俺の整理整頓を、サンザシは黙って楽しそうに聞いていた。
俺の整理整頓を、サンザシは黙って楽しそうに聞いていた。
それで、雪山に行って……アイリスがネズミのお母さんだ。
親指姫を暖かい家に迎え入れてくれる。
怪我をしたツバメもルキだ。
それで、花の国に行こうって言うんだけど、親指姫は断るんだ……一度は。
でも、二度目で承諾する
そうですね、そういう物語でした
先が見えてきた。俺は、花の国の女王様と結婚するんだろ?
ロサとは結ばれないし……
そうです、クリア条件は、花の国の女王様との結婚です
そうだ、だとしたらミンは……ああ、わかった。
ネズミのお母さんの家には、モグラもやってくるんだったな
俺は深く息を吸い込んで、それを吐き出した。
そのモグラは、親指姫を気に入って、求婚するんだ。
モグラが、ミンだ。そうだろ
サンザシは返事をしなかったが、俺はそれを求めていなかった。ああ、ともう一度ため息をつく。
凄く自意識過剰なこと言っていい?
どうぞ
ミンが告白してこないでほしいなって、俺、思ってる
……どうでしょう。何かあるのなら、明日ですね
そうだよね……
彼女のことが、好きですか?
サンザシが、首をかしげる。いや、と俺は肩をすくめた。
それは、凄く素敵な人だとは思うけど、だからって物語を放るほどの感情じゃないよ
そうですか、とサンザシが微笑む。
物語を放るほどの感情でしたら……それは、大変なことですもんね
……そうだね
サンザシの言動が少し引っ掛かるが、俺は無理に聞き出さないと心に決めていた。
彼女を泣かせるくらいなら、彼女が言ってくれるまで気長に待つ。
彼女が置いた伏線を、今はただ、忘れないように心に留めておくだけだ。
その日の夜もどんちゃん騒ぎのパーティーで、俺は楽しい時間を過ごさせてもらった。
歓迎を受けながら美味しいものをたくさん食べることは、本当に幸せなことだ。
次の日、滞在最終日、俺はミンにさんざんこき使われた。
男がいるとありがたい、と、重いものを運び出すことからはじまり、棚の修理やベッドの掃除、お母さんがもういいですと困り果てるのを、ご飯の恩ですとなだめながら、こきつかわれるだけ使われてやった。
その後、夜は最後のパーティー。
こんなに楽しかった七日間はなかったよ。勇者のお兄ちゃん、ありがとう
アイリスが、何度も何度もそう言ってくれるのが嬉しかった。
ミンとは、何かあるかなと身構えてはいたのだが、思っていた以上に何もなかった。
彼女は自然体で話しかけてくる。告白されたらなんて考えていたこちらが恥ずかしくなるほどだ。
もしかしたら、本当に自意識過剰もはなはだしかったかな、と思ったが、夜も更けて、真夜中、今日が終わる直前に、ミンに呼び出されることとなった。
アキ、ちょっといいか
俺はよく分からないふりをして、もちろんと彼女についていった。案内されたのは、彼女の部屋だ。