女勇者との勝負に負けてしまった勇者たち一行は彼女らに剣を習うことになった。
女勇者との勝負に負けてしまった勇者たち一行は彼女らに剣を習うことになった。
と言うわけでこれから剣の指導を始めます。
皆さん準備はいいですか。
……。
……。
……。
返事は!
一同がはーい、とやる気の感じられない返事をしたところで剣の指導が始まった。
ではさっそく…。
て、二人ほど足りませんけど。
魔法使いは剣を使わないから宿にいる。
姫はまだ戻ってこない。
まあ、あの人はやたらとうるさいのでいなくてもいいです。
それではさっそく私の戦い方を伝授しましょう。
そうして数十分、一行は女勇者の動きを真似て剣を振り続けた。
はあ…はあ…。
ふぅ…。
……。
もうへばってるんですか!気合が足りません!
無駄な動きが多すぎる。なんでそんなに飛んだり跳ねたりしなきゃいけないんだ。
そのほうがかっこいいじゃないですか。
ただ戦うだけでは華がありません。後世に語り継がれる戦いは優雅にかっこよくするものです。
……優雅ではない。
こんなんやっても意味ないだろ!
なんでそう言い切れるんですか!
こんな隙だらけの動きしてたらやられるにきまってるだろ!
先日、勇者はその動きに対応できずに負けたはずだが。
ぐっ…。
だが、主様以外でこのような戦いをする人も見たいことがないのも事実。
我流ですから!
はっ、これは一家相伝の流派として受け継いでいくべきでは…。
……。
……それならば貴方に剣を教えてほしい。
私がお前たちに教える?
ふん、自分が負けた相手に教えを乞うのか。
そうだぜ騎士!こいつに負けたのが悔しくないのか!
……魔王を倒すため、仲間を守るためなら変な維持は張らない。
……それに強くなった後に勝てばいい。
騎士…。
おう!また一緒にリベンジしてやろうぜ!
……。
いいだろう。お前たちに戦い方を教えてやろう。
女流剣技…いや、やっぱり名前から取ったほうが…。
主様、指導を再開しますよ。
一行は指導者としては壊滅的な女勇者の代わりに女勇者の騎士に剣を教わることになった。
まずは騎士と剣闘士で戦ってみろ。
わたし達でか!?
……なぜ。
ふん、お前らの戦い方は極端に違う。互いに切りあったことはないだろう。
……一回だけ幻覚に惑わされて切りあったことはある。
あれはびっくりしたな。
ともかくやってみることだな。
あと体には当てるなよ。死ぬからな。
おっしゃ!やるぞ騎士!
……負けない。
剣闘士と騎士は剣を構えて相対した。
なあ、オレは何をすればいい?
お前は主様とひたすら打ち合え。
あれと?
主様は剣こそむちゃくちゃだが実力はある。あの動きに対応できるようになればこの先も戦えるだろう。
なるほど…、ありがとう。
おーい、女勇者。一緒に練習しよう。
流線衝覇剣…激烈とかでもかっこいいですね…。
何言ってるんだ?
うらあ!
……。
剣闘士の攻撃を少ない動きでかわしていく騎士。
くそっ、なんで当たんねえんだ!
……はっ!
うおっ!
隙をつくように騎士の攻撃が繰り出される。
よええ!
ガインッ!
……!?
しかし、剣闘士は騎士の攻撃を弾き返した。
……。
……。
そこまでだ。
女勇者の騎士の声がかかり中断される。
攻撃が当たんねえ…。なんでだ。
……弾かれた。当たる攻撃だったはず。
これでそれぞれどうすればいいかなんとなくわかっただろう。
騎士は技の威力を上げろ。やりかたは問わん。
……わかった。
剣闘士は私が剣術を教えてやる。こっちに来い。
うげえ。
勝てないままでいいのなら来なくていい。
行ってやるよ!
こうして勇者たち一行のトレーニングが始まり、姫の存在の意識はより遠くなったのだった。