見晴らしの良い草原で、鍛錬が始まった。
見晴らしの良い草原で、鍛錬が始まった。
さて、勇者殿
はい!
分かってるだろうけど、今のあんたじゃ、魔王の前じゃ瞬殺だよ!
ええ……それは重々、承知です
というわけで、レベルUPしてくださぁい☆
魔王を倒すことが出来るのは、あなた様だけなのですからっ!
はいっ!
ご主人様、頑張ってくださいー!
チャッピー、ありがとう!
では、まず下級モンスターを召喚して……
いや、召喚はいいって!
えー、どうしてですか?
ほら、まずは戦闘の「いろは」をだな……
むー……
うむ。拙者がお相手するでござる
勇者殿、剣を取ってくだされ
私は置いてあった剣を拾い上げる。
肉体が若返っているからか、思ったよりも軽い。
学生時代、剣道の全国大会で、強豪としのぎを削ったことを思い出す。
もし、騎士殿にケガをさせてしまった場合、回復の方法はあるんでしょうか?
肉片一欠けらさえあれば、再生可能よぉ☆
それを聞いて安心した。
……さすがに肉片にまでする気もないし、出来もしないわけだが。
騎士殿、申し訳ありませんが、手加減は出来ませぬぞ!
望むところでござる!
では、いざ尋常に……
勝負っ!
氷を切り裂くような緊迫感が2人を包む。
ここには私と騎士殿だけしかいないような錯覚。
同時にお互いが一歩を踏み出した――。
あー、聖騎士さん?
ご主人様がお肉になっちゃったよ……ぐすん
でも、美味しそう! ジュルリ♪
やーん、なんかビクビクしてるぅ☆
誰がこんな姿に!? 勇者殿ー!!!
……あなたのせいですよ
つーか、急がねぇと獣娘にたいらげられちまうぞ?
はーい、元に戻れぇ☆
さあ、かかって来てください!
こいつ、ミンチになったことにも、蘇生されたことにも、全く気付いてねぇな……
私の修業はまだまだ続く……。
-次回を待てっ!-