夜のしじま。
寝返りをうつばかりで、一向に睡魔が訪れない。そうして一刻が過ぎた頃、メグは諦めて身体を起こした。どうせ眠れないのなら、好きなことをして遊んでいたい。
遊び相手を探して、メグは部屋を抜け出した。
洋燈に明かりを灯して、仄暗い廊下を歩く。
真夜中だが、家族の誰かしらは起きているはずだ。
なにせ、悪魔は睡眠を必要としない。
読書家のサタナキアやメフィスティは、一晩中でも本を読んでいるし、マリアリリスは絵画に没頭していたりする。
時には、メグも一緒に絵を描くが、何を描いてもべたべたと黒く塗り潰された不気味な仕上がりになってしまうので、最近はあまり描いていない。サタナキアは前衛的だと褒めてくれるが、レオナルドには精神を病んでいるのか、と半ば本気で心配されてしまう始末だ。