竜戦士

上出来上出来! 今日はよく頑張ったな!

リストラ

ありがとうございます

召喚士

どうぞ疲れを癒してくださいね

魔法士

かんぱーい☆

チャッピー

ぐー……

「鍛錬のあとは一日の労いのために飲まなきゃな!」と女戦士の鶴の一声で、酒場に来ている。

ちなみにチャッピーは応援に疲れたのか、酒場に着くなり、すぐに寝てしまった。

聖騎士

勇者殿、一言いいでござるか?

リストラ

なんでしょうか?

聖騎士

……お主、弱過ぎ

リストラ

め、面目ないです

魔法士

この世界に来たばっかりだし、仕方ないんじゃないかなぁ~☆

聖騎士

そうでござるがっ……! 拙者らには時間が……

召喚士

確かに魔王軍の勢力が拡大している今、悠長にはしていられませんね……

リストラ

どうもすいません

竜戦士

まあまあ、レイブルの時も最初は……

竜戦士

ととっ!

リストラ

レイブル?

消費者金融名、または不動産仲介業者名を彷彿とさせられたが、違うのだろう。

竜戦士

……

聖騎士

……

女戦士も、騎士殿も、揃って口をつぐんでいる。

召喚士さんに至っては、

召喚士

えへ☆

と、微笑みで返してくれるだけ。

怪訝に思っていると、魔法士様が口を開いた。

魔法士

ボクたちが魔王に挑むのは、勇者様で3度目なんです

リストラ

なんと!

魔法士様の通常モードの一人称が「ボク」だった!

魔法士

一度目はここにいる竜戦士、聖騎士、召喚士、そしてボクの4人で魔王の城に乗り込みました。3年前のことです

召喚士

その時は私、まだ魔術士でしたけどね


















-3年前-
















魔王

妾をこの玉座から引き下ろすことが出来れば、お主たちの勝利としてやる

竜戦士

今の言葉に二言はないな?

魔王

無論

竜戦士

後悔するなよ……!?

竜戦士

「壊滅の龍姫」と恐れられた、あたしの力を見せてやるぜ!!!

聖騎士

水の、火の、風の精霊よ。我に力を与えたまえ……

聖騎士

「金色の戦乙女」、推して参る!!!

魔法士

こほん

魔法士

「万物の支配者」、行っきまぁーす☆

召喚士

……恥ずかしいですけど、二つ名を叫ばせていただきますね

召喚士

「氷結の魔女」とは私のこと! 魔王さん、お覚悟を!

魔王

楽しいなぁ……せいぜい足掻け!

召喚士

言われなくともそのつもりです

召喚士

食らいなさい! 極大氷撃魔法「アイスジャベリン!」

魔法士

極大雷撃魔法「サンダーフレア!」

聖騎士

最終奥義「ホーリーストライク!」

竜戦士

100%能力解放「飛龍変化!」

魔王

ほう……これはなかなか……

















-回想終わり-

魔法士

結果、ボクたちの力では全く歯が立たず、なんとか逃げ出すことに成功したんだけど……

魔法士

いや、逃がして貰えた……という方が正しいかなぁ☆

リストラ

なんともはや……

3年前の各々の実力は分からないが、今ほどではないにしろ、この4人であれば、相当な戦力ではあったと想像できる。

それが全く歯が立たなかった……!?

聖騎士

勇者でないと、魔王に致命的なダメージを与えることが出来ないのでござるよ

竜戦士

勇者が勇者と言われるゆえんだな

リストラ

なるほど……

それなら合点がいく。

同時に、自らの責任の重さを痛感した。

魔法士

ちなみに2度目も「レイブル」という名の勇者と共に挑んだんだけど、惨敗だったの☆

リストラ

そのレイブルさんは?

召喚士

魔王城からの脱出後、私達とは袂を分かちました。今はどこで何をしてるのやら……

なぜ、袂を分かつことになったのか、訊いてみたい衝動に駆られた。

しかし、こんな脆弱な今の私には、そんな資格はないだろう。

竜戦士

そういうわけで、お前には期待してるぜ!

リストラ

は、ははは……

全く魔王に勝てる気がしないのは気のせいだろうか……。

期待されている分、プレッシャーが半端ではない。

私の心を見透かしたように魔法士様が言う。

魔法士

大丈夫~!

魔法士

明日はボクが編み出した新魔法を試そ♪

魔法士

うまく行けば、超強くなれるよぉ☆

聖騎士

うまく行かない時は、どうなるでござるか?

魔法士

それは「企業秘密」ということでぇ♪

リストラ

大丈夫でしょうか……?

竜戦士

気にしてても仕方ねぇ! 呑め呑め~!

不安に押しつぶされないように、ジョッキを一気に煽る。

そして、長い長い夜は更けていくのだった――。

チャッピー

……すぴー

-次回を待てっ!-

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