失った領土を着々と奪い取りつつあった帝国の暴挙を受け、さらに帝国に力を貸そうとする者たちがいた。
それが唯一【魔族】と名乗る者たち、戦争扇動する傍らで彼らはからの領土を広げていった。
魔族たちの力は人に扱えるものではない。人ならざるものが加入した帝国は、すでにこの世界の住人ですらなかった。
──さて。
本格的に魔族たちとの戦争に成り代わりつつあった血露戦争だが、
ここでようやく過去に何度もくりかえされた魔王と勇者の戦いが再臨する。
帝国という皮を被った、魔王の支配宣言。めまぐるしく変わる戦況に現れたそれに引き摺られるように、王国は勇者を求めた。
そして偶然にも王国を訪れていた彼に白羽の矢が刺さる。
王国所属、預言者Ignisは語る。