ー勇者の家ー
ー勇者の家ー
イナリ…
家の中にもいないわね。
家の中の物陰を探すシーラさん。
玄関のドアを横切ったその時です。
ドキッ!
ドアを強く叩く音がしました。
勇くんはおるかー!
…あ、勇くんにお客様ね…。
出なきゃ…。
高鳴る鼓動を感じながら、
玄関の扉に手をかけるシーラさん。
扉の先のお客様はどんなご用件でしょう?
噂
はい、勇者代行カンパニーです…
あ、おじさん。
お、シーラちゃんか。
久しぶりだなぁ。元気だったか?
扉を開けると、
そこには王宮への食品納品を担当する
よろずやのおじさんが立っていました。
お久しぶり、おじさん。
今日はどうしたのかしら?
いやなに…、街に来た行商人が
ちょっと妙なものを持ってきたんでな。
気になってきたんだが…
…勇くんはいるか?
あ…えっと、勇者勇は
今席を外しております。
居ないのか…。
まさか…ハジメノ方面へ向かっていたりは
しないだろうな?
…!
いえ、仰るとおり一昨日に
ハジメノ方面へ旅立ちました…。
なんだって…まさか…
表情が険しくこわばるおじさん。
それを見るシーラさんの鼓動は
ますます高まります。
な…何があったんですか?
落ち着いて聞いてくれ、シーラちゃん。
ハジメノがまるごと消えたらしい。
…え…
ハジメノを経由して来た行商人に
聞いた話でな。
それで、その行商人が言うには
ハジメノがあった場所で
これを拾ったと言うんだ。
おなまえ:勇者勇
こ…これは勇くんのリュックサック…
とりあえず、これは
シーラちゃんに渡しておく。
まぁ、まだ勇くんが死んだと
決まったわけじゃない。
ただ忘れただけかもしれん。
無事を祈ろう。
…はい。
…ありがとうございました。
シーラさんにリュックサックを渡して
おじさんは帰りました。
不安で張り詰めていた
シーラさんの気持ちが
一気に爆発します。
うっ…
号泣するシーラさん。
涙が止まりません。
ひっく…。
こうしてはいられない…。
勇くんの状況確認を急がないと…。
シーラさんは泣きながら
今やらなきゃいけないことを整理します。
誰かにハジメノの様子を見に行かせよう。
そうしないと何も始まらない…。
…真実を掴まなくては!
あと…ライルだ…。
ライルがなにか良い情報を
持っているかもしれないし。
僅かな希望に期待を寄せつつ
覚悟を決めたシーラさん。
その表情は先ほどまでの
不安の表情ではありません。
業に身を焦がしし者よ
その罪を恐るるなかれ
いでよ!シーフ・キャット!
…しゅぅぅぅぅぅ…
お呼びですか、シーラ様。
シャルミラ、勇者勇の捜索をお願いします!
つづく
【現在の装備】
レベル :7
めいせい :205
ぶき :新品の短剣
よろい :鋼鉄のよろい
かぶと :いつもの額当て
たて :なし
どうぐ :ファンガスの切り身(黄)
野ばらのペンダント
焼豚×2
焼きとり×3
なかま :
とくぎ :ファイアブレス
じょうたい:不明