第05話:魔法少女恋愛事情

ランキングが上がり好調な世知子。
周囲のファン達が彼女のことに注目し始めている証拠であり、魔法少女として活動するに当たってはとても良いことであるのは間違いない。
しかし……注目し始めたのはファンだけではない。

彼女が人気を集める上で幾度となく戦い蹴散らしてきた、敵対者である秘密結社リーニエントの幹部。
彼らもまた油断ならない敵として世知子、いや魔法少女シビアを認識した。

リー!!

リー!!

これで終わりです!

リー!?

リー!?

リーニエントの戦闘員達を薙ぎ払うシビア。経験を重ねることによって以前よりも危なげなく対処が出来るようになってきている。
そこに、拍手の音が鳴り、横合いからシビアに声が掛けられた。

フッ、駆け出しかと思ってましたが。
なかなかどうして、
見事ではないですか

だ、誰ですか!?

ああ、これは失敬。
私の名はベルフェ。
これでも一応結社では、
幹部を務めさせて頂いてます

リーニエントの幹部!?

最近貴女の存在は
結社でも注視されてまして。
私が対処を任されたのですよ

その仮面の男──ベルフェの言葉に、シビアは警戒心を強めた。

私を倒しに来たんですか!?

今日はただの顔見せですよ。
しかし、遠くない内に戦うことになるでしょう

くっ!?

それでは、その時を楽しみにしてますよ

ま、待ちなさい!
逃がしません!

厳罰!
シビリティ・アロー!

シビアは光の矢を放つが、
ベルフェはそれを二本の指だけで軽々と止めてみせた。

……え?

そう焦ることはないでしょう。
家族や友人に別れを告げる時間くらいは差し上げますよ

そう言うと、ベルフェは立ち去っていった。
シビアはその後ろ姿を為す術なく眺めることしか出来なかった。

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

リーニエントの幹部、ベルフェ。
あれが私達魔法少女の敵……

それにしても……

仮面で顔が見えなかったけど、
結構格好良さそうだったなぁ……

世知子は何気に面喰いだった。

ダメだからね

え? え?
な、何が……?

魔法少女は恋愛御法度だよ

ど、どうして?
そんなルールは無かったでしょ?

確かに明文化は
されてないけどね。

『魔法少女は夢を与える
存在でなくてはならない』

この夢ってのには、
恋人になったりとかの
妄想も含まれるんだよ

も、妄想って……

身も蓋もなかった。

(無視)
だって言うのに、
好きな人が居ますとか
恋人が居ますとか言ったら
夢も持てないよね

そ、そんなことのために……

人気上位の魔法少女が
「実は恋人が居た!」
なんてスキャンダルで
身を滅ぼすケースも、
結構多いからね。

だから世知子も気を付けなよ。
と言うかそもそも、敵の幹部なんて論外だよ

で、でも! 立ち場のために戦う間に思いが芽生えてとか、そんな展開も王道じゃない?

なんで可能性を模索してるのさ!

第05話:魔法少女恋愛事情

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