私は既に票を投じた。
後は朝を待つだけ。
自らの意思で人を殺した。
この手を血で汚したのだ。
実に呆気なかった。
人生初の人殺しは、特に感動することもないし、特に何か罪悪感が湧き出るわけも出ない。ただ、普通であった。
……そんな私への罰なのだろうか。
狼の相談を盗聴していて、私は投げやりに聞いていた。
我に帰った狼たちは誰に投票するかを相談して――18番に入れよう、という決定を下して合意した。
その前に、内通者からの最初の通信がきていた。
それによると、11番は黒――こっち側の人間であるのだ。
私は全ての狼の番号を知っている。あと速水も知っているから、知らない陣営は内通者。
狼同士は互いの番号を知っているから……ああ、なら違うか。
私は全部知ってる。全部透けていた。
多分11、内通者だ。
まっ先に自分の身を安全にしたようだ。
11番は確か……いや、それはどうでもいい。
今重要なのは。
18番、それは私だ。
狼は、私を殺そうとしている。