無事、大気圏外から帰還したあと、異世界のこの国の王に謁見した。



正式に勇者の称号を拝命し、魔王を倒すための軍資金もいただいた。



今は装備を整えるために、城下町に向かうところである。














 

リストラ

いや~、まさかこの年になって勇者になる日が来るとは……今でも信じられません

召喚士

私は、勇者様なら魔王を倒してくださると信じています

リストラ

ええ! お任せくだされ!

魔法士

勇者様ったら頼もしい~☆

リストラ

いやはや、それほどでも

右と左、美しい女性に囲まれて、悪い気にはならない。



……まあ、一人は私と同じ年齢なわけだが。

竜戦士

あっはは~! 楽しそうでいいな!

竜戦士

今だけだけどな……

聖騎士

全くでござる

リストラ

へ? 何か言いました?

後ろをついて来る女戦士と騎士殿が何かを言ったが、私にはよく聞き取れない。

竜戦士

いんや、別に

聖騎士

うむ

リストラ

……















 

そう、その時の私は「勇者」という響きに、ただただ心を踊らせていたのだった。



元いた世界ではリストラに遭い、人間として不要の烙印を押された私。



そんな私にとって、ここが異世界であるとは言え、必要とされていることが嬉しかった。



――誰かの役に立てることが嬉しかった。















 

一通りの装備を整え、宿に戻るところだった。

チャッピー

この匂いは……

チャッピー

ご、ご主人様!?

リストラ

? どなたですかな?

獣の耳をした可愛いらしい女の子。



すれ違い様に足を止め、声を掛けてきた。



もちろん、この世界にそんな知り合いはいない。

チャッピー

あたしですよ!

チャッピー

チャッピーです!!!

リストラ

えっ!? チャッピー!?

犬の姿ではなく、人間の姿……?



しかし、私が若返っているのだから、チャッピーが人間化していても不思議ではない。



うむ、若返ったからか、思考までも柔軟になっているようである。

召喚士

どなたです?

リストラ

ええ、こいつはですね……

私が説明するより早く、チャッピーが話し出す。

チャッピー

毎日、ご主人様に「あんなトコ」や「こんなトコ」を撫でていただいたり……

チャッピー

逆にあたしがご主人様の「あんなトコ」や「こんなトコ」を舐めて差し上げたり……

チャッピー

ふか~い仲なんです……あたしたち♪

リストラ

いや、間違ってはいないんだが、語弊があると言うか……ねえ?

思わず苦笑が漏れるが、女性陣の視線はとても冷ややかだ。

聖騎士

2人揃ってケダモノでござるな

竜戦士

よっ! 色男!

魔法士

べ、別に羨ましくなんて無いんだからぁ☆

召喚士

へー……

まさしく四面楚歌!!!

チャッピー

ご主人様、あたしも一緒に付いて行っても良いですか?

リストラ

勿の論!

リストラ

……って、皆様よろしいでしょうか?

私一人で旅をするわけではないことを思い出す。



「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)」だ!

聖騎士

イチャついた瞬間、切り伏せるでござるよ?

竜戦士

いいぜ! 女遊びも男の甲斐性ってな!

魔法士

3人で……とかぁ、興味あるぅ?

召喚士

はっ!

召喚士さんが何かを思い出した。

召喚士

そういえば、勇者様と一緒に召喚してしまった畜生が1匹いましたね!

リストラ

畜生って……

召喚士

分かりました。仲間として迎えましょう!

チャッピー

わーい☆

リストラ

良かったな、チャッピー!

召喚士

……こんなことなら「ピー(放送禁止用語)」しておくべきでしたね……ぶつぶつ

かくして、さらに1名(1匹?)の仲間が加わり、パーティー編成は完成した。









 

-次回を待てっ!-

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