作戦会議

柴野一樹

なにしてんだろうなぁ……
俺は……

柴野一樹

1年……
それがどれだけ長い時間なのか……

柴野一樹

俺は……
今すぐにでも、帰らなくちゃならねーんだ!

柴野一樹

とは言ったものの……

お~い!

柴野一樹

あ?

結城レイ

はぁはぁ……ふ~疲れたぁ

柴野一樹

どうした?お前

結城レイ

千秋くんから聞いたんだよ
帰っちゃったって……

柴野一樹

それがなんだよ

結城レイ

……何か嫌なことあったの?

柴野一樹

あぁ、あったぜ?

結城レイ

やっぱり、そうなんだ……

結城レイ

あのね!私、一樹くんの力になるよ!

柴野一樹

あ?

結城レイ

相談してくれたら!
私がなんとかして

柴野一樹

原因はテメェだよ!!!!!!!!!

結城レイ

そ、そんな……

柴野一樹

……いいから失せろ

結城レイ

え……

柴野一樹

失せろっつてんだよ!!!

結城レイ

……

その日の夜、俺たちは結城レイと藤宮隼人の今後について石田の部屋で作戦会議を開いた。

石塚賢治

というわけで、ちょっとした会議を

結城レイ

いえ~い!いえ~い!!

石塚賢治

どっから持ってきた
そのパーティーグッズは……

結城レイ

みんな!私のためにがんばってくれる気になったんだね!お姉さん、感動だよ

石田弘大

普通に歳上なんだけどなぁ……

檜山千秋

正直、俺はここの世界についてあまり詳しくないんだ。だから、まずはざっとその説明をして欲しいかな

石田弘大

おっけー!まかせろ!

石田弘大

大人気アニメ「~」はみなさん知っての通り

石塚賢治

いや、知らない知らない

石田弘大

ヤレヤレ系主人公こと、藤宮隼人くんが数多の女の子に惚れられイチャイチャするドタバタラブコメディだ!

石田弘大

物語は高校一年生から始まる。
ファンの間では前半戦なんて言われてますね

石塚賢治

おーい、眼鏡してたかお前

石田弘大

前半戦は藤宮くんとヒロインたちとの出会いが中心でどういった経緯で藤宮くんにヒロインたちが魅了されていくかが描かれています!

石田弘大

そうですね!?先生!!

結城レイ

うむ、そのとおりじゃ

檜山千秋

……君
ホントはこっち世界の人なんじゃないの?

石田弘大

そして!!ファンの間でも絶大な人気を誇るのが後半戦!!高校2年編だぁ!

石田弘大

簡単に言えば藤宮くんは一体、誰と結ばれるのかー!っていう話です

石田弘大

……そして
俺達が来たのはその後半戦の一話目だ

石田弘大

メインヒロインのレイちゃんが一度きりしか使えない究極の召喚魔法を使うんだけど、失敗して気持ち悪いモンスターを呼び寄せちゃうんだ

石塚賢治

この子……
メインヒロインなのか

石田弘大

それで、学校中は大騒ぎって話だったんだけど……

檜山千秋

召喚されたのはモンスターではなく我々だった……というわけだね

石塚賢治

まぁ、一人
気性の荒いモンスターは混じってたがな

石塚賢治

それにしても
意外とアニメに詳しいんだなぁお前

石田弘大

まぁね~♪

石田弘大

こういうことを知っておくだけで
ちょっとオタクな女の子は
イチコロなんだぜ♪

石塚賢治

あぁ、なるほど……

結城レイ

それで、結末は!?誰と結ばれるの!

石田弘大

……

石田弘大

誰ともくっつかない

結城レイ

がーん……

石塚賢治

人が石になるの初めて見たな……

檜山千秋

どうして、誰とも結ばれなかったのかな?

石田弘大

え?

石田弘大

まぁ、選べなかったんだろうね~
みんな可愛いし

石田弘大

だから、結局、俺はみんなが好きだー!
で終わっちゃったわけ

石田弘大

ファンの間でも賛否両論はある

檜山千秋

つまり、このまま何もしないでいると

檜山千秋

レイちゃんにとって最悪の結末を迎えると……

結城レイ

はぁ……なんか
隼人くんらしい選択だよ……

石塚賢治

ある意味で召喚は成功かもな

檜山千秋

どういうこと?

石塚賢治

いや、だって今後、物語がどう進むかわかるだろ?コイツがいれば

石田弘大

……そう、俺には未来が見えるのだ

石塚賢治

その
いちいちウザいリアクションやめてくれ

石田弘大

えー!なんでー!これ、おもしろいじゃーん!

石塚賢治

あぁ!もう!デフォルメ化すんな!

結城レイ

未来がわかる……

石塚賢治

そうそう、だから
他のヒロインがいい感じになりそうな展開を回避できるかもしれないってことさ

檜山千秋

先回りするんだね

石塚賢治

で、どうするか

石田弘大

あぁ、確か葵ちゃんのお話がちょっと続いたような

石塚賢治

いや、だれだよ

石田弘大

教室の一番前の席の無口な子

石田弘大

あの子が藤宮くんに本格的に惚れるのは後半戦からなんだよ

檜山千秋

それを阻止すればいいのか

石塚賢治

で、どうやって惚れたんだ?

石田弘大

え~と……
確か、放課後、教室で二人きりになって
あれ?なんだっけな

石塚賢治

おいおい、しっかりしてくれ

石田弘大

いやぁ、色々あるんだけど
忘れちった!

石塚賢治

要するに放課後、二人きりにしなければいいんだろ?

石田弘大

うむ

石塚賢治

よかったな。これで恋敵を一人減らせるぜ

結城レイ

う、うん

石塚賢治

なんだよ。嬉しくないのか?

結城レイ

何か、葵ちゃんに悪いことしてるようで

石田弘大

そう?惚れるきっかけを無かったことにするだけじゃん

結城レイ

そ、そうだよね!うん!

石塚賢治

もともと、そういう覚悟があって召喚をしたんじゃないのか?

結城レイ

えへへ
そうだったね!

石塚賢治

……

石田弘大

まぁ!
御膳立てはしてあげるから~
あとはガンバ!!

結城レイ

はい!がんばりま~す!

石田弘大

ついでに、他の子に俺の魅力をたっぷり伝えておいてね!!もう、めちゃアゲといてね!

結城レイ

……うん

石田弘大

んおいおい!なんか引っかかるなぁ!
頼むよ~?

結城レイ

一樹くん……
明日、どうするのかな

つづく

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