前例や前前例のように、大きなヒントが出されるのだろうか。
 それを待つしか、ないのだろうか。


 ふと、ルキの言葉を思い出す。お花をちぎって行った占い。

花をちぎって占いがしたい

どうしました、急に

ルキは、その占いが当たってたって言った。

俺もそんな風に、ぷちぷちと花をちぎるだけでこの物語がわかればいいのに

どんな物語ですかそれ……

体力労働物語だよ、花をちぎるのに、体が小さいから重労働……あ

 たいせつなことを忘れていた。

周りが小さすぎるから忘れてたけど、体が小さいってのもあったな。

でも、一寸法師じゃなくて……

 頭のなかに、ぽん、と音をたてて、ある仮説がが生まれる。

一寸法師、じゃ、ないとしたら……





 浮かんだのは、チューリップ。
 花から生まれた、お姫様。




……あれ、サンザシ、俺わかっちゃったかもしれない

おお! 推理して到達したのははじめてですね!

いや……推理っていうか、答えを仮定として置いて考えていったら一致した……なんだよ、こんなに話をしっかり追ってるやつもあるのか。

イージーじゃないか!

 俺は頭を抱える。

 桃太郎で、桃が流れてくるようなものだ。シンデレラで、ガラスの靴が落ちているかんじ。

くっそー、場所なんて関係ないと思ったら、場所がすべてじゃないか! 

出会ったところこそオリジナルと違うけれど、そっから俺はどうした? 

眠っていたらさらわれて、そうだ、あの屋敷は池の上にあった! 

その後の雪山だって、まんまオリジナルじゃないか。

だとしたら、花の国に俺はいくべきなんだ……サンザシ!

 俺は、この世界に隠された童話を叫ぶ。

親指姫だ! 俺が、親指姫なんだ!

正解です!

 わーい! とサンザシが拍手をする。

 わーい、じゃない。俺は拍子抜けした。

 なんだ、最初に小さいから一寸法師、と適当なことを言っていたけれど、小さいから親指姫、とでも言っていたら……性別があだとなったきがする。

 まさか自分がプリンセスの位置にくるなんて、そうぞうだにしていなかった。

配役が複雑すぎるだろ……えっと、ルキは最初は親指姫のお母さん役か……俺と出会いたかった、運命だなんだっていってたのはそれか! 


それで、ミンが、親指姫をさらっちまうヒキガエルだ……ロサがヒキガエルの息子。

あいつら、親指姫を蓮の葉っぱの上に放置するんだよな……それで、逃がしてくれる魚や蝶々も、ルキの役目だ。

その後、また親指姫がかっさらわれる……コガネムシに! 

あの二人組がコガネムシか!

 こんがらがってきた、一人何役だこの物語!

3 あなたに捧げるその花の意味は(18)

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