俺が苦笑すると、ミンも確かにと苦笑した。
男を自分の部屋に呼ぶのは、どうかと思うぞ
俺が苦笑すると、ミンも確かにと苦笑した。
でも、場所がここしかないんだ。仕方ないじゃないか
まあ……そうかもしれないけど
壁にかかった時計に目をやる。
あの時計も、俺がもとの大きさにもどったら、とんでもなくミニチュアサイズなのだと思うと、なんだか面白かった。
そこらへん、適当に座ってよ
椅子を指差したミンは、ベッドにどかっと腰を下ろした。俺は、指定された椅子にだまって着席する。
アキ、大切な話をしていいかな
胃の奥がキンと痛んだ。大切な、話。
知ってるかどうかしらないけど、私は君のことが好きだよ
まっすぐな言葉に、俺はちいさく頷くことしかできなかった。そんな俺の態度を見て、ふ、とミンは微笑む。
やっぱり、ばれてたのかな
……わかんないけど
物語の筋道上は、そうなることを予測できた。
でも、日々の言動からは、少しの間だけだったけれど、一緒にいたその時間からは、容易にそれを導き出せたかというと、嘘になる。
だから、わからない。
なんだ、その返事
ミンは口をへの字にして、その後すぐに、まあいいかと微笑む。
もし、女王様のことを気に入らなかったらさ、私をもらってくれない
ミンの言葉は正直だ。まっすぐで、無駄がなくて、心地いいほどにストレートだ。
その言葉に、まっすぐ答えなくてどうする。
……ルキがさ、銀髪の人って言えばわかるって発言してたの、覚えてる?
ミンは目を上にあげてしばらく考えたあと、そんなこと言ってたかもしれないとうなずいた。
俺はうなずきかえして、続ける。
あの人が関わっているってことは、俺の未来は決まっているってことなんだ。
詳しくは言えないけれど、俺にとって銀髪の人は重要人物で……だから……
ミンの目を、しっかりと見る。
ミンは、ちいさく微笑んで、だから? とききかえしてきた。
だから、俺は女王様と結婚することになると思うんだ
……そっか!
ミンは体重を後ろに傾けて、わーといいながら後ろに倒れていった。
ちぇー、残念だなあ! 世間知らずのばかたれでもいいって、言ってやってるのに!
ひどい言い様だな……
だって、本当のことだろう?
ミンがむくりと起き上がる。
でも、ま、いいよ。そっちにも事情があるんだろうし
ごめんな。でも、嬉しかったよ
私のこと、少しでも好きだった?
ミンが、唇を震わせて、言う。
好きじゃなかったら、適当に返事するよ。
残念だけど……でも、きっとミンにはもっと、いい人がいる。
世間知らずの俺は、女王様のもとでぬくぬくと暮らすのがお似合いなんだよ
ありがとよ
け、とミンは舌をつきだして、立ち上がる。俺も立ち上がろうとすると、待て待てと制される。
餞別がある。大したものじゃねえけど
Nia様>コメントありがとうございます! いいいいいですよねえええありがとうございます! 私もこのシーン、いいなああと思いながら書きました、自画自賛です笑 ミンが好きだとっていただけて嬉しい……何より嬉しいことです!!! ありがとうございます!