私は、ゲームマスターと名乗る謎の声から概要というか、なぜここに至ったのかまでの話の内容を聞いた。
複雑な経緯を省いてわかりやすく言うと、私含めここにいる全ての学生たちは要するに見世物小屋の中に放り込まれた見世物。
私達は誘拐され、裏社会の娯楽として利用されるのだという。
事前に拉致る相手の情報を把握して、チャンスを伺い連れてくる。
そうして、集められた私達は殺し合いをしなければいけないらしい。
現実離れしすぎだ。
そう感じるのは普通だろう。
殺し合いをするなんてどう考えても理不尽で、まだ意識の回復しない彼らは嫌がるはずだ。
だがやがて気付くのだ。私達に拒否権はないと。
私は諦めて妥協した。言うことを聞くことにしたのだ。
最初から、無駄なことはしない。それが私の信条だ。
諦めることも、希望を捨てることも、慣れている。
そのほうがまだ生きていられると思うし。
まあ私は、いつ死んでもいいんだけど。
むしろ楽に自殺出来るこの環境はありがたい。
死ぬなら楽なのがいいし、一瞬で消えてしまえればそれも良い。
ここにいる限り、私達は見世物でなければならない。
その分、見世物としての間は何不自由ない物資の供給があると言う。
スポンサーの都合がどうたらこうたらと奴は言っていたが、知ったことじゃない。
現に私の薬を持った黒ずくめの屈強な男が数名現れ、丁寧におじぎをして渡して去っていったあたり、それも嘘ではあるまい。
そしてここでこれから行われる見世物は人狼ゲーム。
聞いたことがある。
昔からあるパーティゲームだ。
命懸けのゲームにこれを選ぶとは、このゲームマスターといあ言う奴はかなりえげつない奴なのだろう。