僕たちは村長さんの家に神父を連れていった。
そして事件の顛末を全て話し、彼を引き渡す。
僕たちは村長さんの家に神父を連れていった。
そして事件の顛末を全て話し、彼を引き渡す。
……なるほど。
そういうことでしたか。
これでアンデッド事件も
収まると思います。
そうですね、ありがとう。
村長さんは晴れやかな笑みを浮かべていた。
きっと村人たちにも
笑顔や活気が戻ってくるだろう。
これで気兼ねなくこの村を出発できる!
キミたちには何か
御礼をしなければなりませんね。
いえ、そんなお気になさらずに!
それでは私の気が収まりません。
そうですねぇ……
そこまで言ったところで、
村長さんはニタリと怪しく頬を緩めた。
地獄にでも
招待してあげるとしよう!
えっ?
村長さんは指で床を差し、
それをクイッと上げた。
すると床の何か所かが割れ、
そこが一気に盛り上がってガイコツの騎士が
現れる!
ひっ!
スケルトンかっ!
なんだぁ~?
キヒヒヒ!
さすがは腐っても勇者。
自身は何もできない
ヒヨッコのようだが、
お付きは
そこそこ実力があるようだ。
村長さんは狡猾そうな顔になり、
白い歯を見せていた。
村長さんっ!?
……なるほど、
貴様が真の黒幕というわけか。
そうさね。神父を操り、
アンデッド騒ぎを起こした張本人は
私だ。
はっはっは! バカなガキどもめ!
私はこの御方の指図で
カネ儲けをしていたのだ!
グルだったのかぁ~!
さぁ、村長殿。
早く私のロープを解いてください。
そうだったのぉ。
村長は部屋に置いてあったナイフを手に取り、
神父を縛っていたロープを――
えっ?
ぐぎゃあああああああああぁーっ!
ロープではなく、神父のクビを切りつけた。
辺りに血が飛び散り、そのまま床へ倒れ込む。
傷は深かったようで、
程なく彼は事切れるのだった。
なっ!?
……っ!
わっ?
そ、村長っ! どうしてっ?
役立たずだから処分した。
それだけじゃよ。
命まで奪わなくてもっ!
たかが人間1匹の命、
どうだというのだ?
村長は鼻で笑い、僕を蔑むような瞳で見据えた。
そのあと彼の身体はゆらめき、
別の姿へと変貌する。
若くて活き活きとした肉体。
禍々しい雰囲気と冷たい瞳。
――コイツ、まさかっ!
…………。
お前っ、魔族だなっ?
……チッ!
ははは、ご名答!
さて、
お喋りはこれくらいにしよう。
スケルトンたちも
待たせていることだしな。
逃げる気かっ?
いや、逆さ。
勇者様に逃げるチャンスを
与えてやるのだよ。
本気を出せば
貴様ら全員を殺すことなど、
造作もないからな。
今回は勇者様への
ご挨拶に過ぎない。
せいぜい、
アンデッドどもと戯れていろ。
まさかそれで死ぬなんてことは
しないでくれよ?
今後の楽しみがなくなる。
あはははははははっ!
くっ!
あぁ、そうそう。
村人どもだが、
私がここにやってきた時に
皆殺しにしておいた。
なっ!?
今、村いるのは
全て私の作ったワイトだ。
最低限の知能を持たせ、
会話もできるようにしてある。
面白いオモチャだろう?
はははははっ!
ワイトっ?
アンデッドの一種だ。
パッと見た感じは
生きている人間そっくりだがな。
そうか、ようやく合点がいった。
だからみんな覇気がない感じだったのか!
でもだとすると、
コイツはあれだけの村人を
全て殺したということ……。
ぐ……ぐぐ……っ! 許せないッ!!
スケルトンとワイトの連戦。
素晴らしい持てなしだろう。
つまり最初からアレスを
待ち受けていたということかっ?
もし通り過ぎたら
どうするつもりだったんだよ~?
私の手でアンデッドどもを
始末すればいいだけのことだ。
なんてことをっ!
では、さらばだ。
また会える時を
楽しみにしているよ。
魔族の男は楽しげな笑い声を残しつつ、
その場から煙のように消え去った。
――残されたのは、僕たちと数体のスケルトン。
ミューリエは剣を、タックは小弓を構える。
僕はどうすればいいのか分からないけど、
とりあえず剣を抜いて構えてみる。
ちくしょう!
こんな狭い場所じゃ
召喚魔法が使えないよっ!
魔法さえ使えれば、こんなヤツら……。
絶体絶命のピンチっ!
僕たちはどうすればいいんだ……。
次回へ続く!
いつもコメントありがとうございます。そうなんです、アレスたちが来た時にはすでに村は全滅していたのです。ちょっと過激かとも思ったのですが、アレスと魔族の対比ということでこのような形にしてみた次第です。
ゆーさん、この作品マジではまりました!気づいたらもう19幕魔で読み進めてましたwなんか僕自信もアレスみたいに気弱ですぐに人を信じてしまう部分があったりするので凄く共感致しました。
ご覧いただきありがとうございますっ! お楽しみいただいているようで、私も嬉しく思います。ぜひぜひ、今後もご覧いただければ幸いですっ!! アレスたちには、まだまだ色々な出来事が起きますので~♪