ー勇者の家ー
ー勇者の家ー
勇者、勇者はおるかね?
あら?誰か来たみたい…
出て大丈夫かしら…?
どうしましょ。
誰も居ないのかね!?
…決めたわ…!
間隙
《かんげき》
えーっと、確かこうだったよね?
目を閉じたシーラさん。
何かを念じ始めます。
ささやき…
えいしょう…
いのり…
ねんじろ!
………
お呼びですか?シーラ様
誰か来たみたい。
…はい?
ちょっと出てくれると助かるわ。
……え?
よろしくね!
あ…はい。
かしこまりました
誰もいないならドア壊して中に入るぞ!
何か御用ですか?
お!おるじゃないか!
危うくドアを壊しちまうところだったぞ
といいながら、ドワーフさんは
高く振り上げた木槌を
地面におろしました。
あんたが勇者……。
じゃあないな?
そんな顔色が悪くて勇者が務まるはずがない。
この顔色は生まれつきなので
あまり気に……
わしゃ勇者に用があってきたんじゃ!
勇者はどこじゃ?
勇者様は只今外出されております。
じゃあ、あんたは誰じゃ?
私の名はアシュタル。
しがない世話役……
勇者様じゃないならどうでもいいわい
………
街外れの森に悪い魔物が棲み着くように
なったんでな。
勇者様に退治をしてもらおうと思ったのだが……。
残念、残念……。
そう言うと、ドワーフさんは
背を向けて去っていきました。
退治してもらえれば勇者としての
経験値や名声が手に入るんじゃがのぉ!
と、言い残して。
どうでした?
アシュタル。
仕事の依頼の様でした。
そう…。
首尾はどうですか?
首尾…
えーと、
勇者が居られないので
お帰りになられました。
………わかりました。
ご苦労様でした、アシュタル。
またお願いします。
またお呼びください。
シーラ様。
まずいわ…
シーラさんは二階の窓から
空を見上げて呟きました。
このままでは勇くんの名声が
下がってしまう……。
これでは留守を預かってるとは
言えません。
勇くんがいなくても
街の治安を守れるようにならないと……。
シーラさんはそう心に決めると
書棚にある分厚い本に手を伸ばしました
つづく
【現在の装備】
レベル :4
めいせい :80
ぶき :新品の短剣
よろい :いつもの服
かぶと :いつもの額当て
たて :なし
どうぐ :ファンガスの切り身(黄)
ファンガスの切り身(赤)
なかま :スライム