アリス

ほら、
新しいエピソードになったよ。
マスコットはどこにいるの?

はいはい、ちょっと待っててね。
――いでよ、
我が忠実なるしもべよ!

 
 
 
 
 

軍服マニア

お呼びですか~?

アリス

なんなのよ、コイツ!

マスコットですけど何か?

アリス

この人は軍服マニアでしょ!
マスコットっていったら、
普通は妖精とか
動物とかでしょうが!

軍服マニア

失礼な!
これでも数々の戦場を
生き抜いてきた、
優等生マスコットなんだぞっ?

アリス

もっと可愛いのがいいっ!

しょうがないわね……。
――えいっ!

 
 
 
 
 

お猿

ウッキー!

アリス

なんでお猿なのよ~?

可愛い動物って
リクエストがあったから……。
最初はリザードマンにしようと
思ったんだけど、
何回か出演してるから却下したの。

アリス

お猿さんだとしても
もうちょっと可愛いキャラなら
いいけどさぁ。
これ、全っ然可愛くない!

でもお猿さんが活躍する作品
いっぱいあるでしょ?
パ●マン2号、猿●惑星、西●記。

アリス

とにかく変えてっ!

わがままな子ねぇ……。
――ほいっ!

 
 
 
 
 

ネコ

やっほー♪

アリス

きゃー! 可愛いっ!
これこれっ! こういうのっ!

……あ、間違えた。
ていっ!

 
 
 
 
 

観音様

あれ? アリスさん?

アリス

ちょっと!
さっきのネコでいいよっ!
観音様はリザードマン以上に
出番が多すぎでしょっ!
なんでネコを変えちゃったのっ?

だってネコだとマトモすぎて、
つまらないんだもん。

アリス

マトモでいいのっ!
早くさっきのネコにしてっ!

でもさぁ、
私はネコより犬派なのよね。
犬じゃダメ?

アリス

んー、まいっか。じゃ、それで。

はーい。では、いきまーす!
――ほいほいほいっのほいっ!

 
 
 
 
 

タマ

拙者、マスコットのタマと申す。
よろしく頼むでござる。

アリス

……うーん。
喋り方が少し変だけど、
我慢するか。

良かった。気に入ってもらえて。
では、タマ。
アリスのサポート、
しっかり頼むわよ!

タマ

お任せあれぃっ!

 
それ以降、謎の声の主は何も喋らなくなった。

おそらく食事――いや、
別の脅威から世界を守りにいったのだろう。
 
 

アリス

よろしくね、タマちゃん!

タマ

拙者の命、
アリス殿にお預け申す!

タマ

……む?

アリス

どうしたの?

タマ

へらぶなっすーが
街で暴れているでござる。
いざ、出陣の時ですぞ、
アリス殿!

アリス

いきなりっ!?
変身の仕方とか知らないよ?

タマ

急いでこのアイテムを使って
変身するでござるっ!

 
 
 
 
 

アリス

これをどう使えとっ?

タマ

身体を鍛えて筋力をつければ、
変身など無用!

アリス

……タマちゃん♪
こっちへおいで~。
撫でてあげるぅ。

タマ

それはかたじけない!
では早速――

アリス

今だっ!

 
アリスは無警戒で近付いてきたタマを捕まえ、
全身を乱暴にくすぐった。
あまりの気持ちよさにタマは悶絶っ!

その絶妙な指使いは、
どこで習ったんでしょうね?

――いやんっ、テクニシャーン♪
 
 

アリス

誤解されそうなことを
書くなーっ!

アリス

タマ~♪
もっと楽に戦える
アイテムを出せや~!
変身ステッキとか持ってないのっ?
うりうり~!

タマ

ひゃははっ!
くすぐったいでござるっ!
動物と楽しく
戯れているところを見せて
読者の好感度アップを狙うとは、
したたかでござるぞ、
アリス殿~♪

アリス

早く出せ~!
いっぱい出しちゃえ~!

タマ

わ、分かったでござるっ!
だからくすぐるのは、
やめるでござるっ!

 
タマはアリスのテクニックに完敗し、
ようやく別のアイテムを
次元の狭間から取り出す。
 
 

タマ

では、こちらはいかがか?

 
 
 
 
 

 
 
 

アリス

なにこれ?

タマ

『赤い魔書類』でござる。
これをアリス殿が持って
呪文を唱えると、
拙者は魔法が使えるのでござる。
電撃系とか。

アリス

…………。

タマ

試しに初歩的なヤツを
唱えてみるでござる。
ザケンナという――

アリス

まさにざけんなだよっ!
それ、あの作品
ほぼそのままでしょうが!
また裁判沙汰になるぞっ?

タマ

贅沢でござるな……。
では、こちらではいかがか?

 
 
 
 
 

タマ

おっと、
これは拙者のおやつでござった。

アリス

…………。

タマ

これでござる。

 
 
 
 
 

タマ

カネで解決でござる。
拙者は『歩く契約金』と呼ばれ、
実家は世界的な
大富豪なのでござるよ。
これで傭兵を雇って――

アリス

だったらそもそも
わたしが魔法少女になって
戦う必要がなくなるでしょっ!

タマ

確かに……。
――おっと、
おあとがよろしいようなので
次は真面目にいくでござる。

アリス

やれやれ……。

 
 
 
 
 

タマ

魔法の指輪でござる。
これを身につけて呪文を唱えると、
魔法少女に変身できるでござる。

アリス

マトモ……。

アリス

天変地異でも起きるんじゃないの?

タマ

ヒドイでござる。
真面目にやってその言われよう、
ならばふざけたヤツに
変えるでござるか?

アリス

わーっ、ゴメンっ!
これでいいに決まってるじゃない!
それじゃ、
変身するための呪文を教えて!

タマ

では、よく聞いて
覚えるでござるよ?

タマ

はぁ……はぁ……んくっ……
そこはダメだったらぁん……っ!
やっ! あっ……あぁ……

アリス

おいこらっ!
突然、何を言いだしてんのよっ!

タマ

呪文でござるが何か?

アリス

そんな呪文を唱えられるか、
ボケっ!

 
 

 
※ストリエシュールコメディー劇場は、
お子様でもお楽しみいただける、
健全な作品です。
 
 

タマ

実は呪文はアリス殿が
自由に決められるでござる。
ラ行とかパ行とかの文字を
適当に組み合わせて
作るがよろしかろう。

アリス

そうなんだ?
じゃ……

アリス

ララルル レラルル
パラルリラ~♪

タマ

うっわ、昭和クサっ!
何歳だよ、コイツ……。

アリス

――っ!?

アリス

い、今のは冗談よっ!
えっとね……うーんと……。

アリス

パラレル・ワンダーッ!

アリス

これで、どう?

タマ

……捻りのないところが
アリス殿らしいでござるな。
時間もないので、
それでいいでござる。

アリス

よーっし!
魔法少女ありありアリス、
出動だァ!




To be continued!
 

Vol.19 魔法少女ありありアリス 【第1話:魔法少女になっちゃった!(2)】

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