昨晩、一目惚れしたクシナダヒメをヤマタノオロチとかいう怪物から救うことになり、ちゃっかり彼女の実家に泊まり込んだスサノオは、太陽に向かって伸びをした。
んあー!良い朝だぁーーー!!!
昨晩、一目惚れしたクシナダヒメをヤマタノオロチとかいう怪物から救うことになり、ちゃっかり彼女の実家に泊まり込んだスサノオは、太陽に向かって伸びをした。
いいねぇ。太陽って。なんかネェちゃんが見守ってくれてる気がする!
ま、戦うのは夜だけど。
スサノオの頭の中にはすでに作戦があった。ヤマタノオロチが来るまでに準備をしなくては。
よしっ!そんじゃあ、
いっちょやりますかっ!!
まずは、クシナダ!!
へっ!?
急に名前を呼ばれたクシナダヒメは慌てた。
ってゆうか、昨日の今日で早速、
呼び捨てですか??
お前は見つかったら大変だから、クシに変えとこう。
特等席でオロチ退治を拝ませてやるよ。
はぁ?
クシってどうゆうこ ・ ・ ・ ・ ・
スサノオはろくに説明もせず、クシナダヒメをクシに変え、髪に挿した。
そんで、アシナヅチとテナヅチ、
この辺に酒蔵は無いか?
早速クシナダヒメの両親に協力を求める。
えぇ、ございますが ・ ・ ・ ・
そしたら、そこから酒をありったけもらってきてくれ。
8回かもしたチョー強いヤツなっ!!
あと、家の周をぐるーっと垣根で囲んで、棚つきの門を均等に8つ作るんだ。
問題ありませんが ・ ・ ・ 何をするので??
まぁ、見てなって!
と、スサノオは惚れた女のご両親である老夫婦に次々と指示を出し、アゴで使った。
スサノオ様、お酒をご用意しました。
どちらに持って行きましょう?
あぁ、こっちに頼む!
アシナヅチが酒蔵から帰ると、家の周りは立派な生垣に囲まれ、その生垣に設置された門の棚の上には大きな酒船が置かれていた。
んじゃー次はその酒を
酒船に入れてってくれ!
アシナヅチとテナヅチはスサノオに言われるままに酒船に酒を入れていった。
酒船ってのは、酒を入れるためにつくられたでっかい木のオケのことだ。酒好きにとっては夢のような光景 ・ ・ ・ アシナヅチは、ゴクリと生唾を飲み込み、誘惑と戦いながらも娘のために準備を進めた。
こうして準備が整うと、日が沈みかけていた。ヤマタノオロチは毎年、日が沈むのと同時に来るらしい。スサノオは不謹慎だと思いながらも、ついつい口の端がニヤリと上がってしまう。
楽しみだなぁ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
こうして、日は静かに沈んだ。
聞き慣れない奇妙な音が響く。それはだんだん大きくなり、地震のように地面が揺れ出した。遠くに8つの頭を望むことができる。
なるほどねぇ。谷8つ分は盛り過ぎだと思ったけど、こりゃでかい。
スサノオは武者震いした。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ピタッ。
クシナダヒメの家の前まで来ると、ヤマタノオロチはこちらに気づいたようだ。合計16個の目玉がスサノオを睨みつけた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 誰だお前?見ない顔だな。
スサノオは満面の笑みでヤマタノオロチを迎えた。
あぁ、ヤマタノオロチ様!!
お待ちしておりました。ただ今、クシナダヒメはあなたのために、身支度を整えております。酒を用意しましたので、しばらくの間、こちらでお待ちください。
・ ・ ・ 酒?ほぅ、ワシを酔わせてその間に逃げようとでも言うのか?
まっさかぁ~!
そのつもりなら、こんな夜まで
待っていませんって。
さぁ!ここらで一番の酒を用意しました。
もちろん、皆様の分取り揃えています。
フン!まぁいいだろう。どのみち、怪しい動きがあれば、一捻りだ。
オロチは、酒船のひとつひとつに顔を入れ、酒を飲み始めた。
ん ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ これ ・ ・ ・ ・ うまいな。
どうやら、この酒が気に入ったらしい。
ハハッ!ありがとうございます。
夜は長い。ゆっくりお楽しみください。
やべぇ ・ ・ ・ うまいぞコレ本当 ・ ・ ・ ・
と、八岐大蛇はブツブツと言いながら酒に夢中になった。スサノオは、じっと笑顔のまま、その時を待った。
しばらくすると、どこからかイビキが聞こえてきた。
頭が一つ、また一つと眠り出したのだ。
・ ・ ・ ・ なんだ。ちょろかったな。
スサノオは、十拳の剣を抜き、ガァガァと寝込んでいる八岐大蛇の頭にこっそりと近づいた。
・ ・ ・ ・ ありゃりゃぁ~?オロチちゃ~ん。気ィ抜き過ぎなんじゃねぇの??
油断してっと、
寝っ首掻かれるぜっっ!!
オロチの悲鳴が辺り一面に響いた。
スサノオが、酔ってフラフラになった首を次々と十拳剣で斬り落としていったのだ。
貴様アァ!!騙したなアアアアアアア!!!
オロチは奇声を上げた。しかし、時既に遅し。
悪りぃなっ!
お前が最後のいっちょだっっ!!
スサノオはあっという間に、最後の首も切り落としてしまった。ヤマタノオロチの血が斐伊川にドクドクと流れ、川は真っ赤に染まった。
ハッ!呆気なかったなぁ。
しかし、すぐ近くで
と低い大きな音と共に、地鳴りがした。どうやら、残りの尾が暴れまわっているようだ。
チッ!往生際の悪い奴だ。
スサノオは、残った尾も次々と切り落としていった。すると・・・
うわっ!なんだ?なんだ???
尾の中で何か引っかかり、剣の刃がかけてしまったのだ。不思議に思い切り出すと、立派な大刀が出て来た。
うおぉ~なんじゃこりゃ??
カッケェ~!!
コレあれじゃね???ラスボス倒すともらえる最強武器的なソレじゃねっ!?
しばらくのたうち回っていたヤマタノオロチだったが、やがて動かなくなった。
スサノオの完全勝利だった。
終わったか ・ ・ ・ ・
オィ、クシナダっ、もうイイぞ!
スサノオは、クシに変えていたクシナダヒメを元の姿に戻した。
わわっ!!!何なに?キャッ!!
ヌメヌメするっ!!これ、オロチの上???
臭っっさ!!血生臭っっっ!!!
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・お前、本当にうるせぇ女だな。
うわぁ ・ ・ ・ 本当に倒しちゃったのね。
あぁ!言ったろ??俺が守るって。
アンタ、そんなクソ恥ずかしいセリフ、よく平気で言えるわね。
でも ・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ありがと。
へへっ。
・ ・ ・ ・ これから宜しくな。クシナダっ!
うん ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
本当にありがとうっっ!!
うわっっっ!!!
クシナダヒメは嬉しそうにスサノオに飛びついた。
こうして、2人は結ばれ夫婦となった。
〉みみみさま
ありがとうございますっ(●´ω`●)♡