまだ油断はできないからな。
勇者のほうもなかなかいい動きをするようになってきた。
流線衝覇剣!
おらあ!
激烈滅砕剣!!
はああ!
神聖才牙剣!!!
さっきからそれ言いたいだけだろ!
我流の剣術の名称を叫びながら仕掛けてくる剣を、ツッコミを入れながらも勇者はいなしていった。
ふふふ、なかなかやりますね。
それ前にも聞いたからな。
主様。今日のこのあたりで終わりでいいのでは。
もうそんな時間でしたか。
では、今日はこのあたりで終わりにしましょう。
明日も同じ時間に来るように!
まだやるのか?
まだだ。
あいつの剣は受けられるようになった。反撃もできる。
まだ魔王に勝てると決まったわけではない。
勝てないときまったわけでもない!
世界が救われるのは一日でも早いほうがいいはずだろ!
その通りです。
あら、なんだか久しぶりに見る気が。今までどこに?
ははは、それはですね…。
主様!気を付けてください!
はい?
うわ!
突然の攻撃が来るも、女勇者は軽い身のこなしで躱した。
ふむ、なかなかできる。
誰ですか貴方は!
私は魔王に仕える魔物だ。
魔物!
女勇者は剣を抜き一直線に切りかかった。
おお、なかなか素早い。
やりますね。
ふふふ。
やはり貴様だったか、裏切り者。
あれ、いつの間に気付かれていたんですか?
町の騎士団の者でお前と勇者たちの姫が一緒にいるのを見たものがいてな。
その後、二人とも目撃証言が数日途絶えた。あやしいと思うのは当然だ。
僕と姫様が二人ともさらわれたという可能性もありますよ。
ならば、お前だけがのこのこと魔物と現れたのがおかしいだろう。
そして、前々から妙な行動をしているのを見ていた。
あははは、まさか怪しまれていたなんて。
なかなかの名演技だと思ったんですがね。
ちょっと待て!姫が行方不明!?
ああ、そうでした。大事なことを忘れるところでした。
あなた方の姫様は私たちのアジトにいます。
なんだと!
まさか本当に気付いていなかったとは。
間抜けな勇者たちですね。
……。
ともかく返してほしければアジトまで来ることです。
間抜けな勇者たちにはヒントを差し上げておきます。
町で有名な魔物の住処。それが僕たちのアジトです。
では、お待ちしてますよ。
逃がすか!
姫を返しやがれ!
……逃がさない!
させないよ。
三人で参謀を捕まえようとするが、突然現れた魔女のよって阻まれる。
いいタイミングです。
まったく、ワタシを足代わりにすんじゃないよ。
撤収するよ。
わかりました。
隊長さん。帰りますよ。
わかった。
ここで逃がすと思いますか!
ははは、また会うときにでも手合せ願おうか。
それでは勇者たち一行と女勇者たち一行。お待ちしてますよ。
参謀たちは空間の穴に消えていった。
くそっ!姫がさらわれただと!
待て!
うるさい、修業はもう終わりだ!すぐに助けに行く!
場所もわからないのにか。
姫をこのまま見捨てろっていうのか!
一度冷静になってください。
なっていられるか!仲間がつかまってるんだぞ!
落ち着きなさい!
!?
心配なのはわかります。でも、焦っては余計に時間を食ってしまいます。
まずは町に戻って仲間に状況を伝えましょう。
アジトの場所も正確にわかるよう情報も伝える。
だからいったん町へ戻りましょう。
………。
…勇者。魔法使いにも伝えておこう。
……いったん戻るのがいい。
……わかった。
ついに姫の行方が分かった勇者たち一行は、姫を救出の準備を整えるため町に戻るのであった。