カラン…

帽子屋

前回までのあらすじ…

チェシャ

いきなり何だにゃ、帽子屋?

帽子屋

こっちの話さ

帽子屋

無事、マッチ売りの少女を見つけたアニス。でもなぁ、なかなかに少女は曲者だった。
いや、俺からすれば可愛いけどねぇ

チェシャ

???

帽子屋

自分の置かれた状況を正直に話すアニス。マッチ売りの少女の持つ『願いがかなうマッチ』を無事手に入れることが出来るのか…

チェシャ

酔ってるのかにゃ?

帽子屋

まだ見ぬ美女に酔いたいねぇ

チェシャ

チェシャがいるにゃ!

帽子屋

お前さんが女だったらねぇ……

チェシャ

にゃにゃにゃ~?

マチ

あなたは異世界の方だったのですね。異世界結婚なんて、新しいですわね!

そのマッチを何とかして譲ってもらえないだろうか?大切なものだと言われると、難しいのかもしれないけれど…

マチ

元の世界に戻るのですか?
ここでマチとともに暮らしましょう!

綺麗なお姉ちゃんもついてくるわよ!

なぜ出会ったばかりの兄にそんなに押してくるのだ?男なんて沢山いるのではないのか?

マチ

皆、逃げちゃうんですー。
かなしぃですー!

こんなかわいい子なのにね!

マチ

ああ、夫婦…。夫…。
あこがれますわぁ

なぜ、マチはそんなに夫婦に憧れるのだ?

マチ

愛と!

マチ

お金の!

マチ

象徴だからです!

…そう?
結婚したってお金が入ると決まった訳では…

マチ

夫をこき使って稼がせるのですわ!
馬車馬のように!

そーよそーよ!

マチ

で、マチとお姉様で裕福に暮らすのですー。夫は妻を愛することも怠らずにするのですー。仕事も、家事も、マチの事も大切にするのですー!

私が窓掃除をチェックしていびってあげる☆

あ、これは男は逃げるわ……

マチ

夫って言葉、素敵ですよねぇ…うっとり

そ、そうかなー

マチ

夫という字をひっくり返したら¥になるんですよ!倒れるまで働かせればお金になる!
素敵!

そんなマメ知識いらなかった!

マチ

もしも夫になってくださるなら、マッチは差し上げますわよ?

う…でもそれで異世界に帰ってしまったら、結婚の意味もないだろう

マチ

あや~。難しいところですねぇ…

都合のいい女になっちゃダメよ、マチ!

むむむ…。
そうだ、マチも異世界に来てみるか?

マチ

そんなこと、出来るのですか!?

それはわからないが…。だがもし、異世界で男漁り…もとい男性探しが出来たら、マチの夢がかなうかもしれない。
それに兄の国はそこそこには裕福だ

マチ

あ、逃げる気ですかぁ!ひどいですぅ!
家宝が目当てなんですねぇー!

マチ

マチは金を稼いで家事をするだけの人間目当てな純粋な子なのに、ひどい!

さいてー!さいてー!

はぁ…兄はどうすればいいのだ…。
弟よ……

その頃、裏通りでは…

オトートス

裏通り…それらしい人はいないなぁ

シロウ

アリス…(こそっ)

アリス

順番だからね…(こそっ)

オトートス

ねえ、アリス。
マッチ売りの少女は…あれ?

シロウ

アリスはちょっとお店の中見てくるってさ

オトートス

それなら一緒に

シロウ

いいって。一人でいけるってさ

オトートス

え、そうなの?

シロウ

オトートス

シロウ

あの、さ…オトートス…

オトートス

シロウ?

シロウ

はじめて二人っきり…だね

オトートス

そうだね。
でも大丈夫、すぐ傍に皆いるさ

シロウ

そういうのじゃないよ、バカ

オトートス

ん?

シロウ

…バカ

オトートス

……兄さんほどじゃあないさ

シロウ

ねえ、オトートスは、僕のこと嫌い?

オトートス

? 嫌いじゃないよ

シロウ

じゃあ…好き?

オトートス

友達が増えて、嬉しく思っているよ

シロウ

……そっか。友達か

シロウ

ねえ、オトートスとアニスさ。
ずっと、ここにいなよ

オトートス

え?

シロウ

この世界に、いなよ

オトートス

…それは

シロウ

ボクが居て欲しいって、言っているの

オトートス

…シロウ

シロウ

キミだけなんだ

オトートス

僕だけ?

シロウ

嘘で試すような事、絶対にしたくないって思ったのは、キミだけ……

シロウ

僕は嘘つきだ。皆詐欺師って僕の事を呼んでいるのも知っている

シロウ

嘘で、自分を守ってきたこともある。
いつも、軽口をたたいていれば、楽しいし気楽だった

オトートス

シロウ

でも、キミに嘘をつきたくない。理由はわかんないけど、キミには嘘なんてつきたくない

オトートス

シロウ…

シロウ

イケナイこと、かな?
こんなの、おかしい?

オトートス

…可笑しくなんか、ない

シロウ

…じゃあ、今だけ

オトートス

…うん

オトートス

見知らぬ世界の、雪が降りしきる街の冷たい空気の中で、シロウの吐息と体温がとても温かく感じられた。
折れそうなほどに華奢な肩が微かに震えるたびに、綺麗な銀髪が僕のほほをかすめる。
早摘みしたリンゴのような、甘く切ない香りは、シロウの気持ちを代弁するように、優しく僕の鼻腔をくすぐった――

アリス

ちぇ、シロウの奴。
キャラじゃない事してるなぁ

アリス

…オトートス、やっぱり、帰っちゃいやだよ。君とアニスが帰ったら、また僕は退屈な日々に逆戻りさ

アリス

それは、とってもつまんないよ。
……寂しいよ

おお、アリス

アリス

うわぁ!? あ、アニス!

ここにいたのか、探したぞ

アリス

い…今の無し!きかなかったことにして!
っていうか、しろ!

へ?今の?

アリス

なんだ、聞いてなかったのか…ほっ

マチ

可愛らしいお友達ですのね、あなた

アリス

…あなた?

この子がマッチ売りの少女、マチだ

マチ

そしてアニスの妻である、マチですわ

アリス

アニス?どういうこと?

かくかくしかじか

アリス

把握

アリス

でもさ、そんなに旦那様が欲しいなら、その願いがかなうマッチで旦那様を手に入れたりはしないの?

そういえば!

マチ

願いがかなうマッチは、そのマッチの炎が燃えている間しか効力がありませんの

恋愛系には不向きな家宝よねー

アリス

写真がしゃべってる…

え、さっきワンダーランドなら普通って言われたんだけど?

アリス

普通なわけないよ!

あ、バレた

騙してたのか!

…はぁ、とにかく弟と合流を…

アリス

あ~、あの、それはもうちょっと…

へっ?

シロウ

ぎゅ~~

オトートス

あ、あの、シロウ…
そろそろ皆と合流を……

シロウ

えへへ、しあわせ~

次回予告!

マチ

あなた、王城で待ってますわ!

なんとかマチの説得に成功した一行は、次なる目的地を目指し再び冒険へ…!

あら、マチ。王城にいきますの?

じゃあ、私も行くわ!

マチ姉

よろしくね!

出れるんかい!?

言えないウソと イケナイ ホント

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